釣るのは鮎だけじゃない!?今に生きる加賀伝統の技 目細八郎兵衛商店

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金沢では、毎年6月16日が鮎解禁日。
中心部に流れる犀川に
連なる釣り人の姿は夏の風物詩です。
その鮎釣り用の針をつくっている職人さんの工房へお伺いしました。
虫に似せて作られたきらびやかな釣り針がずらり。

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目細八郎兵衛商店は、
天正3年(1575年)裁縫用縫い針の製造・販売を開始しました。
なんと創業から約440年もの歴史があります。
現社長が20代目、老舗中の老舗です。

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現会長にあたる19代目真一さんに創業からの歴史について
色々とお聞きしました。

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なんと!名字は加賀藩から頂いた針の名前
あまり聞いたことがない目細という名字、
じつは加賀藩から頂いた名字だそう。

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天正11年(1583年)に前田利家公が金沢城に入城した際に
加賀藩から「縫い針を持ってきなさい」とお達しがあり献上したところ、
前田利家公から使いやすい縫い針としてお褒めの言葉を頂き、
加賀藩主から「めぼそ」を針の名前として与えられました。

その当時、町人には名字が与えられず、
初代の八郎兵衛から代々襲名して、針屋の八郎兵衛と名乗っていたのですが、
明治8年から名字が必要となり、
加賀藩から頂いた縫い針の名前を名字にしようとなり、
目細八郎兵衛と名乗るようになったそう。

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釣り人が何かを覗いてる
これは、犀川で釣りをするお侍さんを描いた風景画です。

石ころを詰めた籠に乗っかっている
一番上のお侍さんを見てください。

漆塗りの毛針ケースを覗いて、針選びをしています。
川にいっぱい鮎がいても、天候や水温によって
針があわないと、鮎がつれない。
いい針を選ぶ人はたくさん鮎が釣れました。

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釣りがお侍さんのお仕事
加賀のお侍さんが釣りを盛んにするのには理由がありました。

江戸時代中期、徳川家康の平和な時代、
加賀藩は百万石の規模があり
江戸からは、油断をすると攻め込んでくるやもしれない藩だと
危惧の目をもって監視されていました。

武芸の鍛錬などしようものなら
江戸幕府からは「防犯の疑いあり!」と大変なおしかりを受けてしまう。
ほとんど何もする仕事がなく暇状態。

武士の士気を低下させない何かいい方法はないのか…‥。

そこで、いい方法はないかと考えた加賀藩は、
金沢に流れる広い2つの川、
犀川と浅野川を使い、
武士の心身鍛錬という目標を掲げ、
「川で魚釣りをしなさい」と武士たちに命じました。

釣りは武士の特権となり、町人には許されなかった。

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ところが、餌をつけると魚はつれるが、
餌の付け替えが面倒。
何か餌をつけなくても
魚が釣れるいい方法は無いかと毛針を考案。

毛針は縫い針を曲げただけで、
返しがないため、油断するとすとーんと外れてしまう。
集中しないと魚を釣ることができませんでした。

もう一つは、自分が釣っている場所よりも
魚がもっと釣れるいい場所がないか、
河原のあちらこちらを歩きまわることで鍛錬するという。
釣りによって心身鍛錬を見事に達成していったそう。

江戸から、加賀藩は釣りばかりして遊んでいると思われ、
攻め込む心配をされずに済んだようです。
なるほどー。

歴史を伺いつつギャラリーへ移動すると華やかな釣り針が!?

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釣り針がアクセサリーへ変身
外来魚の登場で、
釣り人たちは、力の強い外来魚をこぞって釣るようになった。

そこで、加賀毛針も外来魚用にできないかと作成したところ

縫い針を買いにくるお客さんが、
この外来魚用の毛針を見て
「アクセサリーにしてくれないかしら」と
たくさんご要望を聞く様になり
釣り針アクセサリーが誕生しました。

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もともとは大きな針だけだったところに安全ピンをつけて、
ブローチやネックレス、ピアスにしたりと
色々なアクセサリー作りが始まりました。

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パリコレの舞台をランウェイ
2008年のある日、
突然、イッセイミヤケとのコラボの話が飛び込んでくる。
加賀毛針を用いた蝶ネクタイの依頼だった。
凄い!
加賀伝統の技が、パリに渡りお披露目されていました!

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その加賀毛針の蝶ネクタイを作られたのが、
数少ない加賀毛針職人の目細由佳さんです。
今年10年目の技を間近に工程を説明していただきました。

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加賀毛針の工程
1、テグス付け:針にテグスを巻き付ける
2、下巻:金糸や赤虫に似せる赤糸を巻き付ける
3、先巻:虫に似せる角の元に当たる部分から針先へ向かって羽毛を巻き付ける
4、角付け:羽毛で角を付ける。
5、胴巻:最も大切な巻きの部分
6、元巻:
7、蓑毛付け:虫の足に当たるポサポサを6本作る
8、髭付け:7の蓑毛のほかに長い羽毛を2本背負わせる髭を作る
9、玉付け:虫の頭に当たる部分で漆の上に金箔を付ける

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作業をしている隣に若い女の子が!
しゃかいか!編集部「この方も職人さんですか?」
目細さん「誰でもできる仕事じゃないんだけど、彼女は手先がとても器用でね。アクセサリーをデザインしたり、今は、羽を組み合わせる作業をしています」

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羽の色を選定し、頭で羽を組み合わせて作成していきます。

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冠婚葬祭にもぴったり
最近は、加賀の伝統品を取り入れたいと
冠婚葬祭に使用する若い女性が増えているそうです。

たしかに!成人式や結婚式と着物からドレスにまで合いそうです。

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「加賀毛針の制作は1年目で修行中です」と語る22歳の杉野未侑さん。
今年でアクセサリー制作3年目。
最初は、デッサンをして、
アクセサリーの制作をしていたそうですが、
最近では、頭の中で組み立てて作れるようになってきたと
笑顔がとても眩しいです。

数少ない職人さんの中で若いエースとして輝き続けて頂きたいです。

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しゃかいか!編集部員も可愛い縫い針をついつい購入してしまいました。
観光客向けにブローチの体験も行っており、
自分の好きな羽を選びオリジナルの一品を記念に持ち帰ることもできます。
思い出のアクセサリーになること間違いなしです。
今回のご案内ありがとうございました!

【詳細情報】

株式会社目細八郎兵衛商店

電話番号:076-231-6371
住所:石川県金沢市安江町11番35号
URL: http://www.meboso.co.jp/
Facebookページ: https://www.facebook.com/meboso?fref=ts

(text:坂田 photo:市岡)

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