Sponsored by 日本生活協同組合連合会

「見える化」と「絶え間ざる改良」で次の農業に挑戦しつづける企業農業集団!イシハラフーズ

デカほうれん草

でっかいほうれん草でしょ!
やってきたのは宮崎県都城市。
いつもお世話になっている日本生活協同組合連合会の「ラブコープ商品 工場・産地交流会」にしゃかいか!も参加し、冷凍野菜を作っている現場にお邪魔しています。

大きな圃場イメージ

到着したのは、ほうれん草畑。まるで緑のじゅうたんのようです。
宮崎県は、県民所得のうち第一次産業が占める割合が全国でトップ、農業が盛んな地域です。平均気温も高く、温暖な気候や日照時間の長さ、一年のうち快晴の日数の割合が高いなど、農業に適した条件が揃っています。

ロゴ

今日見学させてもらうのは、この都城市で冷凍野菜のほうれん草を作っている「イシハラフーズ株式会社」さんです。
イシハラフーズは1976年、当時学生だった石原和秋社長が都城の野菜を九州各地に売り込もうと青果業を営んでいましたが、都城のおいしい旬の野菜にもっと付加価値をつけて全国に届けたいという思いから、冷凍食品事業にも進出。主力であるほうれん草の他にも、小松菜・ささがきごぼう・枝豆・むき豆・里芋の冷凍野菜を製造しています。

ほうれん草畑

ほうれん草はスーパーでは一年中見ることのできる定番野菜ですが、実は冬の作物。9月の下旬に種まきがはじまり11月から4月の寒い時期に収穫します。
おいしいほうれん草になるポイントは寒暖差。この時期の冷たい土の下でも凍らないぞ、とさまざまな物質を蓄えるのですがその際に生まれる糖分によって、甘くておいしいほうれん草になります。ここ都城市は霧島連山をはじめとする山々に囲まれた盆地なので、ほうれん草の収穫の最盛期となる2月には、朝はマイナス2〜3度、昼間は18〜19度になることもあるため、ほうれん草が育つために適した地域なのだそうです。

収穫機

お邪魔した2月上旬は、まさにほうれん草の収穫真っ最中の時期。
オレンジ色の収穫機で大きく育ったほうれん草をどんどん収穫します。

はるか向こうでは、草取りの作業をしている皆さんもいます。
イシハラフーズでは除草剤をなるべく使用しないため、どうしても生えてきてしまう雑草は、人の手で丁寧に取り除かれます。

爪のアップ 爪のアップ2

「ムシャムシャムシャムシャ」
と大きなほうれん草を収穫機がまるで食べているようです。
丸いローラー部分についた爪が回転し、ほうれん草を収穫していきます。

地面

ほくほくとしていい感じの土壌。
足で踏むとふんわりした感触が伝わってきます。南九州の土壌は黒ボク土と呼ばれ、桜島や霧島の灰が積もってできたもの。
イシハラフーズのほうれん草は「特別栽培農産物(化学肥料の窒素成分と化学合成農薬の使用回数が各都道府県慣行基準の50%以下で栽培されたもの/農水省ホームページより)」なので、化学肥料も極力抑えます。肥料も生育がよほど悪い時にしか使わないので、播種前の土づくりをきっちりと行ないます。土に含まれるpH(ほうれん草は他の作物に比べ酸性に弱く、中性に近い状態が望ましい)は、イシハラフーズでは蠣殻の石灰で調節。鶏糞と豚糞、牛糞などを土壌の具合に応じて混合しながら使用しています。しっかりと完熟させたものを使うことで、匂いもあまり出ないし、土壌中で腐敗したりして植物界に悪影響を与えることもありません。耕転の際には大きな斧のようなものがついた機械で下の固い黒ボク土の層をほぐしながら、播種前に土作りを入念に行ないます。

今日のほうれん草の収穫後、ここには夏には枝豆が植えられる予定。そのため収穫後には素早く耕耘をかけて次の畑の準備をしなければなりません。ほうれん草が終わったら枝豆。豆が終わったら、またほうれん草か小松菜か葉物を植えることになります。同じ作物を連続して植えないのは、土壌栄養分が偏ってしまい生育によくない影響を与える連作障害を防ぐためです。

大きなほうれん草2

そして、収穫されたほうれん草がこちら。でかっ!
観葉植物のようですが、もちろんほうれん草です。
特別大きくなる品種を使っているわけではなく、冷凍野菜用のほうれん草はこれくらい大きくなったものを使います。冷凍野菜と聞くと生鮮に比べて栄養や味ってどうなの?と思っている方も多いと思いますが、冷凍用のほうれん草は生鮮用に比べて栄養価はむしろ高いのだそうです。生鮮のほうれん草は播種から収穫まで約40日間であるのに比べ、加工用ほうれん草は短いものでも2ヶ月、長い時には3ヶ月100日前後くらい栽培されるため、サイズが大きくなることはもちろん、味も濃いほうれん草に育ちます。

収穫の様子2 収穫の様子

以前は約40名で畑に行ってカマを持って一つ一つ手摘みで収穫を行なっていましたが、現在は収穫機を導入し機械化を実現。1日に40人で20トンだった収量が、現在は5人で30トンと飛躍的に増加しました。冷凍野菜のほうれん草は収穫後素早い冷凍保管が命。収穫のスピードアップによって鮮度をぎゅっと閉じ込めたおいしいほうれん草をいただけるというわけですね。

イシハラフーズはもともと青果業であったこともあり契約農家さんが栽培した野菜を仕入れて加工していましたが、現在は自社栽培した野菜に切り替えました。その理由は農家の高齢化と担い手不足。冷凍野菜の安定供給を図るべく、増えていく耕作放棄地を活用し自社に農産部門を持ち様々な作物を栽培するようになりました。

見学風景

イシハラフーズの圃場(作物を栽培する畑のこと)は全部で680箇所230ha、東京ディズニーランドの5つ分もあり、都城市から県境を越えて鹿児島県にも点在しています。イシハラフーズの圃場は「点在」という言葉通り、北海道の農地のように広大な農地がまとまって利用できるわけではなく、お隣には別の農家さんの畑、そして畦を挟んでまたイシハラフーズの圃場というようなレイアウトになっています。
理由は地元の農地の持ち主に協力をお願いし買い上げたり借りたりして徐々に圃場を広げてきたからです。
現在も、耕作放棄地を開拓したり、農家さんと畑をトレードしたり、畦を取り払って圃場を集約化するなど、より効率的な農地の使い方ができるように知恵を絞り続けています。

スタッフ

そして、この680箇所230haの畑を管理しているのは、18人の農産部の皆さん。
ディズニーランド5つ分を18人で。
さすがにちょっと少ないんじゃいないでしょうか、と思いましたが、ここからがイシハラフーズの真骨頂。少数精鋭で広大な圃場管理を可能とするイシハラフーズの大きな特徴をこれからご紹介します!

アプリ登録作業

その秘密が圃場に立てられた看板です。
看板に記載されているQRコードには、圃場の管理番号や植えられている作物、どんな作業を誰がしたかという履歴、生育状況、これまでに散布された農薬の量などありとあらゆる情報が含まれています。このQRコードに記録された情報に基づいて、播種や草取りなどの中間作業、生育状況の把握、収穫適期の見極めなどが計画されます。そして、現場では圃場の状況を把握することができ、農産部の人たちは覚えきれないほどの圃場があっても、迷うことなく作業することができます。

アプリ画面ヨリ

今日の作業が終わると農産部の担当者が専用アプリが入ったiPhoneで作業内容を登録。次の年の栽培計画に生かされることになります。
また、ここで登録された情報は工場にも引き継がれ、加工作業やさまざまな検査にも活用されます。

吉川さん

このシステムを開発したのがこの方、農産統括の吉川さんです。
「もともとITの知識にくわしかった訳でもなく、もともと情報系の部門でもありません。既存のシステムを使用することが難しかったので、うちの会社に最も適したシステムにしようと自分で作ってしまいました。圃場の状況を会社全体で把握し、みんなに見える化することで、作業の効率化にもつながりますし、畑から製品になるまでの情報を一元化でき、いつ・どこで・誰が・どのように作業をした野菜なのか分かるので安全性を担保するのにも役立ちます。現場からも会社に戻って紙の日報を記載しなくてよくなったから、早く帰ることができて嬉しい、となかなか好評です。」
効率化、安全性、働き方、といろんな点でメリットがあるシステムです。

看板

そして、この看板を立てているメリットがもう一つ。
看板に連絡先が書いてあるので、農家さんから電話が会社に直接かかってきます。
お隣の畑で農薬を散布する予告の連絡をもらうことで、イシハラフーズではあらかじめドリフト(近隣の畑の農薬が間違って別の圃場にもかかってしまうこと)を回避することができます。また、圃場で何かがあった時にはお隣の畑の農家の方が心配して連絡してくれることもあるし、逆に「農道が汚れたよ」とか「車両が邪魔だ」などの声もあります。圃場が混在しているということは、お隣ご近所の農家さんや住民の皆さんに理解を得ながらやっていかなければいけないということ。
「この看板のおかげで自分たちもしっかりしないと思って気が引き締まる。ご近所の皆さんからの連絡は自分たちの作業の品質の向上につながる、ありがたい申し出をいただいていると考えています」と吉川さん。
企業として近隣の個人の農家さんとのコミュニケーションは大切なのだな、と圃場の畦を見ながら実感することができました。

見学風景 霧島山を見る

快晴の日には、遠くに霧島山が間近に望める...はず、でしたがこの日はあいにくの曇り空のためうっすらとなんとか見えるかなー見えないかなーくらいでした。
2011年1月、霧島山中央部にある新燃岳の噴火の際には都城市も10cmほど降灰しました。その年にはイシハラフーズの野菜も生育不良や汚損でほとんど収穫できず、約500トンもの収穫適期の野菜たちが廃棄され、社員の皆さんもひと月ほど後片付けに追われたのだそうです。「あの時ほど自然相手にしていることを実感できたことはありませんでした」農産部のスタッフさんの言葉です。

運搬車

収穫されたたくさんのほうれん草たちは、加工されるため運搬車に乗って工場へ。

バス車中

僕らも一緒についていきます。
イシハラフーズでは「収穫から加工までの時間を少しでも短くできるように」と、工場へは30分以内に到着することができます。

スタート

工場の見学がスタート!

入場1 桑山さん

ガイドしていただくのは、桑山さん。
よろしくお願いします!

「収穫から冷凍保存まで最短2時間です」
旬のおいしさをほうれん草にぎゅっと閉じ込めるため、圃場からの運搬〜原料の受け入れから計量〜洗浄やきょう雑物や異物の除去〜人の目による選別〜原料の色や形状を識別する機械選別〜カット〜下ゆで、アク抜きとあら熱取り〜脱水、急速冷凍〜冷凍庫への一時保管、なんとこれらの作業を収穫された後約2時間で行います。

投入

原料のほうれん草をカゴごとドーンッ!
すぐに加工ラインへと投入されます。ちなみにこの工場では、1日に約20トン、300gのパックで3万7千ほどの冷凍ほうれん草を生産する能力があります。

洗浄ラインへ オペレーター

ラインの投入口でフォークリフトに乗って作業をしている人がいます。どのくらいの量のほうれん草をラインに流していくか、という「流量」を制御する係の方です。
司令部門から原料の状態や「ラインの後ろが混んでいる」という情報をもらって、ほうれん草がラインに流れていく量を調節しています。

流量調節 iPad

作業する人の手元のiPadには圃場の管理番号、投入時刻、原料の状態、流量とスピード、今日1日何トン製造できるのか、ライン全体の状況など、たくさんの情報が含まれています。

ドラム

冷凍ほうれん草への道、ステップ1。まずは洗浄と異物除去の工程です。
ぐるぐる回転しているドラムで石や草を落とします。

洗浄

次にブロア(圧縮した空気を吹きつける)とシャワー、バブル洗浄でさらに汚れを洗い落とします。

洗浄後半 洗浄終わり カッター

大雑把な大きさに一旦カット。

目視選別その1 選別基準

そして目視による選別。
この時点では主に、黄葉(きば)、細かい石、木の枝などの異物がチェックされます。

カラーセンサー

猛スピードで駆け抜けるほうれん草!
この工程は「カラーセンサー」といって、異物や葉っぱの枯れを見てくれる機械です。

カメラ カラーセンサー見学

コンベアで通り過ぎるほうれん草をカメラで捕捉し、形状で不良や異物を、色の悪いもので枯れを瞬間的に判別し、エアーで撃ち落としラインからはじき落とす。2台目のカラーセンサーでは、ほうれん草の「裏」をチェックします。葉物なので裏表があるから。「タン!タン!」と硬い音がするのはエアーガンの発射音です。

不良ほうれん草

不良として取り除かれた原料は堆肥などに再利用されます。

合格したほうれん草

チェックを通過したほうれん草はまた流水層へ。さらに洗います。

ブランチングへ

そして、「ブランチング」
湯がく工程です。ほうれん草のアクを抜き酵素のはたらきを抑えることで、冷凍後の変質を防ぎます。
家庭で調理する8割程度の湯がき方をしていて、ほうれん草を92度から100度で1分程度湯がく。
小松菜の場合は94度から100度で3~4分湯がきます。ほうれん草に比べ温度を高めに時間を長めなのは、小松菜は芯があるからです。時間や温度に幅をもたせているのは、同じほうれん草でも、硬い柔らかいがあり、食味やその条件に合わせて時間と温度が判断されます。

粗熱とり

茹でたものを冷たい水で冷やしています。温かくなったほうれん草を25度くらいに温度を下げて細菌が増殖するのを防ぐ「熱取り」です。

脱水

脱水。
よく脱水しないと次の凍らす工程で、ほうれん草どうしがくっついてしまったり凍りにくいので、ここでよく水分を取っておく必要があります。

冷凍

脱水を通った後はフリーザーへ。温度はマイナス約30度以下、3分程度で瞬間冷凍。細胞の破壊を抑え鮮度や旨みを閉じ込めます。

目視選別

再び目視選別。不良を選別するとともに、平たく並べて次の工程の機械でチェックしやすい状態にしています。

コンベア カラーセンサー2

再びカラーセンサー。凍った状態でも不良のチェックを行います。上から落下するほうれん草をカメラで見て、エアーで不良を弾き飛ばします。

カラーセンサー2アップ

洗浄後もチェック、凍った後もチェック。ひんぱんに目視や機械で選別されます。

仮詰め

そして、仮詰めへ。
急速冷凍されたほうれん草は一定量ごとに箱詰めされ、冷凍庫で保管されます。
コンベアから流れてくるほうれん草を自動的に軽量し、一定の重さになると自動的に蓋が閉じ次の箱がセットされます。

見学風景

「なるほど!」がたくさんつまった加工ライン
イシハラフーズ専用に工夫されたり改造された機械や装置がたくさんあります。秘密保持のためお見せできない工程も実はたくさんあります。
工場の人によると「このラインはもっとより良くできる!と社長をはじめ、従業員一同でたえず改良されています。おそらく今見てもらってるラインの姿も、次に来てみると変わってしまっているところがたくさんあるはずです。」とのこと。

冷凍庫

あっという間にほうれん草が冷凍され、倉庫に一時保存されます。ここまでで収穫から2時間
寒いのですぐ出ます!

冷凍庫2

冷凍後仮詰めされたほうれん草は、発注に応じて取り出され包装工程へと進みます。

最終選別

保管庫から取り出された後も、また選別作業。ここでは冷凍状態での不良がないかをチェック。

計量

そして計量マシンを通過し、

包装

包装。送り出されるフィルムが成型し、製品になっていきます。

目視検品

包装後の目視検品では、賞味期限の印字ミスがないか、包装部分に内容物を噛みこんでいないか、チャック部分に不具合がないかなどがチェックされます。

X線検査

最後に、指定の範囲内の重さになっているかを確認するウエイトチェッカー、金属探知機とX線で石などの異物が混入していないかがチェックされ、その後、おうちやお店に配達されます。

完成 箱詰め

できた!

動画でもご覧ください。

ということで、いただきます!

試食

イシハラフーズさんのご好意で、いろんなほうれん草のお料理や野菜ミックスを使った筑前煮もいただくことができました。
小松菜のクリーム煮に、白和えにおひたし、真ん中手前のお皿は野菜水羊羹。濃い緑(左)がほうれん草、淡い緑(右)が小松菜で、白いのがごぼうです。
野菜水羊羹の作り方は案外簡単で凍ったままのカット野菜50gを100ccの水でなめらかになるまでミキサーにかけて、白あんと混ぜてレンジで加熱。完全に煮溶かした寒天パウダーを沸騰後1〜2分煮込んで、砂糖を入れてミキサーの野菜と白あんをよくかき混ぜ、冷蔵庫で1時間程度冷やすだけ。
野菜好き&スイーツ好きの皆さんはぜひチャレンジを!野菜嫌いのお子さんにこっそり食べさせるのにも最適なんですって。

がね

一番右のかき揚げは、ささがきごぼうを使った「がね」という宮崎県・鹿児島県の郷土料理です。見た目が「がね(こちらの方言でカニのこと)」に似ているので、そう呼ばれています。サツマイモと一緒に揚げるので、おかずはもちろん、おやつにもなってこちらの地方の皆さんが大好きなお料理なんだとか。

試食イメージ

見学の後の試食はまた格別ですね。

試食2 試食3 残留農薬検査センター

最後は「残留農薬検査センター」へ。
こちらは名前の通り、イシハラフーズの製品を検査する施設で、工場とは別の建物になります。

検査センタースタッフ

こちらが検査を担当する森永さん。
農作物の残留農薬は食品衛生法で一定以上の値になると出荷することができないと定められています。ポジティブリストに決められた指定農薬それぞれに基準がありますが、ほうれん草に使用されない農薬の基本的な値が0.01ppmを超えるものは流通することができません。「0.01ppm」を例えるならば、小学校の25mプールに2.5gサジ1杯入れたくらいです。

検体 検体アップ

収穫されたほうれん草が圃場単位で検査されます。この中で行われるのは「多成分分析」といって、文字通り複数の種類の農薬を一度に調べる検査。
世の中に存在する農薬の成分は800成分ほど、その中から日本で流通しているのが500成分で、そのうちこの施設で分析可能なのは430成分。その430成分を一度に分析し検出することができます。

精製 精製_アップ

ほうれん草は葉っぱの状態では検査できないので、細胞の中から農薬を検出できるほどの微細なペースト状にすることで、抽出しやすい状態になります。さらにほうれん草由来の不純物を取り除いて農薬成分だけを検出しやすい状態にします。この過程を「精製」と言います。

検査イメージ 検査手元

農薬の成分は、気化しやすい成分と水に溶けやすい成分に分かれます。気化しやすいものは「GC-MS」という装置でガスクロマトグラフィー分析を行い、「LC-MS-MS」という装置で液体クロマトグラフィー分析を行い、成分の特性にあった分析を行っています。

これらの分析を外部機関に委託するとなると、1週間かかってしまうこともザラですが、検査センター内の設備を使うことで精製と分析をそれぞれ行っても全体で2時間以内に完了することができます。短時間に検査を実施することで出荷前のチェックも可能となり、製品の安全性も向上につながりました。

自社の圃場以外からも農薬が飛んできてしまうことも。
もし、農薬が検出された場合には、検査センターから工場に連絡をしなければなりません。イシハラフーズが使用する農薬に関してはもちろん把握していますが、以前「使用していない」成分が基準値以上の値を示したことがありました。「これなんだ?」と色々調べた結果、お隣のごぼう畑由来の成分だということがわかり、急遽連絡して出荷を止めて、対象の圃場で収穫した作物を全て廃棄処分にしました。
「常にドリフトがどこかにあるかもしれないので、気を抜かずに分析しております」と森永さん。

名前は「残留農薬検査センター」でも、他にも検査しているものがあります。

土壌

それは土壌!
圃場で「土づくりをとても大切に考えている」という話を聞きましたが、健康な土づくりには検査が欠かせません。南九州の土壌の多くである黒ボク土は排水性に優れいてるというメリットがある反面、植物が育つのに必要なリン酸を吸着しやすい、というほうれん草にとっては良くない性質も持っています。

土壌のプロット 土壌の色が違う

同じように見える土でも圃場によってこれだけ色が違います。色が違うということは当然土中に含まれる成分も違う。pH(酸度)や窒素含有率なども見ていきながら、いい土作りを行うべく取り組みが進んでいます。これまでの土壌調査でわかったのは「ほうれん草にとってpHの適性値を満たした圃場が全体で1/3程度だったこと」まだまだ改善の余地があるそうです。
土づくりのさまざまな課題を解消すべく、イシハラフーズの残留農薬検査センターでは、圃場のサンプルを可能な限り採取し検査を続けています。

楽しそうな森永さん

「土壌分析は難しいし、奥が深い」と言いつつ、検査が楽しくて仕方がなさそうな森永さん。
言葉とは違って笑顔でお話ししてくれました。

理化学検査

さらにセンターの中では、製品の理化学検査(一般生菌数・大腸菌・大腸菌群・サルモネラ菌・黄色ブドウ球菌などの細菌が繁殖してないかや製品としての規格をクリアしているかなどを調べる)や実際に検査員の舌や目と鼻で、見た目・形状・色味・香味・味と肉質や組織、その他をチェックする官能検査なども行っています。

記念写真

収穫の現場、加工、検査、そして試食と冷凍野菜ができるまでを体験できるツアーは終了。
繰り返し行われる洗浄や選別作業、専用設備での検査といったは品質や安全についてしっかり担保することはもちろん、圃場をシステムで徹底的に管理する仕組みや、スタッフによる絶えず改良され続ける加工ラインなど注目するところが多く、これまで見たこともないような発見がたくさん。明るくとても前向きな農業を目撃することができて、なんだか元気が湧いてくる見学でした。
イシハラフーズの皆さんありがとうございました!

【詳細情報】

生協の組合員さんとイシハラフーズとの勉強会の様子はこちら(コープ商品サイト)

イシハラフーズ株式会社

住所:宮崎県都城市下川東2丁目1号1番地
電話番号:0986-25-2121
URL:http://www.ishihara-foods.com/

(text:西村 photo:阿部)

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