職人とデザイナーを繋ぎ、新たな山中漆器に挑む 我戸幹男商店

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石川県には、「木地の山中」「塗りの輪島」「蒔絵の金沢」と称される3つの漆器産地があります。今回は、あの俳人松尾芭蕉が、奥の細道の旅で大変気に入り絶賛したといわれた温泉街もある「木地の山中」へやってきました。山中の地に1908年、木工所として創業した我戸幹男商店さんにお伺いし、漆器の職人技にせまります!

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なんともおしゃれな外観です。今回ご案内いただく我戸正幸さん、こんにちはー。

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400点もの新商品を開発
店内には商品がずらり。なんと10年も経たないうちに400点ほどの漆器を商品化したんだとか!これだけの凄まじい数を商品化したのには理由があります。

正幸さんは、山中から東京のデパートで8年間修行した後、地元の山中へ戻ってきました。帰省してから、さあ、山中漆器を東京へ売りにいこう!と思った時、今の商品をどこが置いてくれるんだろう。これじゃあ、東京へ売りには行けないと思ったそう。東京で鍛えられた視点で、山中漆器を見つめ直し、ブランディングも含めた商品開発の日々が始まりました。

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モダンな佇まい!こちらの商品は一体なんでしょうか?

こちらの商品は「かるみ(Karmi)」という茶筒です。俳人芭蕉の俳諧理念『軽み』から引用し名付け、日常生活の中で感じ取った淡白な心境を表現しているんです。茶筒の蓋で茶葉を計量できる優れもの。

国内外のデザイン賞を受賞
「かるみ(Karmi)」は、2010年にグッドデザイン賞、2012年にはドイツ連邦デザイン賞で銀賞を受賞。ドイツの銀賞受賞のときは、1.500を越えるノミネートのなかから選ばれたそうです。海外では、ダージリンの茶葉を入れるため南部鉄器と一緒に購入・使用されることが多いそうです。

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美しいフォルムに光る熟練の職人技
「かるみ(Karmi)」の特徴は、木地を回しながら、木地の表面に刻みつける装飾的な細やかな模様です。「加飾挽き」という加工技法の中の「千筋」という細い幅で1本ずつ筋を挽いていく難しい技で模様付けされています。

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こちら全て「加飾挽き」の技法で加工された漆器です。挽き方によって模様がさまざまで印象も違います。

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育ったままの形で切り出す「縦木取り」
山中漆器の一番の特徴が「縦木取り」という木の取り方です。木を縦方向の形で切り取り、そのまま製品にします。「縦木取り」することで、木を薄くでき、乾燥による変形が少なく、縁が割れにくくなるなど良いところがいっぱい!「縦木取り」された木(写真一番左)が、左から右へと加工され、姿を変えていきます。

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驚きの薄さ!パリパリのお煎餅よりも薄く、うすーく挽かれています。この山中漆器の技が生まれる現場へレッツゴー!

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山中漆器の製材所︎へ移動です。雪の中に木材が保存されています!夏は、木に虫が入り腐りやすくなりますが、冬は、木の保存状態がよいため、ナチュラルな仕上げにはもってこいの時季なんです。

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製材所︎に運ばれた木を木取りしやすいサイズに裁断します。

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裁断された場所によって、木目の出方も違います。

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ここからは、木地職人の戸田さんです!よろしくお願いします。

戸田さんが、鉛筆で大きな輪を描き始めました。節や割れ目を避けて輪を描き、木目のよい部分を木取りできるように印をつけていきます。

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印に沿って裁断機を使用し、切り出します。

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お椀の形に荒挽きし、乾燥しやすい型に挽いていきます。

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荒挽きされたお椀をもって、戸田さん。ありがとうございます。

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製材所の小部屋の扉を開くと、木地職人5年目の田中さんが、もくもくと作業されています。

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自分が使いやすいように道具をマイ裏挽きに作り変えています。「少しの違いでも削りやすさが全然違う!だから、挽く道具の種類はたくさんありますよ」と道具を愛でる田中さん。

https://youtu.be/J5AWrSiUC_4

田中さんの挽きの技術によって、あっという間にお椀の形になりました!おがくずを一緒に浴びての撮影で感激です。

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仕上げ挽きの作業の次は、部屋に入れて2週間から3週間ほどかけて乾燥させていきます。サイズが大きいものは、すぐに乾燥室へ入れると割れてしまうため自然乾燥をさせて、だんだんと水分量を減らしていきます。

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次は、冒頭でお伝えしました茶筒「軽み(Karumi)」の「加飾挽き」を一手に担う久津見木工さんへお邪魔しました。

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久津見木工さーん!

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玄関には、これでもかと重ね並べられた乾燥中の漆器が陳列しています。マイ乾燥室まで完備していらっしゃいます。

https://youtu.be/pumEqJvxB-0

世界にも認められる美の技
1分も経たないうちに、細やかな筋が均等にいれられていきます。長年にわたる経験から得られたこの技術には圧巻!

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現代の生活様式にも根付く美しいフォルムを生む出すため、道具だけでなく機械にもいろいろな仕掛けが施されています。

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未来の漆器を生み出すプロデューサー
現在、デザイナー12人、木地師20人を束ねデザイナーと職人を繋ぐプロデューサーとして活躍する正幸さん。
「デザイナーの希望を木地職人さんにそのまま伝えて、うまいことカタチになることはなんてないですよ。上手くデザイナーと職人さんを調整し、希望をつなぎ合わせて商品開発をしています」と山中漆器の未来をみつめる正幸さん、ありがとうございました!

【詳細情報】

株式会社 我戸幹男商店

住所:石川県加賀市山中温泉上原町ヨ−58−1
電話番号:0761-78-4421
URL:http://www.gatomikio.jp/home.html
e-mail:info@gatomikio.jp

(text、photo:坂田)

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