「食」は人を良くする!かまぼことちくわ ヤマサ蒲鉾
今日はかまぼこ工場のヤマサ蒲鉾さん!
青空のもと、毎日たくさんの蒲鉾とちくわが作られております。
カニカマ27万パック、蒲鉾3万パック、ちくわ15万パック、揚げかまぼこ(おでんなどに使う)が25万パックが1日で生産されます。わかりやすく言うと1日に使用されるすり身が約36トン、象が一匹だいたい4トンくらいなので、象9匹分の重さです。それくらいたくさん。
蒲鉾とちくわはほとんどBrother!
蒲鉾とちくわが同じ工場で作られる理由はその作り方。
原料は白身の魚肉のすり身。味つけして形を作って、その後の加熱の工程に注目!
焼くとちくわ、蒸すと蒲鉾、ここが違います。
じつは蒲鉾とちくわは親せき、いやほとんど家族のようなものなのです。
では蒲鉾とちくわのどちらがお兄さん(もしくはお姉さん)なのか?
ちくわ!
形からするとちくわの方が難しそうなので、後なのでは?と思いきや実はちくわが先にできたと言われています。
ちくわソックリ!
ちくわは、平安時代の文献「類聚雑要抄」に「蒲鉾」という名前で登場します。あれれ?わからなくなってきた。
なぜ現在のちくわが「かまぼこ」という名前だったのかはその形。ちくわが竹の棒に筒状に巻いて作った形状が蒲の穂(がまのほ)という植物ににていたから。
がまのほ→かまぼこになったという説が有力です。
他にも武器である鉾の形ににているから、という説もあります。
藤原忠実が転居祝いに宴会を開いた時の串を刺したかまぼこの図。
1115年(永久3年)なので、業界団体として記念日協会に申請し、11月15日が蒲鉾の日になりました。
現在、ヤマサ蒲鉾では、すけとうだらやハモ、イトヨリダイなどの白身の魚が原材料として使われていますが、当時は淡水魚のナマズが主な原料。見た目が悪いお魚や小さすぎて食べにくい魚の身の部分をすりつぶして作られていました。漁師さんが考え出したのではないか?と言われています。
かまぼこは白身のお魚で作ります!
白身の魚を使用した蒲鉾は昔から高級で献上品や贈答品、もしくはお祝いの品などのご馳走で、江戸時代にやっと一般庶民も口にできるようになりました。白身魚を使うのは現在も同じ。
仕上がりの色がグレーになってしまうから赤身の魚は使用しないのだそうです。
全国で作られているかまぼこ、ヤマサ蒲鉾のある関西の蒲鉾の特徴は、少し贅沢にハモやあなごが入っていたりします。
そしてヤマサ蒲鉾といえば〜
入り口にはカニの爪のでっかいオブジェが、そそり立つというか、もう空を突き刺しています。
1980年(昭和55年)カニ風味かまぼこの製造がスタートしました。
その後のカニカマブームで大ヒット!
今はお店に普通に並んでいるこちらの商品、当時はビックリ!
小学生だった僕はこれを完全にカニの身だと思い込んでいました。一年を通してカニ!なんて贅沢なのだろう我が家は、と思っていました。今でもおいしくいただいております。
なので今日はカニ風味かまぼこを見に行くカニー!
マスコットのさっちゃんが出迎えてくれます。
今日はよろしくお願いします!
毎年行われるコンクールには全国から絵が寄せられます。みんなありがとう〜、ってさっちゃんも思っていると思います!
カニ風味蒲鉾の食感の理由を発見!
工程を順番に見せてもらいます。
擂潰(らいかい)といいます。すりつぶして味付けする工程。すり身にたまごや砂糖、塩、みりん、でんぷんを加えます。カニ風味蒲鉾はカニエキスを投入!
次に、カニ風味蒲鉾の場合はすり身を薄く引き延ばします。厚さ0.8mmまで薄くのばします。
さらに、細く裁断しそうめん状態にしたものをねじっていきます。ねじねじねじねじ。
このねじったものが縦ではなく、斜め繊維状態になっているのがヤマサ蒲鉾の特徴。これがカニ身の繊維のようになり、食べごたえのある食感に近づくというわけです。
この赤いものもすり身。これにはトマトと赤パプリカの色素が混ぜられています。体にも優しい。
ヤマサ蒲鉾のかまぼこ、ちくわ、カニカマ、揚げかまぼこは全ての商品が保存料なしなんですって!!
次に加熱。ブルーのフィルムに包まれたカニ風味蒲鉾を約95℃の蒸気で加熱。
中心の温度が85℃以上になるようにしっかり蒸していきます。
このブルーフィルムの表面に赤いすり身を塗っておいて、白いすり身を包みます。
加熱・冷却を経て赤と白のすり身がくっつきます。
フィルムが剥がされ、
蒲鉾の蒸しの温度や時間は現場の担当者の感覚が頼り。その日の気温、湿度ほか数字に表れにくいところはラインの長が経験で補いながら加熱を調節していきます。
蒲鉾も見せてもらいます!
かまぼこの味の違い、西と東
蒲鉾の味にも違いがあります。関西は濃い味で、関東が薄味。
うどんやおそばの麺類の味の好みとちょうど逆ですね。
関東のはピンクと白の蒸しが主流で、関西は表面に焼き目をつけたのも違いの一つなのだそうです。
そして〜
ちくわも見せてもらいます。
ちくわにも関東と関西で違いがあります。
両端が白くなっているちくわはもともと関東が始まりなのだそうです。白いと上品な感じがするのと、新鮮なイメージなので、関東で用いられたんだとか。
ヤマサ蒲鉾では、焼いている途中に両端に水分を塗って焼き色がつかないようにしています。
最近はうどんチェーン向けの半分に切られた磯辺揚げ用ちくわや業務用のものが伸びているのだそうです。
ちくわが包装のマシンへ行く時は向きが揃って整然としています。
コンベアで運ばれるのですが、結構早いスピード。シュッ!シュッ!という音が聞こえてきそうです。
一方、蒲鉾はお行儀よく集団行動といった感じです。(イメージです)
ヤマサ蒲鉾の工場の設計はすべてストレートライン!
蒲鉾とちくわの工程を並行して見ることができたのは、ラインも並行で進んでいくからなんです。このストレートラインは見学者が見やすいように、ってこともあるかもしれませんが、製造マシンが整然と配置されているので目が届きやすい、また入り組んでいないので、上下方向の汚染やライン同士が交差した結果の汚染が起こりにくい構造なのだそうです。安全・安心のストレートライン。
ヤマサ蒲鉾では、HACCP(厳格なプロセスコントロールの発想からの監視方式)もヨーロッパ版、アメリカ版、日本版、兵庫県版を取得。ISO9001の品質管理に組み込んで安全・品質な商品づくりに取り組んでいます。「食」は「人」を「良く」するというメッセージが会社全体に浸透しています。
かまぼこ板には台だけではなく、余分な水分を調節する目的もあります。ヤマサ蒲鉾では、カナダ産のもみの木を使用!
蒸し器へ。95℃で6分ほど蒸します。
これは板と身の間の空気を抜くため。
さらに別のマシンで、40℃で20分。これは「すわり」という弾力を増すため。さらに95℃で30分殺菌消毒のために蒸していきます。
ちくわも体験!
ちくわの場合はあらかじめ四角形に抜かれた型にすり身を塗りつけていきます。
僕のはこんな風に穴が…。先生に補修してもらいました。ありがとう先生。
ツルツルしてきたら、表面に穴を開けていきます。ツルツルするのは熱でタンパク分が変性するから。これにより半固体だったすり身が固まっていきます。膨れないように刺すを何回か繰り返します。
焼き色がついてきた!香ばしい匂いもしてきた。もうすぐ食べてやる!
表面がシワシワになるのは膨らんだちくわの表面が冷やされることによってしぼんでいったから、といったことを聞きながらいただきました。
揚げたてコーナーが人気。いろんな味の揚げかまぼこを買うことができます。
姫路限定チーかまドッグも!この夢鮮館と姫路駅前の大手前店で食べることができます。姫路に来られた際にはぜひ。とろけたチーズとかまぼこが熱々の生地にぴったりでおいしかったです。
ヤマサ蒲鉾は大正2年(1916年)に姫路市の白浜で創業しました。今年2015年で99年!
播磨灘の恵みを受けてかまぼこを作っていましたが、今ではこの夢前川の地でかまぼこ作りを続けています。
市街地から少し入った場所にあり、のんびりおだやかな風景に溶け込んでいます。
イベントもたくさん、バレンタインかまぼこです。冷めないうちに食べてもらってください!
春には芝桜が咲いて、ご近所さんがかまぼこ片手にのんびりお花見して過ごします。
ヤマサ蒲鉾の製造拠点は日本でここ一箇所。工場、直売という企業としての顔を持ちながら、ご近所さんの集まるスペースとしての役割も担う、とてもハートフルな工場です。
左から田中博士さん。まさしく博士並みの知識でいっぱい蒲鉾のことを教えてくれました!真ん中はずーっとニコニコ案内してくれた田中康義さん。右は工房で僕のかまぼこをやさしく教えてくださった木場大輔さんです。
みなさん、有難うございました!おいしい蒲鉾でこれからも人を良くしてくださいね!
【詳細情報】
ヤマサ蒲鉾株式会社
電話番号:079-335-1055
住所:兵庫県姫路市夢前町置本327-16
受付時間:9:00~17:00
休館日:工場見学のお休みは、火曜日、土曜日、祝前日。かまぼこ・ちくわづくり体験のお休みは火曜日
料金:工場見学コースは無料、かまぼこ・ちくわづくり体験はお1人さま1,500円 ※団体(20名様以上)は20%OFF
時間:
工場見学
平日/10時〜、14時〜
日曜日・祝日/9時〜、10時〜、11時〜、13時〜、14時〜、15時〜
体験
9時〜、10時〜、11時〜、13時〜、14時〜、15時〜
(体験のみ要予約)
URL: http://www.e-yamasa.com/company/kengaku.html
(text、photo:西村)
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