越冬ウコンに花咲かす87歳ウコン栽培 山崎一一(かずいち)さん
こんにちは!カレーにまつわる現場(ルウやカレー皿、スパイス研究所など)を取材するべく出没するカレー女坂田です。今回は、カレー女に新潟でウコン栽培をしている87歳のたくましい山崎さんという方がいるという情報が入りました。
カレー女のウコン知識は、
カレーを黄色くするスパイスがターメリックだよね…
二日酔いや肝臓を強くするウコンの力に使用されてるやつよね…とか
暖かい気候を好むから、インド、中国、国内でも沖縄くらいできっと生産してるよね!?くらいで
ウコンと聞いて大体の方が想像される情報量と同じくらい。圧倒的にウコンに対しての知識不足…。
ウコンって、どのような使われかたをしているのか知っていますか?
たくあんの着色から染色にも
実は、お漬け物のたくあんもウコンで着色されてあんなにまっ黄色になっていますし、
ウコンの和色名は「鬱金色」と書き、江戸前期頃は、鬱金という字が「金が盛んに増える」という意味に通じることから、縁起を担いで財布や風呂敷の染色として人気の和色だったそうです。なんと!縁起のいいお金持ちになる色だって。
さらには、美肌効果もあり美容に良いや、ダイエット効果もあるなど検索するとウコン効果が絶賛されまくってます。
ウコンのことが、もっと知りたくなってきました!
どこで、どうやって育てられているのか、まして、雪国でもある新潟でどうやって温暖を好むウコンを育てているのか!?
この謎を解き明かすには、これはもう現場である新潟・下田のウコン栽培の山崎一一(かずいち)さんのもとへ行くしかない!
さっそく、新潟・下田へ向かいます!
山崎さんのご自宅に向かう前に
山崎さんのウコンに出会えるよとご紹介いただいた下田の直売所へ。
な、なんだ、この魔法使い的なエリア!
道の駅の直売所で「健康薬草コーナー」を目撃した時の驚きは隠せません。
黄色い瓶や、ウコンの葉粒などいろいろな薬草が並びます。
手作りウコンが500円とは安すぎます!
地元の直売所で大変売れに売れているウコンを栽培している山崎さんに早く会いにいきましょう!と
ウコンを大量に購入し、山崎さんのご自宅へ向かいます!
山崎さん、山崎さんですね!
お会いしたかった山崎さんとのやっとのご対面です。
本日はよろしくお願いします!
「ウコンで元気」と山崎さん、今年で87歳だそうです。
山崎さんのご自宅で、育てたウコンを粉にしたものを見せていただきました!
まっまるで黄金の粉のようですね。
ウコンの粉が大量に入った瓶の蓋が開いた瞬間、
かっ香りが違う!
いっ色が濃い!
もう高まる興奮を隠せません。
「ウコンを飲んでみて」と山崎さん。
早速、こちらのウコンの粉をいただきました。
のっ飲みやすい!
普段カレーのスパイスとして使用している市販のものとは全然異なります。
山崎さんが、今や地元下田で人気商品となっているウコンを栽培し始めたのは27年前のことです。
定年旅行の沖縄でウコンに出会う
山崎さんとウコンとの出会いは、定年旅行で訪れた沖縄でした。興味からウコンの苗を購入し、地元下田で栽培を始めます。
ウコンを栽培する前から、パイナップルやバナナと、いかにも南国でしか育たなそうな果物も面白そうと好奇心から栽培をしてはいましたが、やはり最初から上手くはいきませんでした。
ウコンの栽培のために庭師、農協の方など、いろいろな人に話を聞きにいったり、
資料をいろいろなところから集めたりを繰り返し、独自の栽培方法を試行錯誤しながら導き出していきます。
トンネルの脇で冬を越す
寒さが厳しい冬は、ウコンの苗を入れたミカン箱に温度が下がりにくいように籾殻(もみがら)を加えてハウス栽培をしたり、農協の協力のもと、使われなくなったトンネルを改造して貯蔵庫にしている場所を利用して冬を越したりとさまざまな挑戦をしていきます。
さらに、通気性の良い土づくりもウコン栽培には重要でした。水はけの良い土壌を好むサトイモの肥料を使い、常に水を切らさないように注意をしいながらの土づくり。ウコンの苗を購入してから15年ほどかけて、やっとウコン栽培を成功させます。
そして昨年は、500キログラムものウコンを収穫したそうです!
収穫したウコンは乾燥させるのですが、
なんとこちらの網を取り付けた箱は、自前の乾燥機なのです。
網の下を開いて覗くと、中には温風を発生する装置があります。熱風がでる仕掛けになっているんです。
使う道具も全部が山崎さんお手製のものばかりです。
乾燥したウコンは、こちらの粉ひきにいちゃんが粉にしてくれます。
山崎さんは、ウコンの葉も無駄にはしません。乾燥させたウコンの葉を粉々にして一粒一粒を型抜きします。
そして誕生した「ウコン葉粒」は、食物繊維を丸ごと粒にしています。
はい、わたしは「ウコン葉粒」も購入しちゃいました。
ウコン葉粒のもとにもなっているウコンの葉が畑で茂っているよ!ということなので、
それでは、ウコン畑へいってみましょう!
現在、山崎さんのウコン栽培を継承するためにお手伝いをされている養蜂家の草野竜也さんと三条スパイス研究所の山倉あゆみさんとウコン畑へやってきました。
うわーすごい、よく育ったウコンの葉の丈は、山崎さんの身長に届くくらい大きくてビックリ!
山崎さん、草野さん、カレー女は今あたり一面が元気なウコンの葉っぱに囲まれています!
実は、山崎さんと草野さんには不思議なご縁がありました。
山崎さんのウコンの活動を聞いた草野さんは、下田で蜂蜜が取れないかと初めてこの地を訪れます。
初めて草野さんと出会ったはずの山崎さんでしたが、どうも「草野」と言う名字に聞き覚えがあるとの話。
なぜかと不思議に思った山倉さんたちが、周囲の家々に聞いてみます。
すると60年前に、このエリアの田んぼのレンゲの蜂蜜を取りに来ていた養蜂家の「草野青年」と言う人がいたそうで、
その草野青年こそが、なんと!草野さんのお祖父さんだったと繋がります!
草野さんの養蜂家としてのお仕事は、お祖父さまから受け継いだお仕事だったのです。
草野さんもこれにはびっくり。奇しくも草野さんのお爺様は一昨年に他界されており、何かご縁のようなものを感じ、草野さんは山崎さんのウコンの担い役として、今回このウコンの栽培継承プロジェクトに参加することになります。
こちらの畑には、春ウコンと秋ウコンが植えられています。
「春」と「秋」の違いは葉っぱの裏を触ってみよう
春ウコンの葉の裏面は、害虫から身を守るために起毛していますが、秋ウコンの葉の裏はつるつるで何もありません。
春ウコンと秋ウコンは効用も異なっています。
秋ウコンは、肝臓の機能を回復・強化する「クルクミン」を多く含んでいます。
春ウコンにはクルクミンがそれほど含まれていませんが、その分、健胃効果や血圧の低下、コレステロールを溶かす効果など、秋ウコンにはない効能がいろいろとあります。
秋ウコンの葉を前に山崎さん、いきなりかがんで何をされているのでしょう…。
山崎さん、そこに一体何があるんですか!?
はい!これが秋ウコンの花だよ!
ウコンに花が咲くんですか!?
白い部分はウコンの葉で、黄色く見えている部分がウコンの花です!
こんなにも可愛らしい花をウコンは咲かすんですね驚きです。
ウコンの花は限られた期間にのみ花を咲かすので、ウコンの花に出会えるのは貴重な経験です。
秋ウコンと春ウコンとでは、花の色味も違うそうですよ。ウコンの花に囲まれて気分もルンルンになります!
「ウコンの花の茎、食べたことあります?これが美味しいんですよ。ほのかな苦さとアスパラみたいな食感。新しい野菜を発見した気分ですね。」と同行してくださっていた山倉さんが素敵な情報をくださいました!
葉、茎、根とほぼ丸ごとウコンは食べられるだなんて、なんて食材なんでしょう!まるで、ここ下田で宝の山を見つけてしまったようです。
山崎さんが長年の間、根気強く続けてこられたウコンの栽培がこの地で見事に開花し、さまざまなところで化学反応をし始めています。
今年2016年3月に新潟・三条市にオープンした「三条スパイス研究所」では、ウコン栽培を継承するために、山崎さんの指導のもと、研究所横の「土の広場」にウコン畑を育てています。
新潟・燕三条工場の祭典のレセプション会場にもなった三条スパイス研究所では祭典期間中、
草野さんがウコンの葉を乾燥させて、ウコンティーをいれてくださいました。
山崎さんの手作り乾燥機と同じ仕組みの乾燥機を作り、葉を乾燥させています。
ウコンティーおいしいです!
ウコンを水から煮込まず、お湯で蒸すことで苦味がなく、すっきりとして飲みやすい。
夏場は冷蔵庫に常備しておきたいくらいですね。
三条スパイス研究所内の棚には、山崎さんのウコンを漬けたウコン酒も並べられています!
山崎さんが面白そうと始めたウコン栽培は、新たな三条の街の魅力として黄金に輝き出しています。
冬を越す世界中のどこにもみない新たなウコンが、街のスパイスとしてうまく機能していくこと間違い無しですね!
本日は、ご案内いただきました山崎さん、草野さん、山倉さんありがとうございました!!
【詳細情報】
ウコン栽培 山崎一一(かずいち)さん
URL: http://www.michinoeki-shitada.com/outlet/member/311/
直売所: 道の駅 漢学の里 しただ
住所: 新潟県三条市庭月451-1
(text、photo:坂田)
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