【熊本震災支援イベント】黒川温泉に100人集めて「お金を落として」「情報発信しよう」に参加してきました!(一日目)
今日しゃかいか!がやってきたのは熊本県!
4月に発生した熊本地震の復興に向けた支援イベント、黒川温泉に100人集めて「お金を落として」「情報発信しよう」に参加しております!
このイベントは、どこの地元にもコロがっている「場所」や「仕事」「小ネタ」など、地元愛を感じてしまう話の数々を集めて発信中の、どこでも地元メディア「ジモコロ」さんが音頭をとって、今回の熊本地震の復興に向けて少しでもお役に立ちたい100人以上のライター・編集者やブロガー、クリエイターが同じ日に集まって黒川温泉に泊まって、とにかくお金を落として、熊本を満喫して情報発信しまくるというのが目的。
この人がこの催しの発起人、ジモコロ編集長の徳谷柿次郎さんです。
この【熊本震災支援イベント】黒川温泉に100人集めて「お金を落として」「情報発信しよう」のきっかけは、徳谷柿次郎さんが、震災後黒川温泉のある熊本県南小国町の町長さんにいろんなお話を聞いて、ジモコロというメディアで自分たちでできることは何か?を考えた時に、日頃やっているよりたくさんの人に早く情報を届けることができるインターネットの力を使って、黒川や熊本という土地の魅力を伝えて、復興のお手伝いを少しでもやろう、と思ったからです。
300年の歴史を持つ温泉旅館「御客屋」の代表取締役・北里有紀さんから「好奇心優先でもいいから、とにかく現地に来て感じてほしい」「これから必要なのは経済・生活を維持するためのお金」「明るい話を外に発信してほしい」というリクエストを受けて、現地の情報はもちろん、そこで体験した「感情」も一緒に伝えよう!ということで、トントン拍子に一週間ほどでやろうということになり、7月2日・3日の二日間、情報発信の猛者を集めて情報の伝播のきっかけを作る今回の企画が実現しました。
今回のツアーの経緯と内容をまとめたジモコロさん渾身の記事「自腹で情報発信! 熊本震災支援イベントに【100人のライター】が集まった結果」はこちら!
http://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/kakijiro017
黒川温泉の北里有紀さんです(写真右)。
ということで、阿蘇くまもと空港に降り立ち、バスで出発!
今回のスケジュールは
1日目
2日目
となっています。
阿蘇くまもと空港のある益城町は、屋根をブルーシートで覆っているお家や波打っている道路がまだたくさんあり、今回の地震で最も被害の多い地区。
阿蘇くまもと空港から黒川温泉までは約2時間。阿蘇山の外輪山を北に回って阿蘇神社に向かいます。
バスの中からの眺めサイコー。でも、よくみると美しい草原の中に、ときどき地震で地滑りしたところがあり、爪でひっかいたように土がむき出しになってしまっています。
バスは一旦停止し、休憩。
阿蘇の景色を見ながら、記念撮影をしました。
「阿蘇の精神的支柱」ともいわれる阿蘇神社到着。
国の重要文化財に指定されている楼門や拝殿が崩れ落ちてて、地震の跡が生々しく迫ってくる。
完全な復旧には10年以上かかるそうです。
現在は仮設の参拝所があります。
復興をお祈りします。
「日本で最も美しい村」南小国町に到着!
ちょうどお昼ご飯の時間に南小国町役場に到着。
南小国町は「日本で最も美しい村」連合に参加している村の一つです。「日本で最も美しい村」連合には、美しい景観に配慮したまちづくりを行っているか。住民自身による地域活動が積極的か。地域特有の工芸品や生活様式を守っているか。など「景観」「環境」「文化」という側面から厳しい審査を経て加盟することができます。
町の産業は、林業や黒川温泉に代表される温泉やアウトドアの観光のほか、標高が高く寒冷な気候を生かした野菜や米、畜産などの農業が盛んです。
ゼンマイ・しいたけの煮しめや、まいたけや車麩の揚げ物など山の幸が盛りだくさんのお弁当をいただきます。豪華すぎる!こんなにいただいていいのかな、と思いながらありがたく完食させていただきました。ごちそうさまでした。
役場の建物の中で町長さんたちのご挨拶が始まるのを待ちます。
建物は木造で、中のホールにも南小国町産の小国杉が使われています。日光が天窓から採り入れられていて明るい。
まずは、南小国町の高橋町長からのご挨拶。
町の紹介につづいて、南小国の素晴らしい宝物のことをお話ししてくれました。
「町にいるときは買い物するところや娯楽もなくて何にもない町だと正直思っていたけど、20年振りにこの町に帰ってきて、星の美しさやホタルといったすばらしい故郷に気づきました」
南小国町のひとはのんびりゆったりしていてとても暖かい
そして、町づくりへの思いも。
「人口は4,000人ちょっとで、37%の高齢化率の南小国町。町全体で30人程度の子供達がうまれているが、地域の人たちが『あんたどこの子やね』と町のみんなが知っていて誰でも声を掛け合うぬくもりのある地域。
長年の経験で培ってきた知恵や生きていく高齢のみなさんのノウハウと、勉強スポーツだけじゃなくて、若い世代、特に子供には、なんでもいいから外に行って海外に行って経験を積み、人間の幅を広げる経験を積んでほしい。そして、町のいいところ悪いところをみんなともう一回見つめ直しながら、生きがい・やりがいを見出せる地域にしないといけないな、と考えています」
そして、最後に
「五感で感じて楽しんでくださいっ!」
と元気いっぱいに、イベントの開会宣言!
これからお楽しみモードに突入です。
レセプションでは、地元の伝統芸能「吉原神楽」が披露されました。
毎年9月20日に行われる吉原例大祭で五穀豊穣、無病息災を祈願し、奉納される神楽。この神楽は吉原集落に120年伝わる伝統芸能で、無形民俗文化財にも登録されています。
「天照大神さま、出てきてください」がテーマの舞
吉原神楽の演目はいくつかあり、今日は「岩戸開き」という出し物。
筋を簡単にご紹介すると、神話の時代のお話で、高天原(タカマガハラ)で悪事をはたらく素戔嗚命(スサノオノミコト)に怒り、天の岩戸にお隠れになってしまった天照大神(アマテラスオオミカミ)。
お隠れになってしまった結果、世界は暗闇となり、作物も生物も育たず、果ては邪悪な神が災いを至るところで起こすようになるという、世界はまさにダークサイドに。
困った八百万の神たちは、思兼命(オモイカネノミコト)を中心に、相談して知恵を絞り、岩戸の前で宴を催す。天鈿女命(アマノウズメノミコト)は岩戸の前で踊り、最後は天手力雄命(タヂカラオノミコト)が岩戸をこじ開け、天照大神を外に連れ出しました。そして、高天原に再び平穏が戻るという神様たちのお話です。
神楽のリズムと神様たちの舞の迫力で、神話の世界に引き込まれていきます。
暗く悲しい世の中をもう一度明るくしよう、という神楽のテーマは「今回の地震で、被害にあった人に元気になってもらい、扉を開いて新たな希望を見つけよう!」というみんなの願いが込められているみたい。
神楽の迫力で、すっかり気分にスイッチが入ってしまいました。
いよいよ黒川温泉に乗り込むぞー!
ということで、到着しました黒川温泉!
100人以上の人たちが一斉に温泉街を占拠してしまうのは大丈夫なのかな?空いているのかな?と心配していましたが、きっちり宿は振り分けられてました。さすがジモコロさん&温泉旅館組合さん共同企画。
今日お世話になるのは「いやしの里 樹やしき」というお宿。
樹やしきさんは黒川温泉のメインストリートから少し離れた高台にあります。
「樹やしき」という宿のお名前の由来は、初代のご主人が黒川温泉のとなりにある小国町で製材業を営んでいたことに因んでいます。
当時の小国郷は杉や檜が需要が高く、九州圏内から遠くは関西まで手広く木材製品を出荷していました。初代のご主人が、戦後まもなくこの宿の土地を立ち木とともに購入。杉の樹を伐採して材木屋の持ち山とし、その後この場所は温泉が出るという言い伝えがあったので温泉ボーリングをしてみると見事!温泉が湧き出て、小さな旅館を立てたのがはじまり、なのだとか。
名前の通り、建物にも周りの風景にも木が感じられる工夫が施されていて、あたたかかく迎え入れてくれる雰囲気があります。
ご案内してもらうのは、離れのお部屋。
こういう機会がないと来れないくらいの豪華なお宿。ジモコロさんありがとう!
囲炉裏もあるし、
バーカウンターもある。
樹やしきのコンセプトは「非日常を演出する大人の宿」です。
このバー、「森のラウンジ」とも呼ばれています。昼は久住連山が目前に広がり夜はライトアップされ、幻想的な景色を映し出します。阿蘇の野焼きが行われる2月初旬のうちの数時間には、燃える森を目の前に見ながら、おいしいお酒をいただくことができるそうですよ。
非日常を思いっきり満喫したいと思います。
宿の主人ご自慢の焼酎蔵には「森伊蔵」はじめ、二度とお目にかかれないようなプレミアムな焼酎たちがずらり。
「見せてくださ〜い」そして「ちょっと試してみたいわ〜」と上手に甘えると嬉しいことがあるかもしれませんよ。
では、温泉へGO!
湯めぐり達人にはうってつけ、お得な入湯手形だよ
僕たちの入浴シーンをご期待の皆様には申し訳ありませんが、先に入湯手形をご紹介します。
こちらの丸い木の板は、黒川温泉名物入湯手形。1枚千円で各旅館の好きな露天風呂(3つまで)を巡ることができます。
この入湯手形は半年有効で、黒川温泉の旅館24箇所、入浴施設2箇所で使用可能。提示すると特典がもらえるお得なサービスもあるし、すべての温泉を完全制覇した人には、賞品のプレゼントのほか、湯めぐり達人の称号とともに、名前が掲示されます。
みんなで知恵をだして生まれた、黒川温泉名物「入湯手形」
この入湯手形、黒川温泉のみなさんが頭をひねって編み出した優れもののシステムです。
そもそも、黒川温泉は300年の歴史がありましたが、20年前までは黒川温泉は熊本県の温泉地図にも載っていなかった秘湯の中の秘湯、というか正直、最近までは鳴かず飛ばずの状態。
古くから、温泉を軸とした半農半宿で長い間、土地を守っていましたが、1964年に南小国温泉の一部として国民保養温泉地に指定。そして、やまなみハイウェイの開通により一時的に盛り上がりをみたのもつかのま、休日以外は客足は伸びず、温泉地でありながら湯を楽しむ宿泊客よりも、宴会中心の状況が続いていました。
その頃、黒川温泉全体の再興を期して考え出されたのがこの入湯手形。
「旅館は単独で栄えても仕方がない、いっそのこと、すべての旅館の露天風呂を開放してしまったらどうか」というアイデアから始まり、1983年に1,000円で黒川温泉の露天風呂ならどこでも入ることができる、というこのシステムが完成したのだそうです。
黒川温泉名物「入湯手形」は黒川温泉の地域づくりにも貢献しています
入浴客にとっては、いろんな湯が楽しめてお得なのはもちろん、この入湯手形は地元の人にも潤いを与えています。
この入湯手形は、老人会のおじいちゃんおばあちゃんが手作り。1枚当たり25円の手間賃で、おじいちゃんおばあちゃんが年に2回ほどの旅行に行けたり、お孫さんにお小遣いをあげたりできるよう収入になっているそうです。
と、黒川温泉の歴史と入湯手形の成り立ちを勉強したところで、さっそく温泉へGO!
樹やしきの温泉は、男女2つずつの露天、家族湯など湯三昧にはありがたいお湯で、泉質は硫黄泉です。
夜9時には男女入れ替えがあり、家族湯(宿泊者専用)も含めると合計8つのお湯に浸かることができます。
広々とした混浴露天もある、うふふ。
温泉の中は、撮影禁止なので、お写真は樹やしきさんからお借りしました。
入湯手形をフル活用するため、急いで次のお湯へ移動!
黒川温泉はNO看板!
街の真ん中を流れるのは、九州最大の河川・筑後川の源流。この川の渓谷にそって、温泉宿が並んでいます。
人通りはちらほら。人気度の高い温泉街としては少し寂しいかなぁーという印象です。
黒川温泉のテーマである「露天風呂と田舎情緒」を支えているのは、温泉街を形成するお宿が一体となって町づくりをしているからです。豪華な特産品もなく、近くにテーマパークもない。あるのは豊かな自然と温泉のみ、ということで、旅館組合の主導で統一的な街並みをまもるため、派手な看板は禁止。美しい景観や落ち着いた雰囲気を醸し出すのはこのように町の人全体で協力しないといけない、というお手本です。
「黒川一旅館」
旅館の人が口にするキーワードは「黒川一旅館(くろかわいちりょかん)」。これは、黒川温泉街で大きな一つの旅館だ、という考え方。
黒川温泉というおおきなお宿の中で、道路は黒川という旅館の廊下、各旅館は部屋の一つ、街全体で黒川温泉を味わったもらいたいという、町の人みんなを貫くコンセプト。
先ほど紹介した入湯手形や派手な看板禁止の取り決めも、この考え方のもと、編み出された施策の一つで、書くと簡単なのですが、そこにたどり着くまでには、困っていることや悩みを共有したり、みんなの合意を形成したりと、大変な道のりがあったのだろうと思います。
そして、黒川温泉の旅館には浴衣で外出しやすいように、足袋やタオルを持ち運ぶための巾着袋が用意されていてとても便利。温泉街全体を楽しんで欲しい、という思いを実感することができました。
そして、お邪魔したのは「のし湯」さん。
とても風情のある佇まいです。
カウンターで入湯手形を出して、
温泉へ。
例によって温泉の中は撮影NGなので、お借りした写真で。
のし湯の泉質は弱酸性の単純泉です。
打たせ湯が気持ち良いので、ついつい長湯してしまいそうになります。
たくさんのお湯が楽しめるけど、ゆっくりしているとたくさん回れない、入湯手形ちょっと意地悪じゃないか、と思ったりしました。
湯上りに湯を飲む!
温泉卵を見つけました。一つ50円。
見よ、この見事な温泉卵!
アッツー!
温泉卵は食べるんちゃうで、飲むんやで。
そして、卵割る時には一度しか叩いたらあかんで。
しゃかいか!編集長は温泉卵のうんちくを垂れながら、チューッといただきました。
ごちそうさまでした。
と、ここで湯めぐりタイム終〜了〜!
次の大宴会の時間がやってきたので、わずか2軒で湯めぐりは終了。まあ、今晩も明日もあるし、まあいっか。
大宴会会場到着ー!
会場は三愛レストハウスという、黒川温泉から車で20分ほどのところにあるところ。
ひろーい、走りたくなる!
ぶぅおぉぉぉぉ〜という法螺貝とともに始まったのは、
和太鼓の演奏。
ドンドコドンドン、ドコドンドン♪
「エイヤーッ、ソヤサー」と掛け声がかかります。
すごいおもてなしやなぁと感激。
温泉組合の北里さんも、バチを振るいます。
カッコイイ!!
そして、お肉の匂い。
ドンドコドンドコ♪
肉汁〜
ドンドコドンドコ♪
アマゴの塩焼きー
ドンドコドンドコ♪
おいしい匂いとともに準備は着々と進む。
テーブルには熊本名物辛子レンコン!
豪華なお食事やスイーツも並べられ、
かんぱぁ〜い♪
大宴会の始まりです。
地元の人たちも合わせて総勢200人ほどが、元気に乾杯。
ただただ、おいしく楽しい時間
町長さんも元気!
地元の方による演奏も。
みんな、時間を忘れて楽しむ。
いろんな人とお話をして、お料理も演奏も楽しんで、お腹も気持ちも満たされてあっという間の2時間の大宴会は終了。
そして締めは北里さんのお話。
地震からこれまで2ヶ月半の思いがこみ上げて思わず涙のスピーチ。
キャンセルが発生して、予約が真っ白になって、関係業者さんから送られてくるゼロの少ない請求書の額を見て、その方の家族・スタッフさんはどうなるんだろうと途方にくれた。しかし、みんな前向きにやっています、と参加者へのお礼の挨拶で、大宴会はおひらき。
あっ!思い出したっ。
黒川温泉、熊本の応援に来てたんだった。
けれど、もっと楽しんで、もっと伝えねば、そしてお金を落とさねば、という決意を胸に第一日目のツアーは終了しました。
第二日へと続く。
【熊本震災支援イベント】黒川温泉に100人集めて「お金を落として」「情報発信しよう」
URL:http://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/kumamoto20160702
日時:2016年7月2日(土) 〜 3日(日)
熊本県南小国町 黒川温泉
http://www.kurokawaonsen.or.jp/
いやしの里 樹やしき
お宿 のし湯
有限会社 山のいぶき
押戸石の丘
(text:西村、photo:市岡)
※写真提供協力
・いやしの里 樹やしき
・お宿 のし湯
・有限会社 山のいぶき
・佐藤 勝明
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