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ゴロッ!と大きな果肉がつまったジャム工場 スドージャム
兵庫県三木市のジャム工場「スドージャム」にやってきました。工場の中はほんのりと甘い香りがしてきて「ジャム工場に来たよー」と言いたくなる。
通常のジャムに使う苺の品種と、大きさ比べ。
こちらスドージャム三木工場では、「大きな果肉のジャムシリーズ」を作っています。
自信を持って名のっている「大きな果肉」とはいかほどのものか?
向かってが右が大きな果肉のいちごジャムに使われているサブリナという品種です。このいちごは現在、アメリカまたはチリ産のものを使用。「おっきい〜」とスドージャムの担当者さんに声に出して表現してもらいました。今日はよろしくお願いします!
ブルーベリーも並べてみると、粒の大きさの違いは明らか。ジャムに一般的に使われているもの(向かって左のワイルド種)に対して、右の大きな果肉のブルーベリージャムに使われているブルーベリー。「カルチベイト種」といってジャムになっても大粒で、ほのかな甘みが特長です。食感を残すジャム「プレザーブスタイル」では、いちごは粒そのもの、もしくは2ツ割。ブルーベリーはそのまま、他の果物でも5mm以上の厚さの果肉を形を保つように、などJAS規格で決められているんですって。
そして、「大きな果肉のブルーベリージャム 400g」の場合は、最低11.5mm以上、平均13mm、一瓶の中には必ず60粒以上(平均は80粒)を自社基準と定め、その規格が満たされているか30分に1回「粒数え」という工程で毎日厳格にチェックされています。
見たまんま。デカイ!ゴロッと聞こえてきそうでしょ。
今日の見学はブルーベリージャムのラインを見学!
原料であるいちごやブルーベリーは品質担当者が現地に直接出向いて、熟度や形、色や香り、そしてもちろん粒の大きさのチェックを行っています。さらにチェックは、収穫後の品質管理の他、産地・国内の第三者機関によって残留農薬分析を受けています。
今回選別する原料となるブルーベリーは、カルチベイト種という品種で大粒のブルーベリーです。
産地でも、泥や小枝、その他の異物は除去されていますが、再度一粒一粒丁寧に果実を選別していきます。この作業は「選果」といってジャム作りにはとても大切な工程。
工場で受け入れた後も、選別を行います。その作業をするのはなんと
人!
無人状況でクラス10,000のHEPAフィルター付きのエアコンが設備されたクリーンルームの中に選別台は4台あり、1台につき4名の担当の方が、目を凝らしてチェックしています。傷んでいるもの皮の切れ端などのゴミは見つけられますが、この段階で大きさもチェック。ブルーベリーだと粒もたくさんなので、とても疲れる作業です。
この選別作業を担当する人は、テストを受け合格するとはじめて一人前と認められ、この作業を担当することができます。目を凝らして、
エイッ!と淡々と、かつ確実にピックアップしていきます。まさに熟練の技。脱帽です。
イチゴやマーマレードの場合は、この選別台の下から蛍光灯が照らされ、見つけやすくしてくれるのだそうです。それにしても大変!
昔も人の手と目で選別していました。ジャムは原料の選別、混ぜて煮る、詰める、殺菌する、検査する、というのがおおまかな流れですが、この原料の選別と検査だけはどうしてもオートメーション化できない工程なのだそうです。一番の勝負どころ。
ブルーベリーの果肉は事前に水煮します。この水煮工程は、糖を浸透しやすく、瓶の中に均一に果実が入るようにするためのステップ。果皮を柔らかにし、果肉をふっくらさせ、粒が残りながらも食感を滑らかにし、風味を生かす工夫。美味しさのためにかかる大切なひと手間です。
粒は大きいが、やはりジャムは塗られてナンボ!
大きな果肉だからといっても、そこはジャム。そのまま食べることは少ないので、やはりパンへの塗り具合も商品として重要な要素の一つ。良いジャムの目安は(1)パンに染み込みすぎないことと(2)まんべんなく程よく塗ることができること。つまり、ジュースのように液化し、パンに染み込んでもジャムとは言えない、さらに果実を大きくしたせいでゴロゴロして塗りにくくなってもいけない、絶妙の粘りのバランスを保つ必要があります。
そして、
「レオメーター」というゼリー強度(ゲル化の度合い)を測る機械。計測の針をジャムの「表面」に、あてて通すことでその表面の固さや粘性を計測して、「どれくらい、このジャムの規格に適合した固さか?」を確認します。
こちらは粘度計。このジャムの中身の粘度(固さ・柔らかさ)を測ることで、かき混ぜやすさや塗りやすさがどれくらいか、がわかります。先ほどのゼリー強度に似ていますが、あちらが表面のプルっとした反発度合いを測るものとすると、こちらはドロっと具合を確かめるためのもの。
色も測りますよ!
輝度・照度・色度を測定する装置。「Lab」という方式で、明度や輝度を参考に賞味期限を設定します。これは太陽光に含まれる紫外線の量を測ることで、色の変化を知ることができるからです。
回転トルクのチェック。フタの開けやすさを確認します。ジャムの中身と瓶のフタの内側の間(この空間をヘッドスペースといいます)は殺菌のために真空状態になっているので、ぴったり開けにくいのが衛生上の理想形、ただし、高齢のご家庭も増えてきているので、最近は開けやすさも商品の品質を決める大切な要素です。
瓶詰めジャムならではの検査のほか、もちろん、甘さや酸っぱさといった味も検査されます。
糖度計。名前の通り、甘さを計ります。プリズムで光の屈折率を見て計測します。
この糖度は甘さのほか、糖度が低い(=水分が多い)ほど、カビが早く発生しやすくなると言われているので、傷みやすさの目安にもなります。
白桃のジャムなどは糖度が低いのでカビが発生しやすくなります。
このような検査は、全品毎日実施!規格に適合したものか、また安全かなどの品質が保たれています。
ジャムは果実のほか、糖度を適切にする水飴やブドウ糖や砂糖といった「糖類」、酸度を整える「有機酸」「クエン酸」、粘り気・固さを整える「ペクチン」が主な原料。
これはペクチンといって、レモン・ライムの果皮から抽出した食物繊維です。粘り気を安定させるために、ジャムのほか、ゼリーやヨーグルトにも使用されています。原材料名表示では「ゲル化剤」と書かれています。
これらの原料とブルーベリーを混合し、大きな真空釜へ。この真空釜は1台で600〜800kgのジャムを仕込むことができます。
真空釜へはホースで吸い上げられ、その後、果実の持つ収穫時の鮮やかな色・フレーバー・粒をできるだけ残すために50〜60度ほどの低温で濃縮加熱します。
また加熱することで、カビや酵母、サルモネラなどの食中毒菌も殺菌!以後も未開封の状態で菌が繁殖しないレベルのpHや水分に保たれます。
「サージタンク」と呼ばれる機械で混ぜていきます。この時、ジャムの場所によっては浮いてしまった果肉を混ぜることで均質な状態になり、瓶に入る時にはバラつきのない状態になります。
ボトルリンサーで洗浄された瓶が流れています。ボトルリンサーは瓶が割れないように、40度、70度といったように徐々に温度の高い熱水で洗浄されています。
瓶をラインへ供給するマシン「ロボットデパレタイザー」!
毎分最大100本の瓶を運ぶことのできる力持ち。
真空で吸引し、瓶たちを一気に持ち上げます。仮にもし1本でも瓶が落ちて割ると、この瓶たちのグループごと全て廃棄されます。割れた欠片が他の瓶の中に入ってしまうといけないのが理由。
さらに、割れた瓶は、割れた欠片を集め、割れた瓶を元の状態に復元するまで瓶をラインに供給することはできません。停電でバキュームが稼働せずに、瓶が落ち割れてしまった時は、それはもう大変だったそうです。それだけ安全に気を配っている、ということです。脱帽!
中身が入ったジャムの瓶はキャップする前に金属探知機でチェック。
キャップが閉められました。
キャップと中身の間にはまだ、ヘッドスペースという空間が残っているので、このタイミングでガスをヘッドスペースに注入。菌や酵母が酸素で繁殖しないように、炭酸ガスを使います。このガスの名前は別名「不活性ガス」。ジャムの中の水と酸素が不活性ガスに反応し、溶け込むことで、ジャムの中の菌が繁殖しやすい環境(酸素)を少なくしていきます。
殺菌冷却機へ。まだ熱々のジャムを90度、65度、35度、25度というように段階的に冷ましていきます。暖かいジャムはとてもやわらかく、冷えると粘り気が出てきます。
製品の重さを検査するウエイトチェック。規格の重さの97%以下のものがハネられます。
ためしに97%の重さの瓶で試してみましょう!
ちゃんとハジかれました!
ちなみに400gのジャムの場合は、念のため少し多めに入っているそうですよ。ちょっとおトク!
ジャムのキャップは密封状態を識別するために、フタの中央はヘコんでいるのをみなさんご存じかと思います。自動打けん機でキャップのフタのヘコみを見ています。この工程では「ちゃんとヘコんでいるか」をチェックすることで密封状態を点検しています。
ジーッとラインを見ている人がいる。
そして、この次は検品。
工場のラインの中でじーっと流れてくる瓶を見ている人がいます。検品作業中。
この工程は原料受け入れ後の選別作業と同じく、人の目と手でチェック。
側面を見るときのチェックポイントは中身の異物のほか、ラベルがきちんと貼られているかや、賞味期限の印字など、後ろも前も。この作業員のみなさんは目が疲れるので、一時間交代で作業を行っています。
底を見るのは砂・鉄片といった比重の重いものが沈殿していないかを確認するため。もちろん、金属探知機などの機械による検査を通過した後なのですが、鏡に映してチェックチェック!やはり最後のチェックは人です。
こうして、みなさんのテーブルの上にジャムが届けられていきます。
工場にうかがう前は、煮て混ぜて殺菌して冷ます、 というオートメーションな流れを想像していましたが、原料の選別や品質検査、最後の検品、さらに果肉の粒を数えたりと、ポイントとなるステップで登場するのは人。食べる人の満足のために様々なこだわりがあることを知ってビックリ。丹精込めて作るジャムには、大きな果肉とまごころがぎっしり詰まっていました。
スドージャムのみなさん、今日は有難うございました!
【詳細情報】
日本生活協同組合連合会
生協の組合員さんとスドージャムさんとの勉強会の様子はこちら(コープ商品サイト)
株式会社スドージャム 三木工場
電話番号: 0794-88-0331
住所:兵庫県三木市口吉川町大島37
URL: http://www.sudo-jam.co.jp/
(text:西村、photo:藤木 ※一部写真はスドージャムさん提供)
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