Sponsored by 日本生活協同組合連合会
毎日飲むものだから!国産大豆と熱水破砕製法でおいしくなった調製豆乳。ふくれん
今日は日本生活協同組合連合会主催、生協の商品が生まれる現場を見てものづくりを学ぶ「ラブコープ商品 工場・産地交流会」に参加し、福岡県朝倉市にある「株式会社ふくれん」の工場にお邪魔しています。
「ふくれん」のルーツは農協。前身は「福岡県園芸組合連合会」という名前(だから名前が「ふくれん」なんです)で1954年に発足しました。農家向けの生産指導や、もともと福岡県で収穫された温州みかんを青果としてだけではなくジュースなどの加工品にして、福岡県の農産物を全国に販売しよう、という目的で生まれた会社です。現在では、みかんの加工品だけではなく、福岡県で収穫された作物を中心に、生協の代表的な商品である「ただの炭酸水」、そして果物を活用したジュースやゼリー、豆乳などさまざまな加工品を製造し、原料の生産から加工、販売まで行う6次産業を実践しています。
今日見せてもらうのは豆乳の製造ライン。おいしい豆乳を作るためのポイントは、大豆の持つ豆くささや青くささやエグ味を取り除いて、いかに飲みやすくするか。健康飲料として我が家にも定着しつつある豆乳ですが、家族みんなが毎日続けて飲み続けるためには「飲みやすさ」への工夫が大切なんです。
まずは豆乳の基礎知識から。
「豆乳」は、大豆と水だけで作られ大豆固形分が8%以上の「豆乳(無調整豆乳とも呼ばれます)」と、豆乳に砂糖や塩などの調味料を配合し豆乳由来のクセをまろやかにして飲みやすくした「調製豆乳」、そして調製豆乳をベースにフルーツやコーヒーなどの味をつけた「豆乳飲料」の3種類があります。
今日、見学させてもらうのは、飲みやすくした「調製豆乳」です。
昔から大豆を搾った豆乳は存在していたものの、独特の青臭さや豆くささによって一般には普及せず敬遠されていたそうです。しかし、大豆の皮の部分を丁寧に取り除いた「脱皮大豆」を使用することで雑味がなくなり飲みやすくなりました。
写真は、丸大豆(左)と脱皮大豆(右)です。
大豆の皮を取り除いてしまうと大切な栄養分がなくなってしまうのではないか?という質問が参加者からありました。ぶどうなどでも皮の部分の方がポリフェノールが含まれているので、確かに気になりますが、工場のお話によると、大豆の皮にはタンニンやタンパク質などの有用な成分は比較的少ないのだそうです。
使っているのは国産大豆です。
現在、国産大豆は遺伝子組み換えのものは存在せず、もし遺伝子組み換え大豆が流通しているとするとそれは海外産の大豆になります。輸入大豆は豆腐や納豆の文化がなく、使用目的の大半は大豆油。比較的脂質が多いから、という理由もあります。
国産大豆の豆乳と輸入大豆の豆乳を飲み比べ。
両方とも脱皮大豆で製法も同じですが、なんとなく味わいが違います。見た目については、脂肪分が多いせいか輸入大豆の方は若干色がついている、国産は真っ白な感じです。
こちらが国産の「フクユタカ」という品種の大豆。
今回見学する豆乳で使用される「フクユタカ」は、主に九州、近畿、東海のエリアで生産されている品種です。このふくれんの工場では、年間で生産される福岡県産のフクユタカ大豆12,000トンのうち1/3〜1/4ほどの3,000〜4,000トンくらいを消費しています。高たんぱく質で甘みがありバランスのとれた味わいになるのが特徴です。たんぱく質含量が多いので、豆腐への加工適性が高いのだとか。お豆腐大好き日本人だから、この品種が多く作られているという理由もありそうです。
いよいよ、見学へ。班に分かれて移動。
見学用の服に着替えます。
今日、ガイドしてくれる松藤さん。
よろしくお願いします!!
工場の中に入るには、ロールがけでホコリを取ったり、手洗い、そして、
エアシャワーを通る必要があります。
加工の工程へ。
大豆を熱水と混合し細かく磨砕・搾汁することで大豆の持つ酵素を失活させ、脂肪分の酸化を防ぐことにより、大豆の渋みやエグミの少ない味わいとなります。これが熱水破砕製法。
ちなみに搾汁工程によって豆乳と分類されたおからは、一部は酪農家さんに引き取ってもらい残りは廃棄されます。残ったおからはもったいない、とも思えますが、膨大な量のおからは廃棄物として処理するにも費用が発生するため、工場としても全てを引き取ってくれる方がいればそれが望ましいのだそうです。
しかし、傷みやすいおからを食用にするにはそれなりの処理方法が必要となり、毎日トン単位で発生するおからを引き取ってくれる先も見つかっていないため、現在は肥料・飼料などに有効利用できないかと研究中です。
搾汁した豆乳はホモゲナイザーという機械で、豆乳成分に含まれる脂肪のつぶである「脂肪球」を小さく同じサイズに揃える均質化という工程を経て殺菌後、一時貯留します。
搾汁された豆乳(原豆乳と言います)に、砂糖や食塩、カルシウムなどの原料が投入され、飲みやすくするために味が整えられます。
異物の除去。
マグネットストレーナーという機械を通して、金属片などの異物を捕捉します。さらにサイクロンという遠心分離機の原理を使用したマシンで比重の重い固形物などを取り除きます。
そして、殺菌。
殺菌は「直接加熱殺菌」という方法で行います。
文字通り直接加熱し殺菌する方法。直接蒸気を吹き込んで高い温度にします。
一方、ジュースなどに使用されることの多いのが「間接加熱殺菌」という方法です。
それぞれの違いは搾汁液を直接加熱するか、そうでないか、という点。豆乳が直接加熱殺菌で作られるのはたんぱく質をはじめとする固形物が成分中に多いということもあり、プレートに固形物の焦げ付きが発生して連続で運転できなくなるためですが、理由はもう一つ。香り(というか匂い)を除去するためです。
直接加熱殺菌方式によって、熱い蒸気が吹き込まれることで殺菌、その後、吹き込んだ蒸気の水分を冷却工程で吸い取るのですが、ここで吸収するのは水分と匂い。豆乳の飲みやすさのポイントである、豆くささや青くささがこの段階で除去されます。
それに対して、間接加熱殺菌は搾汁した果汁が通り抜ける際にプレートと呼ばれる板の外側を加熱することで殺菌。果汁の香りが保たれるというメリットがあります。
同じ工程なのに、ジュースでは香りを保つために液体を間接的に加熱しますが、一方豆乳の場合は匂いを軽減するために直接加熱する。同じおいしさに向かって全く逆の方法が使われているという点がとても面白いな、と思いました。
そして、殺菌された豆乳はアセプティック(無菌)タンクから充てんラインに流れていきます。
充てん機!
このマシンは1分間に約110個の生産能力があります。
この機械の中で、ロール状の包装紙は筒状に丸められ、その中に豆乳が流し込まれながら、四角のパッケージに成型されていきます。
紙のロールから、四角いパッケージになります!
次に、賞味期限・ロットナンバーを印字。もしもの時には、いつ製造された商品なのか、を追跡できるようにしています。
どんどん流れて行きます。
完成かと思いきやこの後、注ぎ口の部分にキャップが付けられます。
「ヘリキャップ」と呼ばれていて、開栓すると中のアルミが切れて注がれる仕組み。
これまでの紙パッケージの口をはさみで切って飲む方式でしたが、このヘリキャップへと移行された理由はリシール性。開栓後もキャップをすればきちんと栓ができて保管することができます。
キャップって便利だと思ってたのよ〜。
これにて完成。
最後は検査の現場を見せてもらいます。
こちらの検査室で行われているのは甘さや酸味を数値化する「理化学検査」、匂いや味など風味や色に問題ないかを検査員の五感を使って調べる「官能検査」、さらに液体の中に微生物がいないかを調べる「微生物検査」など。
検査を実施するタイミングは最終製品になった後だけではなく、容器に詰められ最終製品になる前の調合液の段階、受け入れた原材料の段階と、複数の段階で実施されます。
ふくれんは2005年にHACCP(ハセップ)という食品の各生産工程ごとに検査を行うシステムを導入。従来の方法だと最終製品の段階での検査のみで、全数検査することはできず抜き打ちの検査にとどまり100%保証できると言い切ることはできませんでしたが、このHACCP(ハセップ)方式を採用することによって、「原料段階で問題ない」、次の工程に移る、「加工の際の搾汁液で問題ない」「調合した後も仕様通りで問題ない」と各工程でチェックを差し挟むことで、そのチェックを経たラインで生産された製品は「すべて」合格ということになります。
この検査の流れによって安全性が高まり、仮に何かあった際にも出荷前に不具合のある製品は取り除く可能性を高めることができるようになりました。
このようにして、豆乳がお店や皆さんのお家に到着。毎日飲むものだから飲みやすくて、かつ安全な豆乳が生まれることになります。
商品の価値の中で重要な割合を占める、おいしさと安全性が守られている現場を見て、毎日いただいている食べ物たちが、工場の皆さんの大変な努力によって支えられていることを改めて思い知ることができました。
ふくれんの皆さん、ありがとうございましたー!!
【詳細情報】
日本生活協同組合連合会
生協の組合員さんとふくれんさんとの勉強会の様子はこちら(コープ商品サイト)
ふくれん 甘木工場
住所: 福岡県朝倉市柿原223番地
URL: http://www.fukuren.co.jp/
(text:西村、photo:市岡 ※一部写真はふくれんさん提供)
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