日本で一番宇宙に近い場所に行ってきた! JAXA筑波宇宙センター(宇宙航空研究開発機構)その1

JAXA来たよ!

宇宙だけではなく実は身近な生活にも関係することを研究しています。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)の筑波宇宙センターにやってきました!入り口を入るとおっきなH2ロケットがお出迎えしてくれます。
JAXAは宇宙の基礎研究からロケットや人工衛星の打ち上げ、宇宙利用をすすめて防災や気象・交通や物流・農業漁業、レジャーなど産業振興も含めた技術を支える重要な役割を担っている日本の宇宙開発の中心地。いわば日本で一番宇宙に近い場所です。今日は、僕たちの社会を豊かにするために、宇宙をどのように役立てることができるのかを日夜考えている現場を勉強。テンションマックスで見学をスタートしたいと思います!

JAXAスペースドーム筑波宇宙センターは筑波研究学園都市の一角に1972(昭和47)年開設しました。約53万平方メートルの敷地の中にはさまざまな施設が点在しています。筑波宇宙センター入口近くにあるスペースドームはJAXAにある展示館。誰でも自由に見学することができます。

スペースドーム館内1入り口を入ると、ドーンと大きな地球(100万分の1スケール)が歓迎してくれます。この中にはJAXAのこれまでの宇宙への挑戦の歴史や、現在、そしてこれからのミッションを、情報通信や測位、地球観測、有人・宇宙環境利用、輸送機、ロケット、月惑星探査といった分野ごとに整理されていて、順番にみることができます。
そして、ガイドさんが定期的に説明してくれるので、初めての人やお子さんもわかりやすい。楽しく学べる施設です。

ガイドさん今日はよろしくお願いします。優しくて渋いお声の館内ツアーのガイドさん。

何か飛んでる地球の上に何か飛んでる!
100万分の1スケールのこの地球ではm1cmが10キロになります。東京大阪間が400kmなので、この地球儀だと40cm、同じ40cmの高さに...

衛星が飛んでる国際宇宙ステーションが飛んでいます。模型で40cmの高さにあるということは100万倍すると地上から400kmの高さ。国際宇宙ステーションはこの高さで地球の周りを回っていて、地球の重力に負けずに浮いていられるためには秒速7.7kmの速さで移動することが必要。時速にすると28,000km!速すぎてわからないので、わかりやすく言うと新幹線の100倍のスピードなんだそうです。それでも実感がないですが、とにかく速い!ってことです。この速さで回っていると地球の重力と釣り合って落ちてこないで、同じ高さをキープできます。

JAXAのいう宇宙は、地上100km以上から先の高さの空間ことを言います。国際航空連盟というところから転用している定義です。実は宇宙の定義は国ごとに違っていて、アメリカ空軍では50ニューティカルマイル(50海里=80km)以上が宇宙と定義されています。

人間が作ったもので宇宙を飛んでいるものは人工衛星だけではありません。
地球の周りで決まった軌道で回っているのが人工衛星。他にも月に入って月の表面を観測してきた「かぐや」、ご存じ小惑星「イトカワ」にいってサンプルを採取してきた「はやぶさ」、2015年から金星観測をはじめた「あかつき」など地球の周りではなく、他の惑星にいって観測してくるものは「探査機」と呼ばれています。

宇宙機

さらに、地球の周りを回っているけどしょっちゅう軌道を変えて国際宇宙ステーションにものを運ぶ「輸送機」。ちなみにロシアの輸送機「プログレス補給船」はカザフスタンの基地からなんと6時間で国際宇宙ステーションにものを運ぶことができるそうです!ロシアすごい!アメリカの場合はスペースシャトルの後を継いだ、「SpaceX」という民間会社の「ドラゴン宇宙船」ともう1社の「オービタル・サイエンシズ社」のシグナス宇宙船が現在、宇宙への輸送を担当していて、2019年にはもう1社加わるそうです。ヨーロッパは2015年に計画が終了したので、現在、輸送機を持っているのはロシア、アメリカ、そして日本の3カ国です。
この輸送機、探査機、人工衛星の3種類が宇宙を飛んでいて、JAXAではまとめると「宇宙機」という呼び方になっています。

ひとみ発射そして、それらの宇宙機を宇宙に運ぶのが「ロケット」です。
日本でロケットを発射できるのは2箇所、一つは種子島宇宙センターでこちらは液体燃料を使った大型ロケットの発射を、もうひとつ鹿児島県大隅半島の東にある内之浦宇宙空間観測所というところ。内之浦の方は、個体推進剤(マカロニ状の中空の個体燃料を燃やす)で飛ぶ比較的小型のロケットの発射を担当し、「はやぶさ」を発射したのもこの内之浦、そして日本で初めての人工衛星、その名も「おおすみ」を打ち上げたのも内之浦宇宙空間観測所です。

エリア04人工衛星のコーナーへ移動!
JAXAで飛ばされた衛星はすべて「静止衛星」です。「静止」とは地上から見たときにいつも同じいるところにいるように見えるためで、実際は赤道の上を36,000kmほどの高さで、地球の回転に合わせて、秒速3km(秒速ですよ)で回っています。地上に対して、常に定位置でいてくれるので、気象や通信・放送の分野で利用されています。

ゆりとこだまこの「ゆり」は1978年にケネディ宇宙センターから打ち上げられ、衛星放送の各種実験が行われた人工衛星。しかも本物です!「本物」というのは、人工衛星を作るときには常に2機作られていて、このスペースドームでは実際に打ち上げられたものではない、もう1機が展示されています。中身の部品も性能ももちろん同じ。打ち上げられた方は、1982年に燃料切れのために、運用が終了し役割を終えました。
同じく静止衛星の「こだま」は、JAXA敷地内にあるアンテナとデータ中継技術の試験のために打ち上げられ、「きぼう」日本実験棟をはじめさまざまな宇宙機とのデータ中継実験に成功。現在も活躍中です。お疲れさまです!

ガイドさんめっちゃ笑うきく次は、技術試験衛星「きく」。
「ゆり」とか「きく」とか人工衛星にはお花の名前が付けられていますが、これまでにはさくら、うめ、あやめ、などといったものがありました。お花の名前が付けられた理由は、宇宙航空研究開発機構の前身である「宇宙開発事業団」の理事長さんが「日本の宇宙開発が、花開くため」という願いを込めてのことだったんですって。今は、みなさんから公募した、たとえば「だいち」などといった名前がつけられています。

きく7号きく7号はデートを実験した人工衛星。
「おりひめ」と「ひこぼし」という二つがセットになった人工衛星を地上550kmのところで、大型のひこぼしからおりひめを自動操縦で10mほど切り離す、そして再びおりひめにひこぼしが近づいて行ってくっつくという実験「ランデブードッキング実験」をおこないました。
このランデブードッキングの技術は輸送機の「こうのとり」と国際宇宙ステーションのランデブードッキングの技術に受け継がれています。
そして、この素敵なデートの実験を行ったのは、1998年の7月7日。そう七夕なんですー。
宇宙を開発する人はお花の名前をつけたり、七夕にドッキング試験を行うなど、ロマンチックな人が多いみたい〜

きくのパネル日本の人工衛星の打ち上げが始まった頃はまだまだサイズも小さいものでしたが、実験内容や宇宙でやりたいことが増えてくると人工衛星もだんだん大きくなってきます。そうなるとこれまではあまり必要とされていなかったエネルギー(電力)も、大きさと比例して必要となってきます。
人工衛星「きく」でも太陽からたくさんの電気をとるために、太陽電池パネルの数を4枚、6枚、8枚と増やしていきました。

エリア04_きく8号携帯電話と衛星が直接通信できる技術を目的にJAXAとNTTと情報通信研究機構とで、共同開発された「きく8号」は、大型アンテナを装備。今は折りたためられていますが、側面のアンテナ2枚が翼のように広がると、なんと19m×17mの大きさになります。2枚合わせるとのテニスコート1面サイズ分くらいの大きさになります。この大きなアンテナで2つの地点の携帯電話の間に入って通信を行いました。衛星経由の電話は、地上のビルなどの建物の影響を受けないので、注目されていた技術。また地上の基地局を経由する端末では大規模災害が起こり電力が供給されないと、通信が途絶えてしまいますが、衛星電話だとそのような心配はありません。それが本当に役に立ったのが2011年の東日本大震災。被災者の安否を確認するなどでこのきく8号が活躍し、僕たちの暮らしにじっさいに役に立つことになりました。
この大きな人工衛星「きく8号」は3トンで、人工衛星としては中型クラス。大きいものになると5トンほどになるものもあるそうです。

いぶきとだいち人工衛星の活躍するシーンはまだまだあります、二酸化炭素や空気中のチリを計測する「いぶき」(どの国に何万トンのチリとか、いったいどうやって二酸化炭素の濃度を測っているんだろうを思っていた!)や、陸地の形を計測する陸域観測衛星、その名も「だいち」があります。3種類のセンサーがついていて、現在はたたんでいるパネルが広がると3m×10mになります。「合成開口レーダー」といいます。ここから地面に電波を送って反射してきたものを測定するという仕組みになっています。
地震の前後でどれだけ地面が動いたか、というのも1cm単位で測ることができたり、海に反射すると海水と氷で反射が異なるので、流氷の位置などもわかります。その情報を海上保安庁に伝えて船の航行の安全にも役立ちます。
2つ目のセンサーでは土の湿り気を測定できるので麦の刈り入れ時がわかったり、最後3つめのセンサーでは3点で計測し標高を含む地形がわかるので、地図作りなどにも役立てられています。

ピカピカの素材人工衛星はなぜピカピカなのか?目立ちたがり屋なのか?
この金色の素材は多層断熱材。熱の出入りを防いで人工衛星の温度保護をおこないます。
一番外側はカプトンというプラスチックの透明でやや金色の素材。その裏側にはアルミニウムを蒸着しているので二つ合わせると金色に光って見えるというわけです。金箔じゃない!
ポテトチップスの袋に似た構造なのですが、200〜300度の温度にも耐えて紫外線にも強いすぐれものの素材です。2層目以下はアルミニウムの反射材を使って外の熱を断つのですが、これらの反射材を幾つも重ねて多層断熱材ができています。しかし、反射材どうしの間に網状のものが挟まれていて、反射材どうしを直接重ねると、電導で反射材どうしでくっついてしまうので、ポリエチレンの網状のシート(ダクロンネット)を挟んでいるというわけなんです。
反射層+ダクロンネット+反射層+ダクロンネット…と繰り返し合計21もの層になっています。
真空状態の宇宙では、太陽が当たると100度以上、影の部分に入ると270度以下もの温度差があるので、このピカピカがないと300度の温度差で人工衛星は働かなければなりません。この多層断熱材があることによって、外の温度を人工衛星の中に伝えない、人工衛星の中の温度を外に逃がさないので、完璧ではないものの、人工衛星の中の温度は0〜40度に保たれ、長い間活躍できるというわけです。このピカピカは宇宙でその成果を見た目で誇るためではなく、きちんと役割があったんですね。
この多層断熱材には、太陽からどんどん飛んでくる電気を帯びた粒子が飛んできて、その際発生した静電気放電による火花で、表面のカプトンが焦げたり、中の機械が壊れてしまうこともあったので、表面に炭素の粉をまぜたものを塗り込み、表面に電気が流れるようにした「ブラックカプトン」という素材を使用した人工衛星も飛ぶようになってきました。

ピカピカ素材のヒミツこの多層断熱材と人工衛星をくっつけているのはマジックテープ。
人工衛星の地上での実験中なんどもつけたりはずしたりすることがあるので採用されました。
こんなマジックテープで大丈夫なのか?と思うかもしれませんが、宇宙では真空状態でほとんど風が起こらないので、外れる心配もないということだそうです。

こうのとり続いては、国際宇宙ステーションにものを届ける無人輸送機「こうのとり」。
こうのとりさんは、高さ9.8m、直径4.4m、実物大です。6トンの重さの荷物を運ぶことができます。その荷物は2種類。
上の方は空気の入っている部屋で与圧部と言います。この中には宇宙ステーションの中で使うものが入ります。例えば宇宙飛行士の着替えや、食料・水、実験で使う実験消耗材や実験サンプルや機材など、国際宇宙ステーションの中で使うものは空気の入った部屋で運ります。
もうひとつは国際宇宙ステーションの外で使われる装置の予備品や交換品など、断熱材を貼った非与圧部と呼ばれる中段のどてっぱらに穴を開いた箇所で宇宙に晒したまま運びます。外で使うので宇宙空間に晒したままでオッケー。どうせ外で使うし。

こうのとりを見上げる6トンの荷物を入れると、こうのとり全体では16.5トンになります。したがってJAXAで持っている最大のHIIBロケットで運ぶ必要があります。
HIIBロケットは全長57m、固体ロケットブースが4本ついていて、重さは531トン。そのうちの87%(460トンちょっと)が燃料で、残りの13%(69トンくらい)が機体の重さ。
重さのほとんどを占める460トンの燃料を15分間で一気に使い切って、軌道に乗せるためにこうのとりを切り離します。この時の速度が秒速7.7km(秒速ですよ!)すなわち時速280万km(新幹線の100倍ですよ!)になります。するとこうのとりは重力に負けずに落ちてこずに、国際宇宙ステーションに近づいて行ってドッキングできる、というわけです。

こうのとり内部じゃあ、ものを運び終えた後のこうのとりは何をするのか?ゴミの後始末です。
6人の宇宙飛行士が生活する国際宇宙ステーションではたくさんのゴミがでます。主なゴミは食べ物の入れ物、缶詰の空き缶やパッケージなど。そして、宇宙飛行士の来た衣服も捨ててしまいます。下着は2日に1回、シャツは1週間に1回、ズボンは1ヶ月に1回交換します。宇宙には清掃局もクリーニング屋さんもない。

そして、もうひとつのゴミは、排泄物。
国際宇宙ステーションにはトイレがロシアとアメリカの区域にそれぞれ1箇所ずつ合計2箇所あり、小便の方はホースのようなもので吸い取り、ステーション内の真水に変換する装置を通して再利用されます。
では、大の方は、、、使いようがない!

普通の大便器にきばったあとは、重力がないので吸い込まれません。ですから空気の流れをつくってプラスチックのバッグの中に便が吸い込まれます。その後は宇宙空間にさらして水分を抜き、カラッカラに乾かした状態でゴミとして捨てる。
そして、実験で使った消耗品なども与圧部にガンガンつめていきます。
このゴミが詰まった復路のこうのとり(復路)は秒速7.7kmで大気圏に突入。あっという間に一千数百度で燃やされ、灰になってなくなります。豪快な焼却!
物資の輸送と同じくらい大切なゴミの後始末。こうのとりさん、ありがとう!

きぼう外観スペースドームの中には国際宇宙ステーションの日本の実験棟「きぼう」のモックアップ(実物大)も展示されていて、中に入ることができます。

国際宇宙ステーション国際宇宙ステーションは1998年から始まって、40数回の組み立てを経て現在の姿になりました。大きさは、横幅108.5m、8枚の太陽光パネルが付いていて、このパネルが太陽の方向を正面に向いた時には120kwの発電が可能。前後の長さは78.2m。正面にきぼうがあり、中央にハーモニーというモジュール、日本のきぼうのお向かいは欧州の11カ国が参加しているヨーロッパ宇宙機関のコロンバスです。国際宇宙ステーションに参加している機関は、アメリカ合衆国、ロシア、日本、カナダ、そしてヨーロッパ宇宙機関 (ESA) で、それぞれの選抜された宇宙飛行士6名が約半年間、この中で生活することになります。JAXAからは油井宇宙飛行士が2015年7月から12月まで滞在しました。
ここで研究された宇宙実験の成果は15カ国の参加国で分け合うことになります。

大西宇宙飛行士2016年は大西飛行士、来年は金井宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに滞在する予定です。

希望実験棟いよいよきぼうの中に入ります。中は高さ幅とも2.2m、長さは10mほどで大型バス1台分くらいの広さ。

きぼう内部

きぼうの中で遊泳体験宇宙遊泳した気分になります。

きぼう内部のラックきぼう内部のラック四方の壁にはラックと呼ばれる箱がびっしりと並んでいて、実験装置が入っています。
このラックの中にはアメリカの実験装置もあって、国際宇宙ステーションは国際協力の場なので、アメリカ人の宇宙飛行士がこの中で実験をすることもあります。

青いところを掴むべし宇宙飛行士は無重力で作業をするので、この青い手すりを持って体ごと移動しながらラックにたどり着きます。天井に立つこともあるし、壁に張り付いたり。ただ、この四方の壁で繰り返すと「どっちが上だったかなぁ」とわからなくなることもあり、この状態は人間にはとっても気持ち悪い状態。ですからこのきぼうの中では、上(地球と反対側)に明かりをつけて「こっちが上ですよ」とわかる状態にしておきます。この明かりを12時間ごとに点けたり消したりして、宇宙の中でも宇宙飛行士のみなさんがどこが上かをわかるようにして、感覚を保つことができるようにしています。

顔がパンパンになる無重力では顔もむくんできますよ〜

また、無重力状態でろうそくを灯すと、炎の形は丸るくなってすぐに消えてしまいます。地球上で燃やしたろうそくが、上がとんがったあの形になるのは、暖まった空気が上へ流れているせい。宇宙では空気の流れがないので、炎はろうそくの芯の周りに溜まっていくので丸く大きくなり、火を燃やす酸素がなくなるので、すぐ消えるという仕組みです。
これを人間に置き換えると、酸素を吸い吐き出した二酸化炭素が自分の周りを囲んでしまうので、呼吸に必要な酸素がなくなってたちまち窒息という事態になってしまいます。ですからこのきぼうの中では人工的に空気の流れを作り出しています。

空調効いてるここから空気が出てきます。
地球上と同じ1気圧で、空気の中に含まれる成分も1/5が酸素、4/5が窒素です。酸素は水を分解して生成され、窒素は輸送機で地球の窒素を圧縮したものが運ばれていきます。

吸気口呼吸で吐き出した二酸化炭素は、この排気口から吸気され、部屋の外にでていきます。きぼうの中では温度も摂氏25度、湿度も40〜50度と大変快適な状態に保たれています。

ジャンプしてはいけないこちらは「エアロック」といって、宇宙飛行士のみなさんが船外活動をする時に、船外に出て行くときに通ります。通常、中と外で圧力が異なると激しい空気の流れが起こりますが、それを防ぐための装置。

ロケットずどーん続いてはロケットの展示、ズドーン!
ここには、歴代のロケット約1/20スケールの模型が展示されています。JAXAのロケットには2種類、固形燃料を燃やす固体燃料推進、液体推進剤を使う大型ロケットがあります。

ロケット小さい一番左端のロケットだけは実物大、ペンシルロケットと言います。このロケットだけは宇宙に行くことはなく地上試験で使用されました。1955年当時、東京都国分寺の東京大学生産技術研究所の糸川博士が水平発射をしてロケットの加速の研究を行いました。全長23cm、直径1.8cm、この小さなロケットから、日本の宇宙開発がはじまりました。

日本の半世紀にわたる固体燃料ロケット技術を受け継ぎ、自立点検、モバイル管制などさまざまな改良を加えて、信頼性や性能が向上したイプシロンロケット「M-V(ミューファイブ)」は、ごぞんじはやぶさを2003年に打ち上げました。

はやぶさはやぶさです、打ち上げられました!

この後、ロケットは大型化や斜め発射などの技術が進み、やがて液体燃料を使った大型ロケットへ。

ロケット勢揃い左の白い3本のロケットは、順にN1、N2、H1という名前が付いています。N2までは液体水素、液体酸素の燃料を使うロケットエンジンを搭載していなかったのですが、H1ロケットでは第二段ロケットに改良され、エンジンも日本独自の技術で開発したLE5というものが使用されました。このH1ロケットから液体水素を発射剤に使うエンジンを搭載できたぞー!ということで水素の元素記号“H”が名前に付けられました。ちなみにN1、N2ロケットの“N”はNIPPONのNです、しかしエンジンはUSA産です。

そして、左から4本目H2ロケットは完全100%国産化できたロケット。

ロケット長いロケット広場に展示してあるこれがH2ロケットです。長ーーーい。

噴射口H2ロケットではエンジンもLE5Aという新型に改良され、一度エンジンの火を消した後ももう一度点火できる再着火という能力を持つことができました。2回切り離さないと衛星軌道に乗せることができなかった3段式のロケットが必要だったのを、再着火することで2段式でも軌道に乗せることができるようになりました。

さらに信頼性をあげたH2Aロケット、人工衛星「こうのとり」(16.5トン!)を運んだH2Bロケットというように進化してきました。そして、JAXAはこのH2ロケットの開発を終了。現在では、H2シリーズロケットの生産を三菱重工に移管し、JAXAは次の世代のロケットH3ロケットシリーズの開発に着手しました。

H3シリーズでは主に商業衛星を打ち上げることを目的に現在鋭意研究中!部品点数を減らす、種子島での組み立て期間を短縮し、少しでもコストを圧縮してロケット技術を広くつかってもらおうという試みが始まっています。2014年から開発が始まったH3ロケットは、2020年オリンピックイヤーには試験機1号が種子島宇宙センターから発射する予定です。

続いては、JAXA見学ツアーへGO!

【詳細情報】
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
電話番号:029-868-5000
住所:茨城県つくば市千現2-1-1
URL:http://www.jaxa.jp/about/jaxa/index_j.html

(text:西村、photo:市岡 ※一部の写真はJAXAさん提供)

しゃかいか!編集部から一言

加藤 洋

加藤 洋

はじめての筑波!はじめてのJAXA!はじめての宇宙体験(仮)でした!筑波は秋葉原からTX(つくばエクスプレス)で1時間もかからず訪れることができます。筑波研究学園都市には魅力的な研究施設が数多くあるので再訪したいです。

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