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枝豆にぎゅっと詰まった愛と情熱。枝豆LOVE!な町の作り手とお祭り
残暑お見舞い申し上げます。皆さまいかがお過ごしでしょうか?
今日はこんな暑さの中にはたまらないビールのお供「枝豆」の見学です!
やってきたのは新潟県の長岡市。
長岡市は東京から上越新幹線で約80分、新潟県の中部に位置する町で、毎年8月に行われる花火大会で全国的に有名な町ですが、もう一つ知る人ぞ知る名産が「枝豆」なんです。
長岡市を含む新潟県は枝豆の作付けが日本一。そして、長岡市民はとても枝豆愛が深い土地なのだそうですが、今日はその理由を勉強していきたいと思います。
まずは、枝豆づくりの現場から!ということで、ナカムラ農産株式会社にやってきました。
こちらが代表取締役の中村文和さんです。
よろしくお願いします!
長岡の枝豆は、時期によっていろんな種類を楽しむことができます。
枝豆と一口に言ってもその種類はさまざま。早稲や中稲、晩稲と10以上の異なる品種の枝豆が7月の中旬からおおよそ2週間ごとに時期をずらして登場。夏だけではなく秋にかけてもいろんな味を楽しむことができます。
今日は枝豆の収穫を体験させてもらうことができました。
本来は朝5時に収穫し、加工作業を行い出荷されます。
朝早く作業するのは、真夏の炎天下よりも朝の涼しい時間帯に収穫した方が元気な状態で枝豆が収穫できるからです。
枝豆は機械でも収穫することができますが、今日刈り取る品種は枝豆の土から出ている部分と実がなっている部分の長さが短いので、手で摘まなければなりません。いわゆる手採りってやつです。1反の半分(約150坪)を男性5人で作業。これを1時間ちょっとで完了しなければなりません。
枝豆の生えている畝から枝ごと引っこ抜く。これをひたすら続けます。
僕も最初は元気よくスタートしました。
抜いた枝豆を束ねて、縄に巻いて畝に並べていきます。
綺麗に引き抜くには結構力が必要なのと、繰り返し屈むので腰が痛くなってきます。
これを続けるのか。
今日は炎天下ではないのですが、汗が滴り落ちてきます。
皆さん、黙々と収穫していきます。スピードが早い。
もう、アカン。
1/3程度進んだところで僕は撤退というか、ダウン。休憩ばかりで、手伝いになりませんでした。皆さん、ごめんなさい。
最後までやれよ。
刈り取られた枝豆は専用の運搬機に積み込まれ、
トラックへ。
しかし、これで終わりではありません!
続いて加工のステップへ。
枝豆は出荷されるまでには、いくつか作業が待っています。
まずはじめに、枝豆の枝を取る。
専用マシンで収穫した枝豆の枝の部分を専用の機械で、米でいうところの脱穀のステップです。
機械でとることができないような小さな枝は、人の手で枝からサヤを摘み取ります。
こちらの作業を担当するのは中村さんのお母さまです。
「小さいのは大変よー」
次は検査と選別。
傷んでいたり色の悪いもの、豆のないサヤのみのものを見ながらチェック!
こちらの作業は4人のチームで行います。
サヤの中に豆が一つだけのものも、ここでハジかれB品となります。
一つ一つ目で追っかけて行くのは大変ですが、そこはプロのみなさん。見逃すことなく素早くピックアップ。
次に洗浄。
続いては冷却。
この冷ます、という工程は枝豆にとってはとても大切。
枝豆は収穫した直後からどんどん鮮度が落ち、豆本来の風味が薄れてしまいます。それを防ぐために細かな温度管理が大切。しかも、長期にわたってストックしておくのは難しいため、絶えずもぎたての枝豆を食べられるように工夫を凝らします。
「一番美味しい状態で採りたてをすぐにいただく」これが長岡の枝豆の食べ方。おいしく食べたいから、というのが、長岡の枝豆が他の市へとあまり出回ることのない理由だったんですね。
冷やされた枝豆は、洗濯機のような機械で脱水され、
袋詰め機に投入し、
これでやっと完成!!
収穫から出荷まで、大変な手間がかかっていることがわかりました。。
今後は心していただきたいと思います。
中村さんのお宅は代々続くお米の農家でしたが、十数年前に農作物にも挑戦が始まりました。
「コメだけではなく、野菜づくりはじめたのは減反政策。お米をいくら頑張って育てても、手にするお金は変わらない。今もコメは育てていますが、枝豆をはじめとする野菜づくりは難しいけどやりがいがある。とっても大変だけどね」と中村さん。
枝豆は生育状況を見ながら、収穫のタイミングを決めていかなければなりません。
「いい具合に育ってる、さあ刈り取るぞ!」と見極めると、すぐに収穫。
このマップは、圃場ごとの生育状況を把握し、収穫の時期を判断するためのもの。
同一品種だと生育具合が近くなり、一度に大量の枝豆を収穫・加工しなければならなくなってしまいます。
このマップのように多品種(色分けされている)にすることで収穫の時期を少しずつずらし、決められた人数でも忙しすぎず、ちょうどいい具合に作業できるように工夫しています。
「選別や袋詰めなどをお願いしているのは、ご近所のパートさんたちです。お給料を払う立場としても、少しでも作業を効率的にしていかないと。」と中村さん。生産者であり、経営者の顔がありました。
家族団らん、夏のテーブルの上にはいつも枝豆!
ご褒美ではありませんが「採れたての枝豆食べさしてあげる」ということで、採りたての枝豆を、中村さん行きつけの料理屋さんでご馳走してもらうことになりました。お皿に山盛り!これが新潟の皆さんが標準的に食べる枝豆の量なんだとか。
「昔、と言っても私の子供時代、枝豆は田んぼのあぜ道にどこでも植えられていたよ。理由は、雑草対策。畦に枝豆を植えることで他の草が生えてくるのを防いでい担だよ」と中村さん。。
畦の枝豆は出荷することなく、手で摘んでそのままお家の食卓へ。昔から変わらず、大人も子供も家族全員でザルいっぱいに盛られた枝豆をばくばく頬張っていたのだそう。
枝豆の一番美味しい食べ方は?と尋ねてみました。
「自分はサッと茹でて、冷ましてから食べるのが好きかな。
水から茹でたり、沸騰してから枝豆を入れたり、茹で時間も塩加減も人それぞれ。先に塩で揉む人とか、本当にいろいろだから。決まった食べ方はないよ。美味しいと思ったらそれでいい。でも、香りや旨味がよく味わえるから、薄皮は食べない。その点だけ長岡の人たちみんな一緒かもしれないね。」
なるほどなるほど、と話を聞きながらも、手を止めずにばくばくばくばくいただく。止まらない。
長岡の枝豆は長岡で食べるのがやはり一番美味しい、ということを実感することができました。
ナカムラ農産のみなさん、有難うございました!
そして、枝豆大好きな人々が集う枝豆のお祭りがある、と聞いてやってきたのが...
世界えだまめ早食い選手権!
世界えだまめ早食い選手権とは、名前の通り枝豆を早く食べる世界大会。おそらく世界で一つだけの大会なので、この大会での優勝者はすなわち世界一です。
これが新潟の標準サイズの枝豆です。
この大きなザル盛りサイズの枝豆をばくばくばく〜と、食べてしまうほど長岡の人たちは枝豆が大好き。その食文化を楽しいイベントにすることで市外の人にも枝豆の素晴らしさを知ってもらおうと、初の世界えだまめ早食い選手権が昨年初めて開催されました。
こちらが発起人の丸山修さん。長岡市で農家を営んでいます。
「長岡の農作物に注目してもらいたくてはじめたイベントです。新潟県は全国的に米どころのイメージはありますが、枝豆の作付け面積も実は日本一なんです。しかし、あまり知られていません。
知られていない理由は、収穫した枝豆はほとんど長岡市や新潟県内で消費してしまうから。あまり県外に出ていかないんです。長岡の人が枝豆を食べるときは小鉢にひとつかみ程度のような生半可な量でなくて、ザルに山盛りが基本。それでも新鮮で、豆の味がしっかり味わえるから、スナック感覚であっという間に食べてしまいます。」
枝豆早食い選手権では、団体戦と個人戦に分かれていて、決められた時間の中で食べた枝豆の量を競うのが個人戦、団体戦ではチームごとに決められた量の枝豆をいかに早く食べ終わるかが競われます。
今年の応募者は個人戦、団体戦合わせてなんと600組も応募!県外からのエントリーもたくさんありました。
決勝への出場権をかけて熱くて美味しい、そして楽しい戦いが続きます。
会場には応援団もいて、熱気ムンムン。
そして、決勝は個人戦から。
100秒間の間に山と盛られた枝豆をどれくらい食べられるのか??
観客の皆さんもドキドキ。
...計測。鞘に枝豆が残っていると減点されます。
2017年度、枝豆早食いWinnerは!
ボーイスカウトの格好をして挑戦したエスパー山下さん!
次は、いよいよ団体戦の決勝です。
モグモグモグ、まるで小動物のように背中を丸めて枝豆をひたすら食べる。
見ていて思ったのは、早食いには姿勢が大切ということ。枝豆が盛られたザルから口元までいかに距離を縮め、早く口に入れるかが勝負の分かれ目になるようです。
そして、2017年団体戦の優勝は…
やはり女性チーム!!
地元長岡から出場した「チーム パン友」さんたち!!並み居る男性を含む強豪チームを振り払い、見事優勝!!
優勝者には賞金と長岡野菜の豪華詰め合わせが贈呈されました。
出場していなくてもみんな枝豆が大好き。
大きな鍋で仕込まれます。
そして、ビールもサイコー!
会場には、枝豆を使ったスイーツも販売。老若男女みんな、何かしらの枝豆を食べる!
「昨年の第一回ではたくさんのメディアにも取り上げていただけました。
年末のNHKの全国放送でもこの世界えだまめ早食い選手権のことを流してもらったり、話題づくりにはなったかな、と思います。
この企画がスタートしたのは、2年ほど前。何か面白いことができないかな、という軽い思いつきからでした。長岡市の若手生産者の集まりでその時点ではアイデアレベルでまだ具体的な計画までは進まなかったんですが、昨年、長岡造形大学の同級生と久しぶりに会った時に、色々とアイデアやビジュアルが浮かんで来て、そこから始まって一気に進んだ感じです。」
手づくりのノボリやポスターは丸山さん自らの手によるものです。
造形大学卒&農家という丸山さんのスキルが役立ちました。
今年は枝豆早食い選手権を中心にお祭り感を充実させました。
「長岡市の外からきてくれたお客さんに『早食い枝豆選手権ってなんだ?』と少しでも枝豆に親しんでもらい、そして長岡の野菜のことを知ってもらうきっかけになればいいな、と思います。」と丸山さん。
「もちろん、たくさんの人に来てもらう、というのがこの催しの目標なのですが、この枝豆のお祭りに生産者はもちろん、市役所や地元のボランティアや企業、お店といった輪が拡大していくのも大きな成果だと考えています。例えば、この枝豆フェスにはJAさんが協賛してくれているのですが、長岡市を活動範囲とするJA越後ながおかさんとJA越後さんとうさんが一緒に参加してくれました。生産者でないとわかりにくいかもしれないのですが、異なる二つのJAさんが担当する地域を超えて、共同で何かを一緒に行うってことは実は画期的なことなんですよ。枝豆を通して従来からの敷居が低くなったり、普段接することのな人たちと接する機会になるということはとても大きな意味があります。
この盛り上がりを市民や一過性のものではなく、もっともっと広げて長岡の野菜の宣伝や長岡のPRに貢献できれば良いな、と思います」と丸山さん。
うーん、枝豆を通して、そんなことが起こっているとは、おそるべし長岡市の枝豆。
枝豆づくりを追求し続ける名人の中村さん、枝豆で町を盛り上げ観光につなげようとする丸山さん、そしてそれをバクバク食べる長岡の人たち。長岡で育った枝豆には、作り手の情熱や苦労、そして夢と希望がぎゅっと詰まっています。
みなさん、枝豆の町、長岡でぜひ本場の枝豆を食べてみてくださいね!
【詳細情報】
ナカムラ農産株式会社
電話番号: 0258-27-1506
住所:新潟県長岡市高野町913-1
EDAMAME FESTA(ながおか農challeプロジェクト実行委員会)
(text:西村、photo:三浦 ※一部の写真はながおか農challeプロジェクト実行委員会さん提供)
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