さまざま乳酸菌が大活躍するヨーグルト工場! 明治なるほどファクトリー 関西
Добро утро(ドブロ・ウートロ)!
今日は、しゃかいか!こども隊員と明治なるほどファクトリー関西にやってきましたー!
明治なるほどファクトリー関西は、株式会社明治の関西工場の中にある体験型の見学施設です。
こちらの関西工場では、ヨーグルトなどの乳製品や乳飲料を作っています。
今日学ぶのはヨーグルトができるまでです。
いつも食べてるヨーグルト。牛乳から作られてるのは知ってるけど、どうやって作られているのでしょうか?
工場の中を見せてもらう前に、スライドでちょっと勉強します!
ガイドしてくださるのは施設長の田中さん。今日はよろしくお願いします!
田中さんは、以前は明治で原乳の調達を担当。全国の農家さんのところを回って原料となる生乳を工場に送っていました。
そして、現在は明治なるほどファクトリーの施設長に就任。
「乳製品のことならなんでも聞いてね!」
生乳は工場の近くの牧場から、新鮮な状態のものを取り寄せます。生乳は「なま」なので、冷やしたままタンクローリーで運ばれてきます。
牧場から運んできた生乳を受け容れるタンクがドドーン!関西工場に届いた生乳はヨーグルトや乳飲料のほか、アイスなどにも使われます。
牛乳を酸っぱくするから「乳酸菌」
次にヨーグルトのもう一つの原料である「菌」のお勉強。
ただし、菌ならなんでもいい、というわけではなくて、ヨーグルトを作るには「乳酸菌」という菌が必要です。乳酸菌は牛乳の中の糖分を分解して、乳酸などの酸っぱい成分に変換(「発酵」といいます)する働きをします。牛乳を酸っぱくするから「乳酸菌」なんですね。
日本の発酵乳規格では「1ml中に1,000万個以上の乳酸菌が含まれているもの」と個数まで決められています。
さまざまな種類がある乳酸菌ですが、ヨーグルトを作るためには主に二つ、ブルガリア菌(写真の細長い方)、サーモフィルス菌(丸い方)が必要です。
善玉菌と悪玉菌、それに日和見菌??
人の体の中にはヒトでは約3万種類(1000兆個)の腸内細菌がいると言われています。腸内に存在する細菌の種類と数の多さから、まるでお花畑(フローラ)のようだ、ということで生まれたのが「腸内フローラ」という考え方。テレビなどのメディアでよく耳にするようになりました。
そして、腸内にこれだけの数の細菌がいれば、良いやつも中には悪いやつもいる(人間にとって)。
ということでが生まれた「善玉菌」「悪玉菌」という言葉ですが、乳酸菌も善玉菌のひとつ。
もう一つ日和見菌というのもあって、良くも悪くもないけど、強い方についてしまうよ、という名前の通り「ひよってる菌」。
しかし、善玉が増えさえすればそれでいい、というわけではなく、2(善玉):1(悪玉):7(日和見)の割合が人間にとっておおよそ好ましいとされています。何事もバランスが大事なんですね。
近年、日本人の大腸ガン罹患率も増えているそうで、生活習慣や食べる物の変化によって日本人の腸内フローラが変化してきたのが理由ではないか、と言われています。
ヨーグルトができたのは偶然!
そもそもヨーグルトができたのは今から5,000〜6,000年前の古代エジプトとされていて、木桶や皮袋に入れておいた牛乳に偶然、乳酸菌が入り込みヨーグルトが生まれた、とされています。
当時のヨーグルトはドリンクタイプ「しゃばしゃば」で、最初に口にした人は「なんだこりゃ!?でもおいしい」
と思ったのでしょう、きっと。初めて口にしたとき、おいいしいと思わなければ広まらなかったかもしれません。たまたま入りこんでくれてありがとう、乳酸菌!
古代からエジプトの人たちが食べていたヨーグルトをヨーロッパに広めたのがこの人、イリア・メチ二コフというウクライナの微生物学者。
メチニコフさんは食菌作用の研究で1908年、ノーベル生理学・医学賞を受賞。彼は旅行中にブルガリアの人が健康で長寿で、ヨーグルトを食べていることに着目。「この食べ物には何か秘密があるに違いない」という思いから、腸内の腐敗菌と毒素産生を抑制すると考え「ヨーグルト不老長寿説」を提唱。ヨーグルトの価値を世界に広めました。
ここまで勉強をしたところで、ヨーグルト作りの現場へ出発します。気分は乳酸菌!
見学者用通路から、生産ラインを見ることができます。
まず、到着した生乳は工場で厳しく検査され、合格したものだけが製品になることができます。
原料受け入れの際にまず行われるのは「異物検査」。目には見えない小さなゴミやホコリが入っている生乳を「クラリファイヤー」という機械で高速回転させたり、フィルターに生乳を通すなどしてゴミやホコリを取りのぞきます。
次はホモゲナイズ
生乳などの原料を混ぜて均質する工程。
この機械は「ホモゲナイザー」といって、脂肪を細かくなめらかにして、飲みやすくするためのもの。生乳には脂肪分がふくまれています。脂肪が大きいと、クリーム状になって分離してしまうので、それを防ぎ均質にするのがこのステップ。
均質化された生乳は、パイプを通って熱で殺菌され、冷却。
ここで登場するのが、乳酸菌です!
この大きなタンクで殺菌が終わった生乳に乳酸菌を加えていきます。「接種・混合」といいます。
ブルガリアヨーグルトは本当にブルガリア生まれの乳酸菌を使っています。
これがブルガリアヨーグルトの種菌となるブルガリア菌。定期的にブルガリアから運ばれてきます。なぜわざわざ、そんなことをするかというとブルガリア菌は現地以外で培養すると性質が変わってしまい日本では作ることができないから。毎月、このような種菌がブルガリアから届き、ブルガリアヨーグルトとなります。
今ではおなじみとなった酸っぱく柔らかいタイプのプレーンヨーグルトが日本で普及したのは、1970年の大阪万博以降。それまではちょっと甘めで固めのゼリー加工が施されたヨーグルトが主流でしたが、大阪万博のブルガリア館で展示されていた本物のブルガリアヨーグルトを明治の担当者が初めて食べ、その味に感動して開発が始まったのだそうです。
発売してしばらくは「酸っぱい、腐っているのではないか?」と、ブルガリアのヨーグルト初体験のお客さんからお叱りの声をいただいたこともあったそうですが、消費者の健康意識の高まりもあり、「明治ブルガリアヨーグルト〜♪」の印象的なメロディーも広く定着し、次第に冷蔵庫の定番アイテムに。
発売以来売り上げは好調で、パッケージの赤い帯には「ヨーグルトの正統」を名乗ることができるほどに普及しました。
メイジレンジャーが登場!
テレビCMや店頭では、LG21やR-1などアルファベットのヨーグルトにお目にかかかる機会が増えてきましたが、その理由は乳酸菌にはさまざまな種類(なんと数千種!)があり、その役割もさまざまなことがわかってきたから。
免疫力が高まるといわれるR-1乳酸菌、
胃炎や胃潰瘍、胃がんの原因とも言われるピロリ菌と戦うOLL2716乳酸菌、
取りすぎると尿酸が増えて痛風になってしまうプリン体と戦うPA-3乳酸菌、
腸のバリア機能を高める「抗菌ペプチド」という物質の表れを高めるのを手伝うLB-81乳酸菌など、乳酸菌のさまざまな働きが発見されています。
このように、タンクの中では種菌が混合され、その後は容器に充てんされていくわけですが、カップタイプのプレーンヨーグルトと、フルーツヨーグルトやドリンクヨーグルトでは後の工程の順番が少しちがいます。
カップタイプは後発酵!
カップタイプのヨーグルトは、容器に充てんされた後で、発酵専用庫で時間をかけて発酵。
充てん後に発酵するから「後発酵」と言います。
乳酸菌が活動するためには、一定の温度と時間が必要。発酵庫で少し時間をおくと、容器の中で乳酸菌が働いて発酵していきます。
ドリンクタイプは前発酵!
飲むタイプのヨーグルトは、中身を先に発酵させ、その後容器に充てんされます。先に発酵するから「前発酵」といいます。
充てんする工程では、ごく小さなホコリも入らぬよう工場の中で最も衛生的な環境になっています。キャップもどんどんはめ込まれていきます。
充てんされた製品は、製造年月日が印字され、内容量通りかをチェックする重量検査、金属探知機による異物検査などさまざまな検査を通過しなければなりません。
製造された製品はラインでのマシンによるチェックだけではなく、一定ロットごとに抜き出され、中身が仕様通りになっているかの理化学検査、雑菌の残存をチェックする微生物検査が行われます。
人の目や舌でもきっちりチェック。
厳しいテストを合格した検査員が色や実際に口にして舌触りなどが検査される風味検査も行われます。
出来あがったヨーグルトたちはこれでようやく出荷。
西日本のお店に並ぶ明治のヨーグルトは大半がこの工場で生まれ、旅立っていきます。
その数はなんと1日2~3000万個。
ヨーグルト大好き、日本人!
ヨーグルトが日本に本格的に普及したのは戦後。日本人にとって比較的新しい食べ物のヨーグルトですが、今や年間消費量は約9.5リットル(2014年日本乳業協会調べ)と一人当たり10リットル近くも食べる(もしくは飲む)ようになり、現在も伸び続けているのだとか。
このように僕たちの冷蔵庫の一角をがっちり占めているようになったのも、さまざまな乳酸菌たちやその働きが今日も研究され、安全・丁寧に作られている結果なのだ、と知ることができた今日の見学でした。
明治なるほどファクトリー関西のみなさん、今日はありがとうございました!Благодаря!(ブラゴダリャ)!
※あいさつをブルガリア語にしてみました。
【詳細情報】
明治なるほどファクトリー関西
電話番号:072-431-1236
住所:大阪府貝塚市二色南町16番地
URL: https://www.meiji.co.jp/learned/factory/kansai/
(text:西村、photo:西村、加藤)
※衛生面の理由から生産ライン機器など一部の写真は、明治さんから提供いただいたものを掲載しています。したがって他の工場の写真が含まれています。ご了承ください。
しゃかいか!編集部から一言
加藤 洋
ヨーグルトといえばブルガリア。ブルガリアといえばヨーグルト。1日ヨーグルト工場を見学して、ヨーグルトの重要性がよく分かりました!ブルガリアヨーグルトが出た頃はすっぺ!と思っていましたが、いまは毎日たべてるから食習慣っておもしろいなあとおもいました!
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