Sponsored by 株式会社ワコール
驚異の「ほぼすべてが手作業」!日本が誇る大手下着メーカーのブラづくり ワコール
みなさん、ブラジャー、こだわってますか?
美しいボディラインをつくってくれる、いまや女性には欠かせない存在であるブラ。単なる補正や胸の保護というだけではなく、愛らしいテキスタイルや繊細なレースは身体の装飾品としても人気です。
そんなブラですが、女性にとってはあまりに身近。毎日着けるのが当たり前の生活だから、どんな場所でどのようにつくられているのか考える機会があまりないんじゃないでしょうか。
しゃかいか!読者のみなさんはじめまして。でっかい布が切られている様子を眺めながらこんにちは。ライターのおかんと申します。おかんのあだ名は「場末のスナックにいそう」みたいな理由でつけられました。
場末のスナックにいそうでも、ステキな下着には興味ある。
さて、私がどこにいるかというと、下着メーカー「ワコール」の製造工場「九州ワコール製造株式会社」。こちらで、ブラのアレコレを学んできました。
さて長崎県は九州ワコール製造株式会社・長崎工場。雲仙市に構えています。国内のワコール工場のなかで、この長崎工場はもっとも大きい生産拠点。年間で70万着のブラがここから全国の女性たちのもとへ運ばれていきます。
ちなみに私は京都市在住なんですが、自転車圏内にワコールの本社があります。身近な存在だったワコール、その生産が遠く九州でおこなわれているなんて知りませんでした……!
案内してくれたのは総務経理課の木原さん。今日はよろしくお願いします。
「ここ長崎工場では、ワコールの中でも造形が細かな高級ブランドの製品を中心に製造しています。ブラの製造といえばオートメーションで機械がつくっていると考えている方も多いかもしれませんが、じつは、ほぼ全てを手作業で縫い上げているんですよ」
とくに長崎工場は他の工場や海外などからも研修にやってくるほど高い縫製技術を持っているのが特徴なのだそう。
たとえば玄関に飾られている「ミニブラ」を見てください。手のひらサイズのミニチュアですが、デザインや縫製も商品と変わらないクオリティで縫い上げてるんですって。
「ヤバい!」「可愛い!」「インスタ映え!」と取材そっちのけでテンションが高まる女性取材陣。そう、いつだって可愛い下着は女ゴコロを鷲掴みに……。
工場に入る前から高いクオリティを見せつけられました。いよいよ工場内におじゃまして、ブラが完成するまでを追っていきたいと思います。
大きな布が無数の小さなパーツへ!ブラをつくる布の準備
まずはじめに案内されたのは、ブラの素材となる反物の置き場。布が巨大なロール状になって保管されています。
幅2〜3mくらいのずっしりと重い布。これで何着分くらいなんだろう。じつに3000種類以上の反物がここに保管されているとのことでしたが、縫製するブラの種類に合わせて、オペレーターの方が迷いなく抜き取っていました。
自分だったら反物を見つけるだけで1時間くらいかかっちゃいそうだ。
ちなみにこれは本社の会議室にあったブラの解剖図。製品によりますが、高級なブラは数多くのパーツを組み合わせてできています。多いものでは40個以上のパーツが必要になってくるものも。
基本的に自分以外には見せないものなのに、このゴージャスさ、美しさ!もうこれずっと眺めていられる〜!
「なんでそんなに女子って下着でワーワー言うの?」と疑問に思ったことがある男性のみなさん。たとえば、ボディの塗装からギアからモーターから全部、最高峰のカスタムを施したミニ四駆ってテンションあがりますよね?ステキな下着はそれくらいのロマンとワクワクが詰まっているのです……。
「しかもブラの製造は効率を上げるために完全分業制。布地を用意する人、裁断する人、縫う人もブラのカップ専門の人やストラップ付け専門の人と、行程によってどんどん人が変わっていきます。品質チェックや箱詰めも専門の班があります。いろんな人の手作業を重ねて1着ができあがっていることを、ぜひ知ってほしいですね」と木原さん。
さて、取り出された反物は、効率よく裁断するために広げられ、キッチリと積み重ねられていきます。
木原さん「先ほど『ほぼ全て手作業』と言いましたが、いかに効率よくハイクオリティな製品をつくるかが重要なので、機械に頼った方が効率がいい場合は取り入れています。ただしあくまで製造の補助ですね」と教えてくれました。
布を広げる大きな台のそばには、これまた大きな加湿器が。布は湿度や温度によって伸縮します。その伸縮を防ぐため、適度に湿気を与えて寝かせながら延ばしていくんです。この作業は「延反」と呼ばれ、ブラをつくるための大切な下準備。
私も乾燥が気になる年頃なので、お肌に湿気を与えて下準備ばっちりやで!
延反作業は布だけではなく、ひも部分などにも施されます。一度ほどいて寝かせることで、伸縮のムラが無くなるんですって。
広げて寝かせた布は裁断に移ります。オペレーターの方がPC上で1枚の布で何枚のパーツが切り取れるかをシュミレーションし、その図面を紙に印刷、機械に読み込ませて自動裁断がされていきます。
隙間なくギッチリと並べられた裁断図。布を少しでも無駄にしないため、パーツをより多く切り取ることができるようにするのだそう。ブラはカップに応じてパーツの大きさが変わるため、異なるパーツを整然と並べながら裁断図をつくるのは、誰でもできることではありません。
ホントに布ギリギリまで使ってる〜!
自動裁断のカッターが、裁断図通りにパーツを切り取っています。
もちろんここにも人の手によるチェックは必須。延反作業時に布にキズや汚れが見つかった箇所には印が打ってあるので、その部分にかぶったパーツを取り除いたり、ズレなく裁断が進んでいるかを監視したりしています。
続いてはみんなお待ちかねレースの裁断!めちゃくちゃ繊細、めちゃくちゃ美しい!
き、切れっ端でいいからほしい……!
使用するレースはどれも多色だったりデザインが複雑だったりする高価なもの。扱いにくい素材だからこそ、人の手を使います。木原さんいわく、レースの裁断は機械よりも人が切るほうがきれいでレースの柄も左右で揃うんですって。レースの繊維を切る細かな力加減は人の方が調整が上手なのかもしれません。
型紙を添えて回転式のカッターでビャッ!シャーーーッ!
こういうのって、途中で手を止めてしまうと、かえって切り口がガタガタになっちゃいがち。みなさん一切の迷いがありません。
布、レースの裁断が完了したら、いよいよ縫製です。別フロアの縫製班のところに向かうまえにこちらに注目。これは肩ひもやホック、タグなど細かな部品がセットになったものです。こうして細かなパーツ部分もあらかじめひとつにまとめて縫製班に渡すことで「あれ、あの部品どこいった〜?」ということにならないんですって。
効率的〜!!
繊細なレースも全部手縫い!?縫製職人の技術にオドロキ
ジャジャーーーン!
縫製班のフロアに移動してきました。部屋全体を埋め尽くすほどのミシン、ミシン、ミシン!工場内ではじつに1,000台以上ものミシンが班ごとにわかれて稼働しています。
実際、室内はガガガーッ、ガガガーッっとミシンが布地を縫う音に埋め尽くされて、誰も無駄話はしていない空間なのに、すごく賑やかに感じました。
これはブラカップの内側を縫いつけている行程。ふちが曲線になったふたつのパーツをくっつけることで丸みをおびた形になります。
「縫製はやっぱりブラ製造の花形ですね。平面だった布地が縫いあわされることで立体になる。やっぱりこの行程は見ていて楽しいです」と木原さん。
いくつかのカップを糸を切らずに繋いだまま縫い上げて、それぞれをハサミで分断、残った糸を始末したらあっという間に丸いブラのカップに!
文章だと伝わりにくいんですが、ビックリするくらい作業が速いんです。ガッと縫ってガッと縫ってガッと縫って切って完成!みたいな。多分5つのカップをつくるのに40秒くらいしかかかってないんじゃないでしょうか。
冒頭でもお伝えしましたが、基本的に縫製班はカップならカップを縫う専門の班、レース地を縫いつける専門の班と分業制になっています。たとえばカップの内側を縫う班がつくり終えたものは外側の布地を縫う班へ渡され……とバトン方式で次の行程、次の行程と渡っていきます。
もちろん分業制にした方が、製造の効率が上がるというのが最大の理由なのですが、普段我々が着用するブラに、いったい何人もの手作業が積み重なっているんだろう……と有難い気持ちになってきました。
だってブラのワイヤー部分まで手作業で挿入しているんですよ。本当に細部の細部まで機械に頼らないんだなあ。
力を入れてしまえばあっというまに裂けてしまいそうなレースも、手早く縫い止めていく熟練の技術……。みんな縫うのがあまりに素早くて見とれてしまいます。モタついてる人が本当にひとりもいない。
その秘密を木原さんにうかがったところ、初心者でも安心して縫製作業に加われるよう、とてもシステマチックに教育制度がなされていたのでした。
「うちに入社してきた人は、みんなほぼ工業用ミシンの初心者です。学生時代に工業用ミシンが使える人は稀ですよね。そんな人たちが誰でも素早くミシンが扱えるよう、各班の班長や班の先輩たちがサポートする体勢が取られています。班に分けられているとそれだけ細部にまで目が行き届きやすい。身体がミシンを覚えるまで徹底的に縫う練習をするので、誰でもコツコツ続けていれば立派な職人になれるんですよ」
「また、どうやって速く縫うのかがわからないときは、作業が素早い人の作業を動画で撮影して見せてあげるんです。自分の作業と対比ができるので、どこが詰まっているのか、どこに無駄な動きがあるから作業が滞るのかがすぐにわかる。さまざまな教育システムを設けて、全ての班がよどみなく製造スピードを上げられるよう努力してるんです」
縫製のみなさんが足並み揃って作業が速いのは、手厚い教育があってこそなんですね。ちなみに取材したのは2017年の11月だったんですが「誰もモタついていなかった」ということは、4月に入社した新入社員の方が半年ちょっとであの製造スピードに順応できるようになってるんですよね。
社長より偉い!?縫製職人のトップに立つ先生の超技術
そんな高い縫製技術を持つ職人さんたちのトップが長崎工場にはいらっしゃいます。画像左手の通称「先生」。全ての製品の全ての行程を高いクオリティで縫製できる超プロフェッショナルです。「ぼくなんか全然かなわない。唯一無二の技術を持っているという意味では、ひょっとすると社長よりも立場が上かも」と木原さんが笑います。
玄関先のミニブラをつくったのはこの先生。普段はいろんな班の手助けをしたり、縫製技術を若い世代へ伝えるために尽力されているそう。
朗らかで明るいキャラクターのレジェンド達。
先生にかかれば薄いレースの縫い物もお手のもの。「すごいですね」「なんもすごくないわよぉ〜!みんなできるようになるよ」とのどかに話をしながらも手はバリバリに最速!
検品&梱包もオール手作業!厳しいチェックを経てお客様のもとへ
さて、縫い上げられた製品はいよいよ出荷への準備。まずは厳しい品質チェックが入ります。
品質チェック専門の班が、ほころびはないか、汚れはないか、異物は混入していないか……20以上の項目を丁寧に見分けていきます。ここでチェックから漏れたものはまた縫製班に戻され、糸を解いて再度つくり直されるものも。
クリアした製品は商品タグがつけられていよいよ梱包です。タグつけも実際のサイズとタグの表記が合っているか、最後までチェックを欠かしません。
ビニールにいれるところまで手作業!最初から最後まで機械の登場はごくわずか。「なんだかんだいっても機械よりも人の手のほうが速い部分が多いんです。素早くたくさんの数を縫うことと、クオリティの高い製品をつくることを同列に作業ができるのは、やっぱり人の手と頭脳ですね」。
たくさんの行程をかけて梱包された製品は、ブランドごとに箱詰めされて全国の販売店へ!ブラたちよ、元気でみんなの胸をきれいにしてくれ〜!!
ずっと座りっぱなしで集中力の継続が必要とされるので、10分ほどの休憩時間が1日のうち何度かあります。
みなさんおつかれさまです!
社長に直撃!徹底的にムダを省くからこそできる一流の製造とは
ここで、ワコール長崎工場のアレコレについてお聞きしましょう。お話ししていただくのは代表取締役社長の粕張さん!
「ここまで手作業が多いのはビックリしたでしょう。でも手作業でも1日に製造するロット数はすごく多いんです。その秘密は徹底した効率化にあるんですよ」
「たとえばこの糸が入った箱を見てください。どの箱に何色の糸が入っているかがわかるようになっています。これでどれが目的の箱か迷うことはありません。それに、三角形の穴が空いているでしょう。箱を手でつかんで取り出していると、わずかながら時間がかかります。三角形の穴に指を入れると、スッと素早く取り出せるんですよ」
試してみると、本当に早い!箱はけっこう大きくて、手が小さい女性や指先が乾燥した人は少し取りにくいんですが、この穴に指を入れて引っ張ればストレスフリーで箱を取り出せます。
「1回の時差はわずかですが、それが積み重なっていくと膨大な時間になります。製造以外の部分に関わるムダを徹底的に排除することで、より多くの製品をつくることができるんです。工場内では常にこうした効率化のためのアイデアを募集しています。指の穴なんていかにも『主婦の知恵』っぽいですよね。女性が大多数をしめる職場ゆえのいいアイデアです」
あと、みなさんが作業されてるイスにも一工夫が。なんだかわかりますか?
じつはイスの車輪が台車に使われる屈強なものに付け替えられてるんです!
「質問のたびに毎回立ち上がって移動していたら時間がかかるでしょう。ズボラかもしれませんが、イスに座りながら移動できた方がやっぱり作業が早いんですよ。そのぶん1枚多くパーツを縫えるし、1着多く製品をつくることができる」
この車輪はすべてわざわざ付け替えてるんですって。気持ちいいくらいに徹底した効率化が素晴らしいですね!
自分もこれくらいムダを省ける人間だったらもっとバリバリ仕事ができるんだろうな……。
「また、班ごとに『今日の製造ノルマ』を設けています。壁に電光掲示板で『その日のノルマ、いま何枚目か、目標との差は何枚か』が一見化できるようになっています。とはいえノルマが達成できなかったら何か罰則があるわけではありません。でもやっぱり、何の目標値も設定されていないと動きがどうしても遅くなってしまうので」
「ほかにも安全対策も兼ねてハサミなどの部品は名札をつけて保管場所をきめておいたり、誰が休みや早退なのか班長がすぐにわかるようスケジュールを大きなホワイトボードに書いていたり。細かい部分までムダをなくすことで、働くみなさんは製造だけに意識を向けられるんですよね。だからワコール長崎工場の職人さんたちはクオリティの高いものをつくることができるし、実際に縫製の技術自体も高い」
ワコールの高級ラインは、正直言って業界の下着のなかでもかなり高額です。ブラだけで1万円近くするものも。いままでは「デザインも凝ってるし、布地やレースの素材がいいもんな……。でもやっぱり高いなあ〜!」とヤキモキしていました。
でも今回こうして工場のさまざまな場所や働く職人さんたちを見ていると、その価格も決して高いわけではないんだなと思い知らされました。いや、高額であることには変わりないのですが、その価格にはちゃんとした理由があるんだと。
機械の利用は最低限、人の手作業がより楽になる程度。布の準備から裁断、縫製、検品にいたるまで関わる人・人・人!しかもその人達はブラづくりの高い技術を持った職人集団。それはいいお値段も納得です。
ハイクオリティを生み出すのは自発的な職人さんの気概
みんなの憩いの場、社員食堂にもおじゃましました。
いかがでしたか?
かわいい下着好き!ワコール好き!という方も、それがどうやってつくられているか、はじめて知った人も多いと思います。
作業中はミスがおこらないよう集中している職人さん達も、休憩時はこの笑顔。こんな人たちがつくっていらっしゃるんですよ!
ブラ製造の発見や徹底した効率化も印象的だったんですが、なかでも心に残ったのは働くみなさんの生の声。ランチタイムや休憩時間に「ワコールの工場はどうですか?」と聞いてみたんですが、みなさん口を揃えて働きやすいと答えていました。
「わからないことはみんなが優しく教えてくれます」
「教育制度が整っているから、働けば働くだけ持てる技術が増えていく」
「残業もないから子育てがしやすい。産休や育休もちゃんと取れるしね」
「みんないい人ばっかりよ」
製品の質もよく、職人の育成制度も整っていて、しかも働く人みんなが「働きやすい」という会社って普段の生活ではなかなか聞くことができないので、笑顔で自分の職場を褒める声を聞くたび心があたたかくなりました!
ワコール長崎で働くみなさんが、職場や仕事に誇りや愛を持っていることが感じられた。、その例と言ってはなんですが、くだんの先生がすごーくステキなことを仰ってたんです。
「各自が完璧な状態で次の人に渡さないとダメなの。自分の工程をきちんとしておかないと次の人が縫いにくかったり、フォローして負担をかけてしまうから。だから1つ1つの縫製工程が完璧じゃないと最終的に綺麗に仕上がらない」
ワコール製品のデザインは非常に複雑で繊細です。そんなデザインを実物の製品として世に出すには、デザインをかたちにする技術力が必須。しかもそれを誰がつくっても常に同じ品質でないといけないわけで……。
職人のみなさんは高い課題を要求されていると思います。でも、それを上から押し付けられるのではなく、自分たちの心持ちで課題を越えていく努力をしていることが本当に素晴らしい!
最後は取材班のみんなとワコールのロゴマークでパチリ。
以前からワコール製品は好きだったんですが、自分の手元にとどくまでの過程を間近で見て、いっそう好きになりました。あと、もっと下着を大切にしようと。
今日も女性のキレイをつくってくれる職人さん達に感謝を込めて!
ワコール長崎工場のみなさん、ありがとうございました!
▼しゃかいか!チームでは、こちらのサイトも制作させていただきましたので、是非チェックしてみてくださいね!!
大人の工場見学 in 長崎/ワコール株式会社
http://www.wacoal.jp/factory/nagasaki/
公式サイト/九州ワコール製造株式会社
http://www.kyusyu.wacoal.co.jp/
(text:平山、photo:市岡)
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