Sponsored by 日本生活協同組合連合会
小麦たっぷり、チョコレートたっぷり、愛情たっぷり。
やさしい味のビスケットづくりのひみつ。イトウ製菓
今日の見学先はミスターイトウでおなじみ、イトウ製菓さん。
生協の商品が生まれる現場を見てものづくりを学ぶ「ラブコープ商品 工場・産地交流会」に参加させてもらって、茨城県小美玉市にある工場にやってきました!
イトウ製菓はビスケット・クッキーの焼き菓子専業メーカー。創業は1952年で最初はパン屋さんから始まり、菓子の製造を開始。その後、大量生産を開始してみんな大好き!の赤い箱のバタークッキーやチョコチップクッキーなどのクッキーやビスケットを60年以上にわたり製造してきました。
コープの皆さんと一緒に商品や製造工程について勉強。
イトウ製菓の不思議でおいしいクッキーやビスケット。
おなじみのビスケットの他にも、塩スイカやグラタン味などユニークな商品がたくさん。期間限定品や地域限定品もある。甘酒クッキー食べたい。
そして、今日見学させてもらうのは、コープの全粒粉のビスケット工場。
1977年の発売以来、40年以上にわたり愛され続けているロングセラー商品で、全国の生協で大人気のビスケットです。
では、さっそく見学。
見学用の服に着替えて、
製造ラインの入るのでローラーがけ。一列に並んで、服についたホコリやチリを取ります。
タイマーをセットし、かならず45秒間ローラーがけしないといけません。
手洗い。指先や指の間も丁寧に。これも時間を計ります。
バンザイ〜しながら、エアーでチリを吹き飛ばす!
いよいよ製造ラインへ。
中に入ると一気に甘〜い香りがします。これはバターやマーガリン、そしてバニラの香り。
お菓子の工場にやってきたと気持ちが盛り上がる。
こちらがミキサー。原料を混合する機械です。
砂糖やショートニング(油脂)、ザラメ、そして最後に小麦粉を落として混ぜます。
小麦粉は混ぜることでたんぱく質の一種であるグルテンができるのですが、このグルテンの状態によってビスケットの食感が変わってきます。とても大切な工程です。
小麦粉は、食感がよく口どけの良い生地になる北海道産小麦を100%使用。
国産小麦は、ポストハーベストしていません。
ポストハーベストとは、収穫後の輸送や貯蔵中の病害虫による被害防止のために、収穫後に殺菌剤や防カビ剤など農薬が使用されることです。
そして、ビスケットを作る際には薄力粉を使用することが多いのですが、タンパク質を多く含んで独特の食感になるということで、このビスケットでは中力粉にして使っています。
そして、このビスケットの小麦のもう一つの特徴は「全粒粉(ぜんりゅうふん)」を使っていること。
小麦のでんぷんとたんぱく質の集まりである胚乳部分のみを使った「小麦粉」に対して、胚乳を包む「ふすま」と呼ばれる外皮や、発芽して芽になる「胚芽」という部位も丸ごと砕いて粉にしているのが全粒粉です。「全」て「粒」にして「粉」になるので「全粒粉」!
だから、少し茶色かかっているんですね。そして、全粒粉は小麦粉に比べて食物繊維や鉄分が豊富という良い点があります。
大切なのは差し水。
そして、原料となる小麦の他に、このミキシング工程でもう一つ大切なのが水分。
ビスケットを作るうえでもっとも大切なのは良い生地を作ることですが、季節や、ミキシングする日によって、また朝昼晩によっても異なる気温や湿度が微妙に異なるため、それらの数値を確認しながら、生地の原料に混ぜる水加減を調節します。資格を持った担当者がこれまでのデータや経験値から行う熟練技。この水加減を怠ってしまうと、その後の工程でお菓子が伸びてしまったり厚みが出ないなど様々な影響が出てきてしまいます。
練り上がった生地は、担当者が必ずチェック。
生地を移動し、
成型工程へ。
これが合格した生地です。おいしいビスケットになってねー。
ところで、皆さんはビスケットとクッキーの違いをご存じですか?
それは主に原料の配分の違いです。
日本では、原料のうち糖分と脂肪分が40%未満のものをビスケット、一方40%以上のものをクッキーと呼びます。バターやショートニングの多いクッキーはサクッとした食感で、小麦粉の割合が高いビスケットはしっかりとした食感という違いがあります。
また、クッキーは練り上がった生地が柔らかいので、生地をにゅ〜と絞り出されてワイヤーカッターで切っていくのに対して、ビスケットはしっかりしているので、板状に伸ばされ丸型にスタンプされ切り抜かれていく、という成型方法の違いもあります。
今日はビスケットのラインなので、生地は成型されます。
ロータリーモルダーという機械で打ち抜かれた生地たち。
型は16列あり一分間に約800枚!たくさんのビスケットの生地が生まれていきます。
生地に空いている小さい穴は、次の工程で焼いている間にガスが溜まってしまい、お菓子の形が崩れてしまうから。つまり、ガス抜きの穴なんです。モノづくりには全ての工程に理由がある!
ビスケットを焼く「焼成」という工程。オーブンで焼いていきます。
この長ーいオーブンは「メッシュバンドオーブン」という名前で全長30m。メッシュのバンドで生地を運んでいくのでメッシュバンドオーブンと言います。ゆっくりゆっくりと焼き上げていくのですが、長いのにももちろん理由があります。
このオーブンは3つのゾーンに分かれていて、ゾーン(1)では温めと土台づくり、ゾーン(2)で生地を膨らませ、最後のゾーン(3)で焼き色をつける、というように、オーブンの中のゾーンごとに目的にあった温度帯で焼かれます。
焼きあがった。今はホカホカというより、アッツアツです。
焼きあがった生地は、決められた時間ごとに、見本品と見比べて検査担当者が焼き色などをチェック!
かわいらしくCO・OPマークもスタンプ。
試食の時間です!
ということで、焼きあがったばかりのビスケットをいただきます。
まだ少しあったかいのですが、出きたてのビスケットはなんだかお母さんの手作りクッキーのような味わいです。全粒粉が効いててサクサクというかザクザク。
ザクザクザクザクーと何枚かお代わりして次の工程へ。
焼いたら冷ます。
焼いたばかりのビスケットはまだ温度が高く、熱いままではチョコづけができないのでゆっくりゆっくりと。天井のコンベアを長距離移動しながら冷まされていきます。
天井には鏡があり、きちんと動いているかを確かめることができます。
チョコづけマシンの手前で何やら目を光らせている人がいます。
この方は、生地が欠けや割れ、それにちゃんと整列しているかをチェックする係。
運ばれるときに重なってしまったり、位置が近づいてしまったビスケットの場所を整えます。
時には棒を使って。
整列。
お行儀よく整列した生地が、にじみ出るチョコをまとう。
「エンローバー」という機械でチョコづけしていきます。
網目の間からにじみ出るあったかい液状のチョコレートがビスケットの片面に塗られ、そして網状のベルトで運ばれていきます。
このビスケットに使うチョコは、日本チョコレート・ココア協会が決めた分類上「ミルクチョコレート」と呼ばれます。
ミルクチョコレートはカカオ分が21%以上、乳固形分が14%以上、水分が3%以下のものを指します。
最近のチョコレートのトレンドはビターの方が好まれる傾向があるので、このビスケットで使っているのもカカオ分がやや高めで少しビターよりのミルクチョコレートなのだそうです。
メモメモ。
ミルクチョコビスケットたちは、冷却トンネルで再びクーリング。
出てきた後は...
起立!
そして移動。
この頃にはすっかり冷まされているのでビスケット同士はくっつきません。
次は包装工程が待っています。
ダルマ落としの要領で3枚になったら一緒に仲良く移動。
この商品は3枚が1セットになっています。
個包装されたビスケットは重量検査を通過し、
ボックス包装。
このマシンは、たたまれた箱を(1)エアー吸着し、(2)箱を成型。そして、(3)箱の中に素早く個包装のビスケットを4つ投入、さらに、(4)フタ閉じと一度にやってしまうマシン。とてもかしこく速い。
「私、脇目もふらず一生懸命真面目にやっています」感が伝わってきます。見てて飽きません。
ちなみに、食べ終わった後、このパッケージをきちんと折りたたんで捨てようとする時には「たたんでくれてありがとう」というメッセージを見ることができます。気配りできてる。たたみたくなる。
「次行ってみよう!」
箱に入った商品は、再び重量検査、そして金属探知機でも異物が混入していないかが検査されます。
そして、箱詰めして完成。お宅やお店に届く、というわけです。
「ミスターイトウのおいしい世界」
焼き菓子専業メーカーだからできる丁寧なビスケット作りを堪能させていただきました。
全ての工程ひとつひとつにしっかりとした意味があり、たくさんの人の手によって作られていることを実感。イトウ製菓さんのビスケットやクッキーが、やさしい味になっている理由に触れることができました。
イトウ製菓さん、有難うございました!
【詳細情報】
日本生活協同組合連合会
生協の組合員さんとイトウ製菓との勉強会の様子はこちら(コープ商品サイト)
イトウ製菓 第一工場
住所:茨城県小美玉市西郷地1667
URL:http://www.mr-ito.jp/
(text:西村、photo:市岡 ※一部写真はイトウ製菓さん提供)
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