天皇皇后両陛下が御買い上げされた“庭園バサミ”と進化する“生花ハサミ” 坂源
2つの柄の色が異なるカラフルな生花ハサミ
新潟県三条市にある生け花ハサミ、園芸ハサミの専門メーカー坂源は
創業してから100余年。
昭和天皇皇后両陛下が御買い上げされたという
“大久保鋏“と呼ばれる庭園用のハサミや
プロの花屋さんも愛用する
生花ハサミ“ハンドクリエーション”シリーズなどを製造されています。
私たちがお伺いした日は、華道家・仮屋崎省吾先生とのコラボレーションによる
カラフルな“ハンドクリエーション”シリーズが製造されていました。
それらのハサミが作られる製造工程(鍛造〜プレス〜研磨〜刃付け〜組立〜包装)を
代表取締役の坂井信行さんにご紹介いただきました。
現在坂源では2つの方法でハサミが作られています。
1つはハガネを型打ちし研磨を繰り返す方法で、
昔ながらの生花バサミや庭園バサミがこの方法で作られています。
もう1つはステンレスをプレス機で型抜きし
フッ素などの表面加工を行い研磨を行なう方法で
“ハンドクリエーション”シリーズなどはこの方法で作られています。
年季の入った大谷機械製作所の“エアスタンプハンマー”
熱したハガネを鍛錬しハサミの形に打ち抜きます。でかい!
“ハンドクリエーション”シリーズが型抜きされるプレス機(ワシノ製)。
150トンの圧力がかかります。
型抜きされた部品は、裏研磨、切刃研磨、上アゴ研磨、峰研磨と
繰り返し研磨されて次第に鋭さを増していきます。
機能的にも見た目にも美しい曲線!
大久保タイプの園芸ハサミは柄の部分がゆるやかに曲げられます。
持ちやすさ、使いやすさを追求したカーブが機能的にも見た目にも美しすぎます。
決まった角度で柄の部分を曲げるための金型。
金型に合わせて“ぐいっぐいっ”と柄の部分が曲げられていきます。美しい。
ハサミの柄を曲げる工程のあとは、
振動式のバレル研磨機で表面を美しく磨き上げます。
ピカピカに磨かれました!
“ハンドクリエーション”シリーズの工程もどんどこ進みます。
2つの刃が組み合わされたハサミに
湯煎されやわらかくなったハンドル部分をはめ込んでいきます。
噛み合わせを微調整しながら2つの刃をカシメます。
ここは職人さんの感覚が頼りです。
最後にハサミを箱に収めてすべての工程が完了です。
見た目にも美しい、使い勝手のよい生花バサミが
作業台の上にどんどん並べられていきます!
仮屋崎省吾先生とコラボレーションした“ハンドクリエーション”シリーズを
最初に見たときはなんと大胆な!と思いましたが
この頃には目も慣れてとてもおしゃれに可愛く見えてきました。
伝統的な製法も守りつつ、新しい取り組みをどんどんされている
坂源さんの工場を見学させていただきとても勉強になりました!
案内していただいた坂井社長ありがとうございました!
(text:加藤 photo:市岡)
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