関の刃物職人のDNAを世界へ 佐竹産業
「孫六」の関は名字じゃないよ、地名だよ
日本の包丁ブランドの代名詞、孫六の関は地名の「関」。
そうです。今回訪れたのは岐阜県の関市、本州の真ん中の岐阜県のさらに中央にあり、刃物産業の盛んな地域です。恥ずかしながら今回お伺いするまで「関さん家の孫六」という人だと思っていました。
関市のみなさま、すいません。
写真は長良川鉄道の関駅。名古屋から1時間20分ほどで到着。撮り鉄っちゃんたちにはたまらない風景です。
お伺いしたのは佐竹産業さん。こちらの創業は昭和22年。「濃州孫六作」などのブランドで包丁・キッチンツールなどを全国展開しています。
まずは刃物づくりの工程を勉強
包丁の製造のステップは、包丁の形に抜く「プレス」、高温から急冷し鋼の強度を向上する「焼き入れ」、磨きあげ切れ味を鋭くする「研ぎ」があり、さらに「研ぎ」では、荒いものから仕上げまで、細かく工程が分かれています。
プレスされた後の鉄板。奥には手裏剣が抜かれた跡もあります。
手裏剣の工程は最高機密ということで見せてもらえませんでした、残念。
プレスと刃付けされた包丁。鉄の板に刃がつくと包丁っぽくなってきます。
仕上げ研ぎ。最後は職人さんの手による微調整が必要。
研ぎマシーンの無い昔は牛の皮を使って研いでいたそうです。一人前の研ぎ職人になるには3年以上!
研ぎ体験スタート。
研ぎ体験には、荒研ぎ、中間、仕上げの粒の粗さの違う3段階の砥石を使います。荒研ぎは600、中間の1,000、さらに切れ味を良くする1,500といった粒の粗さに番手があり、これらを使い分けます。切れ味にこだわる板前さんは、さらに細かく磨き上げ鏡のようにピカピカになるまで、手研ぎを求められることもあるそうです。
刃を10円玉が2枚入るくらいの角度で寝かせ、その角度を保ちながらまっすぐに前後に動かすのがコツ。これを20回くらい繰り返す。
刃の角度が一定でないと「船をこいでるよ」と先生から注意が飛びます。「船をこぐ」というのは船の櫓をこねる動作から来ています。
これを刃物全体の長さに応じて3回くらいに分けてつづけます。裏面も同じようにやると研ぎあがり。
研いでると水分が無くなってくるので、時々水を降りかけます。
研いでいる包丁から削り出され鉄の細かい粒が、次の包丁を研ぐ際の研磨剤のような効果が得られるそうです。
新聞紙で、研ぐ前後の包丁で試し切り。
切れ味が全然違うのにびっくり。思わずなんども試して、そこらじゅう試し切りの新聞紙の残骸だらけになりました。
世界へ挑戦しています。
佐竹産業はスウェーデンのバイキングサン社と共同でキッチンナイフを開発。
現場のシェフの声も取り入れた海外向け製品の第一号がスウェーデンで発売されます。
社会科!と銘が彫り込まれた包丁。佐竹産業さん、有難うございましたー!
(text:西村、photo:市岡)
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