おばちゃんのもったいない!が次のハッピーへ Sur TSUGI
さて、2回にわたりお届けしますTSUGIさん!
TSUGIさんの活動の中でも外せないのが、ピアスの「Sur(サー)」のストーリーです。
TSUGIメンバーでもあり、「Sur」を作られたデザイナーの新山悠さんにお話をおうかがいしました!
悠さんは大阪出身で、大阪のアパレルショップに勤務した後、結婚を機に福井に移住しました。現在は、毎日17時頃まで教育関連の事務職の仕事を終えてから「Sur(サー)」の制作にとりかかるそうです。
この異素材をミックスしたピアス、もとは何だったかわかりますか?
ヒントは鯖江で有名なメガネです。
しゃかいか!編集部の私も「Sur」の大ファンで、TSUGIさんの活動は「Sur」を通して知りました。
もったいないの山積み
ある日、メガネメーカーのおばちゃんから「見せたい廃材があるからきて」と連絡を受けて、悠さんは旦那さまでもあり、TSUGIメンバーでもある直広さんと見に行くことに。
そこには、メガネをくり抜いたあとの端材(あまりもの)がたくさんありました。
メガネを作れば作るほど端材ができて、できあがるもったいないの山積みを見ては、おばちゃんの嫌な気持ちも積もり積もっていました。おばちゃん自身も様々なやり方で加工したりと試行錯誤していたようなんですが、どうしたものか…。とずっと悩んでいたようです。
TSUGIさんの活動を聞きつけた知り合いの方が、廃材に悩むおばちゃんに「TSUGIさんに相談しに行ってみたら」とアドバイスをしてくれたそうです。悠さんは、そのことだけでも嬉しかった反面、どうしようかとぐるぐると考え始める日々がスタートしました。
考え方としては素材の解体
相談を受けて、まず思ったことは廃材の柄がとっても綺麗なこと。次に、もともと肌につける素材だから体にも優しいことです。素材となるアセテートは、石油系プラスチックじゃないので透明度も高く、軽いんです。メガネ製造のラインで廃材として捨てられていたなんて、おばちゃんの気持ちがよくわかります。
まずは、愛知のクラフトマーケットに出せるモノを作ろう!という話になって3ヶ月間、メガネ加工の機械で削ったり、TSUGIメンバーの永富さんに直線加工をしてもらったりといろいろな形を日々研究。
商品名も決まりました。廃材を使ったのがきっかけだったので、余分という意味のサープラスのサー「Sur」にしました。
ついに、愛知のクラフトマーケット出店の日。
「まさにつけて欲しいなって妄想していた女子がSurを買っていった姿を見て震えちゃいました」と笑顔の悠さん。
ストーリーは後からついてくる
また、すでにメガネの素材を利用した商品はあったので「差別化」という意識は無意識にあったようです。
「違うもの、違うものって考えるのがけっこう面白くて、メガネの廃材でつくったというアピールをあえてする必要があるのかなって思いました。いいね!って思ってもらった後にストーリーがついてくるほうがいいなって」
ハッピーの循環を作れるといいな
メガネメーカーのおばちゃんに報告したら、大変喜んでくださったようです。
「おばちゃんも作っていたけど、捨てられるはずだった素材が、違う形で再活用することができ、しかも商品として世に出たことで、喜んでもらい本当によかったです。街の人がコラボして循環の流れを作れて、次のハッピーにつながるといいな」と悠さん。
もったいないの悩みから、次のハッピーを生み出す。まさに、TSUGIさんの名前に込められた意味がうまく機能していて素敵です!
ピアスのひとつひとつを想いを込めて手作業でつくっていきます。
「メガネメーカーのおばちゃんにお仕事としてお願いすることで、少しでも恩返しができればいいなと思っています」と悠さん。新商品も考えているようです!次につながるハッピーのため、試行錯誤しながら懸命に動く悠さんご夫婦を含めTSUGIメンバー全員のクリエイティビティを感じました。次の未来を描く集団、TSUGIさん、本当にありがとうございました!
(text:坂田、photo:市岡)
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