本物の漆器や金という素材に触れる!蒔絵体験 駒本蒔絵工房
福井県鯖江市の河和田は越前漆器で有名!ということで漆器の中の最終工程「蒔絵(まきえ)」の工程を体験&見学にやってきました。
「蒔絵」とは漆器の表面に金や銀の粉を蒔きつけ、絵や模様をつける技法です。漆器業界のプロのみなさんの間では加飾とも呼ばれています。
鯖江市河和田の「うるしの里会館」に展示されている越前塗山車や河和田塗小型山車の蒔絵は、駒本蒔絵工房の駒本長信さんの手によるものです。いくらくらいするんだろう?という邪念は置いておいて、
今日お世話になる駒本蒔絵工房の駒本さんは、伝統工芸士として認定されており、
このワークショップでは、漆のお椀や手鏡に本物の漆や金粉を使って絵をつけることができます。
先生の宮下亜季さん。この河和田には4年生大学卒業のち美術専門の学校で勉強したあとやってきました。今日はよろしくお願いします!
まずは図案選び。お花や蝶など伝統的な柄はもちろん、猫やうさぎ(のおしり)など楽しい図案も用意されています。迷ぅ〜けど楽しいな。
図案は先生に相談しながら、お母さんにプレゼントするために椿に決定。
図案の描かれた和紙の裏の方に下絵で使う材料は「石黄(せきおう)」という顔料で絵をつけていきます。先生にお手本を見せてもらいます。
きれいなお庭の見える工房の中で、ゆっくりとした時間が流れています。
できてきた出来てきた。なかなかお上手。下絵なので描くのは輪郭のみです。
ちょっと写しが足りないところは、先生に描き足してもらいます。
筆に含まれる油が多すぎると漆が弾いてしまうので、適度に筆先を拭いて、
輪郭を書き終わると、今度は中を塗っていきます。葉の軸の部分など太い部分は塗りつぶしませんが、細かい線(例えば花びらのおしべ・めしべなど)はあとから細い棒で削ぎ取ります。
漆の絵ができたところで、いよいよ金を蒔きます、蒔絵です。
もちろん、本物の金を使用!金の粒の大きさにも種類があり、細かいものの方が立体的にならず使いやすいとされています。
粉を蒔く筒、その名も「粉筒(ふんづつ)」を使います。
これを使って粉をたいせつに振りかけます。
今回は絵付けした漆の量がたくさんだったので、金もたっぷりと振りかけねばなりません。いかに厚み(漆の量)を減らして絵付けをするのかも蒔絵でのポイント。熟練の技が問われます。
しかし、蒔絵では滑らかにするものの他に、漆を盛り上げて浮き彫り状に表現する「高蒔絵(たかまきえ)」や、漆を浮き彫り的に盛り上げた上で、器面全体に漆を塗りかぶせ研ぎ出す「肉合蒔絵(ししあいまきえ)」というわざと立体感を出す技法もあります。
筆や漆塗り用のヘラも並んでいます。
河和田の漆器産業は木地づくり、漆塗り、蒔絵と分業されていることで知られていますが、蒔絵の職人さんが漆を塗ることがあります。
粉を蒔いた後は、漆が硬化(漆は乾くのではなく、湿度によってかたくなります)し、金の粉をしっかり定着させるために「漆風呂(うるしぶろ)」と呼ばれる室の中で一定時間寝かせます。
越前漆器の蒔絵のワークショップ。本物の漆器や金という素材に触れることで、日本の伝統産業に少しだけ近づくことのできた貴重な体験でした。
宮下さん、今日は有難うございました!
【詳細情報】
駒本蒔絵工房
電話番号:0778-65-0377
住所:福井県莇生田町14-5-1
(text:西村、photo:市岡)
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