Sponsored by Kyoto Crafts Exhibition DIALOGUE
新たな形の工芸を届けるビッグイベント!対話を通して工芸の未来を考える見本市&展示販売会「Kyoto Crafts Exhibition DIALOGUE」運営者インタビュー
今回は、ホテル カンラ 京都で行われた工芸の見本市&展示販売会”DIALOGUE”についてレポートしていきます!
こんにちは!今回の記事を担当させていただきます河野です。私は、しゃかいか!のインターン生で、先日京都の大学を卒業しました。
DIALOGUEの取材に対し、気合いは充分!なんてったって、今回取材させていただいたイベント、DIALOGUEは、全国から集まった作り手さんと彼らが生み出す伝統工芸品の数々に囲まれた、とーっても素敵なイベントなんです!
私はこれまで、しゃかいか!のインターンを通じて様々な伝統工芸品に触れ、素敵な作り手さんたちを取材させていただく機会があったのですが、その中で、工芸をいかに「伝えていくか」ということに強く関心を持つようになりました。
そして、今回取材させていただいたDIALOGUEは、他のイベントとはひと味もふた味も違う形で工芸の今と未来を伝えています。
私たちインターン生にとっても、今回のイベントはこれまでの活動の一つの集大成。みんなで心して臨みました。
工芸界の関係者の中では、とっても有名なDIALOGUEですが、それ以外の方にはあまり馴染みがなく、「DIALOGUEって初めて聞いた!」という方も少なくないと思います。
私自身も、しゃかいか!のインターンに参加するまではその存在を知らなくて、存在を知ってからもどんなイベントなんだろうと疑問に思っていました。
私はまだまだ、工芸に対して無知なところが多いですが、だからこそDIALOGUEを工芸界の外の視点から、工芸初心者の視点からお伝えできればと思います。
工芸の世界に身をおいていらっしゃる方も、工芸をよく知っている方も、「工芸に興味はあるけど、あまり良く知らない!」って方も、今回の記事で、DIALOGUEというイベントについて、知っていってください!!
では、さっそくですが、DIALOGUEに向け出発〜!!
工芸品の販売展示会をホテルで!?町家風の客室と、作り手さんの空間プロデュース力が生み出す素敵な空間
そもそも、DIALOGUEとはどんなイベントなんでしょう。
先に述べた通り、DIALOGUEとは京都で行われる工芸の見本市&展示販売会で、今年で6年目の開催となりました。DIALOGUEは、工芸界でも、ビッグイベントのひとつで、今年は、57の出展者さんが参加されています。
今年、2023年の開催日程は、3月8日~11日の4日間です。3月8日、9日は、ビジネス関係の商談が主に行われるBUYERS DAYですが、3月10日、11日は、誰もが参加できるMARKET DAYとなっています。
そんなDIALOGUEの一つの特徴が、イベントの会場がホテルだということ!
工芸品の展示会が、ホテルで行われるというのは、とっても珍しいですよね。私も、DIALOGUEを取材するまで、どのように展示が行われているんだろうと疑問に思っていました。
DIALOGUEの展示会は、ずばりこんな感じです!
作り手さんには、ホテルの客室がそれぞれ展示会場として割り当てられており、そこで自由に展示を行うことができるんです。
DIALOGUEの展示会場は、ホテル カンラ 京都。このホテルは、京都の伝統的な住宅形式である町家をイメージしたデザインを特色としており、部屋の調度品やレストランにも伝統工芸品が用いられています。
そんなホテル カンラ 京都の客室は、DIALOGUEに参加された作り手さんのプロダクトと相性抜群!客室のおしゃれさもあいまって、本当に素敵な空間となっていました!
展示空間は、ショーケースや展示棚の上だけではありません!
作り手さんは、自身のプロダクトに合わせて、空間全体をプロデュース!!
このように、
入り口からプロダクトの展示が始まり、
室内には、個性豊かな伝統工芸品が並びます。
なかには、ベッドの上が素敵な展示空間となっている客室や、
お風呂場を用いた独創的な展示まで!
作り手さんは、客室の設備を余すことなく用いて、自身のプロダクトの良さを伝えていました。
このように、作り手さんがそれぞれのプロダクトに合わせて客室での展示空間をまるごとデザインされることで、それぞれのデザイン性と個性の光る、プロダクトを何倍も何十倍も引き立てる展示空間が生み出されています!
展示会の会場をホテルの客室にすることの利点は、作り手さんがプロダクトに合わせた展示空間を創造できることだけではありません。展示会を訪れる私たちにとっても、生活レベルに近い空間でプロダクトを見ることができるという利点があります。
このように、それぞれの作り手さんが創り上げられる空間の中で、工芸品を見ることができることは、DIALOGUEの大きな特徴と言えると思います。
しかし、DIALOGUEというイベントの特色は、客室の展示にとどまりません。
DIALOGUEの魅力は、「工芸の未来を考える」というイベント趣旨にも表れています。展示会のタイトルとなっている”DIALOGUE”は、「対話」という意味。その名前通り、DIALOGUEは「対話」を通じて、工芸の未来を見据えるイベントとなっています。
工芸というと、どうしても私たちの生活から距離のあるものだと感じてしまいがちだと思います。工芸の作り手さんとしても、商品の買い手の方や、実際に使用される方とお話する機会があまり多くないだけでなく、作り手さん同士でもなかなか交流が生まれないのだといいます。
そんな中で始められたのがDIALOGUE。DIALOGUEは、作り手さんと作り手さん、作り手さんとバイヤーさんや私たちをつなぐことで、新たな商品活路や新しいプロダクトを切り開いていく重要な場を提供します。
つまり、「対話」を通じて、狭くなりがちな工芸の世界を広く広く伝えるイベントだと言えます。
私も、イベントへの参加を通じて、工芸品は本当はもっと身近で、生活の中に取り入れていける、取り入れていくべきものなんだと感じました。
先ほどお伝えした、客室におけるプロダクトの展示会は、その一環。作り手さんがその商品の買い手の方や実際に使われる方と直に「対話」を行うことができる場となっています。
また、作り手さんが他の作り手さんの客室を見学したり、ときにコラボして展示会場をつくりあげていくことで、作り手さん同士の交流の場を生み出しています。
そして、DIALOGUEが提供する「対話」の機会はそれだけにはとどまりません。
その一つが、トークイベント。トークイベントは、社会と工芸の交差点から工芸の未来を考える内容になっていました。
そのテーマは、「作り続けること、使い続けること」、「地域の魅力を見つける・届ける」、「福祉と工芸」という3つで行われました。持続可能な社会、地域の魅力発信、社会の多様性という、現代社会においても大いに関心を寄せられている課題に、工芸の視点から向き合う時間となりました。
さらに、フレンドシップ事業では、京都伝統産業ミュージアムやビームスジャパン京都と連携したイベントを開催。より広く多角的な視点から、工芸について語る場が設けられました。
このように、作り手さんとプロダクトのことを深く考えてデザインされた工芸品展示会、DIALOGUE。そのさらなる魅力について、DIALOGUEの主催者、山崎伸吾さんにお話を伺いました。
「工芸を目的に京都に来てほしい」
DIALOGUEに込められた主催者山崎伸吾さんの熱い思い
京都府の若手職人を育成する事業に10年以上携ってこられた山崎さん。その中で、若手職人が次に目指すべき指針を提示すべきであると感じるようになったといいます。
その一つの形として生まれたのが、DIALOGUEという見本市&展示会なんです。
DIALOGUEは、今年で6年目を迎えます。実はDIALOGUEは、コロナ禍でも休まず続けることができたイベントだと教えてくださった山崎さん。その背景には、コロナ禍でも熱い思いを持ち続けてくださった作り手さんたちの存在があるといいます。
そして、コロナ禍でも集まってくれる職人さんの思いに、こちらも応えなければ、辞めるわけにはいかないと山崎さんはじめ運営チームの方々も、熱意をもって取り組まれてきました。
そんな中、今年のDIALOGUEは、コロナ禍に収束の兆しが見られる中で開催される、本格的な対面イベントとなりました。
山崎さんは、DIALOGUEを通じて、一見寡黙に捉えられる職人さんにものづくりを雄弁に語ってほしい、近い距離で、直接職人さんを見てもらえる場をつくりたいと話されます。
DIALOGUEの特徴である、ホテルを展示会場としている点についてお聞きすると、その着想にあったのは、オランダで開催されているMONO JAPANだといいます。
MONO JAPANとは、日本のクラフトやデザインに特化した展示・即売会であり、アムステルダムのロイドホテルを会場に行われています。山崎さんは、ホテルを展示の場とすることで、展示するプロダクトをよりよく見せ、付加価値を与えることができると語られます。
客室におけるプロダクトの展示に加えて、今年のDIALOGUEにおいて重要な意味を持つのが、トークイベントです。
トークイベントは、社会の今を捉え、社会と工芸の交わりに焦点を当てた内容になっています。
山崎さんは、ものづくりを知ってもらう上で、プロダクトそのものや商談だけでなく、トークイベントという形で、ものづくりの世界を言語化することが大切だと考えられています。
DIALOGUEが伝えるのは、工芸の未来であり、工芸を通した社会の姿でもあります。
このように、工芸の周りにある社会の変化を見据えたものづくりのあり方を発信していくことに、山崎さんはDIALOGUEというイベントの位置づけを見出されているように感じられました。
工芸の視点から社会を考えるというDIALOGUEの姿勢には、山崎さんのものづくりに対する見方が関係しています。
一般的なものづくりに対する評価軸としては、「美しいものがよい」、「時間をかけたものがよい」という考え方がやはり、主流にあるそうです。しかし、ものづくりの原点をみると、そのものの気持ちよさや風合いといった、感性に働きかける要素も重要だったりすると山崎さんは語られます。
そのようなものづくりの多様性を伝えていく一つの形が、今回のトークイベントなんです。
このように、山崎さんが社会と工芸のかかわりを考えるきっかけのひとつが、「自分が持つ技術をいかに社会に還元していくか、職人はずっと考えないといけない」というある職人さんの言葉にあったといいます。
山崎さん自身も、「職人さんはつくることが得意だからこそ、その先まで考えないでつくるという方も少なくない。
しかし、だからこそ、ものづくりや工芸品の社会の中での位置づけを考え、それらの流通や使われ方まで考えていくようなものづくりが行われてほしい」と考えられています。
山崎さんは、そのようなものづくりの今と未来を考える職人さんを、DIALOGUEで応援していきたいと考えられているんです。
そして、そのような思いでつくられたDIALOGUEが、そこを訪れた作り手や来場者に、今後のものづくりのあり方と指針を伝えていきます。
DIALOGUEの大きなテーマの一つとなっている、工芸の未来について、山崎さんにお聞きしました。
山崎さんは、工芸の世界が「もう保たないだろう」とずっと言われているという現状を教えてくれました。ある統計によると、工芸の世界は、2050年には、従事者が現在の10分の1になり、2030年には道具や材料を供給できない状況になるだろうと言われているそうです。
その中で、重要となっていくのが、工芸の新しい要素。今まで「工芸」として考えられてこなかった部分に、ものづくりの思想や哲学、知恵を活かした新しいものづくりが生まれているといいます。
例えば、現代的なプロダクトとして知られるガラスやコンクリート。しかし、それらも実は、使われ始めてからすでに100年以上が経過しており、今後「伝統工芸」の一部として捉えられていくかもしれません。また、3Dプリンターを用いて、新しい工芸を生み出そうと活動される方もいます。
山崎さんは、「新工芸」が生み出す驚きや感動に、おもしろさを見出されています。工芸の新しさは、なにも新たな素材からのみ生まれるものではありません。
DIALOGUEで見られる生活に近いものづくりや社会との関わりを考えたものづくりの中にも、工芸の未来を見ることができると言います。
DIALOGUEを通じて、山崎さんが目指すのは、DIALOGUEを通じて、工芸の産地である京都でものづくりの鮮度をそのまま伝えること、そして、工芸を目的に人々が京都に来るようになること。
DIALOGUEは、作り手さんと運営する人々の熱い思いをのせて、ものづくりの世界を広げ、盛り上げていくイベントであることがわかりました。
熱い思いを持って、DIALOGUEを運営されているのは、山崎さんだけではありません。山崎さんとともに、DIALOGUE設立当初から運営に携わっていらっしゃるキュレーターのお二人にも、お話を聞きました。
「つなぐ」ことで工芸の世界を広げる仲介役
キュレーターの北澤みずきさん、藤井昌弘さんにインタビュー
キュレーターのお一人である北澤みずきさんは、もともとホテル カンラ 京都の工芸ショップを手掛けられていたそう。その中で、「工芸の技術をブラッシュアップして、今の感覚で使えるものに」というテーマで、ショップの立ち上げから運営、商品のセレクトまで行われていました。
その後フリーランスになられたタイミングで、DIALOGUEにキュレーターとして参加することになったとのことでした。
北澤さんの工芸の技術と向き合ってきたご経験が、工芸と現代の私たちの感覚をつなぐという形で、DIALOGUEにも活かされているように感じられました。
今年のDIALOGUEの特徴についてお聞きすると、「コロナ禍が収束しつつある中で、世の中の人の動きが戻り始めていること」を挙げられました。
今年は、来場者側の増加が予測されるだけでなく、出展者側も過去最多の応募となったといいます。
その中で選ばれた今年の出展者さんの特徴をお聞きすると、アパレル関係の出展者の方が多いとのこと。そのため、DIALOGUEを通じて、暮らし全体の提案をみていただけると説明されていました。
DIALOGUE公式のキュレーションの基準に加えて、北澤さんがキュレーションにおいて、大切にされている基準についてお聞きすると、「自分がほしいと思うもの」、「あの人が好きそうだから紹介したいというイメージが湧くもの」、「いい空気感のもの」など、自分の感性を大切にされているそうです。
北澤さんは、DIALOGUEを通じた新しい出会いやお客様からの「楽しかった」という声にやりがいを感じられるといいます。実際に、これまでのイベントの中でも、作り手さんに、DIALOGUEを通じた出会いからつながったお仕事の展開があったそうです。
最後に、北澤さんに工芸の未来について、どのように考えられているのかお聞きしました。北澤さんは、いいものをつくりながら、育まれた技術をどう続けていけるか、それを考えた先にポジティブな未来があると考えているそう。
――「大前提として、工芸品は人が求めていないとつくられない。その中で今はいらなくても、未来にまた必要になるものもあるかもしれない。いかに工芸品やその技術を絶やさず、また必要なときに出すことができるのかという視点を、事業者さんだけでなく、みんなが持てればよいのではないかと思っている」。
DIALOGUEにも、そのような取り組みが見える事業者さんが多く参加され、イベント全体の空気感となっているとのことでした。
そのように、新しいことにチャレンジし、新しい人とつながって、新しい商品を見てもらおうとする人たちが集まったイベントだからこそ、工芸の未来を提示できるのだと思いました。
もう一人のキュレーターである藤井昌弘さんは、美術大学を卒業された後、アートの企画展にかかわるお仕事をされていました。その中で山崎さんとご一緒にお仕事をされる機会があり、DIALOGUEに関わることとなったそうです。
工芸もご自身の興味の中にはあったものの、お仕事としての工芸との出会いは、DIALOGUEだとのこと。
藤井さんは、イベントをつくることが好き、ものづくりをされている方が好きだといいます。
作り手さんを尊敬されているという藤井さんは、「自分には、ものづくりはできない。自分でつくったものを人前に出して、それを気に入ってもらう、好きになってもらうというのは、なかなか勇気がいることだ」と話されます。藤井さんは、話を聞いたり、いろんなものごとを知ったりと、作り手さんとつながることにやりがいを感じていらっしゃるとのことでした。
このように、作り手さんを尊敬し、つながりを築くことを楽しんでいらっしゃる藤井さんの姿勢が、DIALOGUEの工芸の伝え方にも表れているように感じられました。
出展者さん分の作品があるように、出展者さん分の個性にも出会えておもしろいと話される藤井さん。確かに、DIALOGUEでは、それぞれのものづくりの形をしっかりと持った個性の光る出展者さんばかりが揃います。
そんな藤井さんがキュレーションをする上で、大切にされているのは、ものづくりを知ってもらいたいという意欲が見える事業者さんかどうかということ。
DIALOGUE、「対話」を大切にするイベントの中で、展示会として単にものを置くだけではなく、演出やお話が肝になってくるといいます。そして、「対話」の裏にあるのは、事業者さんの創作する過程や背景、プロダクトやものづくりに対する思いです。
藤井さんは、私たちがプロダクトそのものやその伝え方を「いいなあ」と感じる背景には、事業者さんの伝えたいという気持ちがあるといいます。キュレーターとして、そのようなものやものづくりを行う事業者さんをピックアップしているそうです。
北澤さん、藤井さんのお話を聞いて感じたのは、DIALOGUEとしての客観的な基準に加えた、自分ごととしてのキュレーションが、ものづくりの良さを詰め込んだDIALOGUEにつながっているということ。
キュレーターのお二人が「いいな」と感じられるプロダクトや作り手さんが集まった展示会だからこそ、私たちが心動かされる作品が集まっているのだと思いました。
藤井さんは、DIALOGUEの中で、作り手さん同士のつながりをつくることにも力を入れられているといいます。
その中で重要となってくるのが、展示会における客室の配置。「こことここの作り手がつながったらおもしろそうだな」という風に、全体のバランスを見ながら客室を配置していくのだと教えてもらいました。キュレーターは、いわば作り手の仲人役。
過去には、出展者さん同士のコラボレーションや商品の取り扱いも生まれているそうです。作り手さん側からもそのようなつながりが生まれたことに、「DIALOGUEに参加してよかった」と喜びの声があがっているのだとか。
DIALOGUEは、プロダクトの買い手と作り手さんをつなげるだけでなく、作り手さん同士もつなげて、工芸の新たな可能性を生み出しているのだと、改めてDIALOGUEの役割の大きさを感じました。
「人の人生よりも長生きするプロダクトを」
社会×工芸で生まれる新たなものづくりの可能性
お話をお聞きする中で感じたのは、DIALOGUEが工芸の未来を考えるイベントだということ。お三方の考えられる工芸の未来についてもお聞きしていたのですが、そのお話の中でみなさんから共通して挙がったのが、アパレルブランドMITTANさんのお名前でした。
MITTANさんは、今年のDIALOGUEにも参加されていた出展者のひとつです。
その特徴は、プロダクトを「使い続けること」に焦点を置いたブランドであるということ。
アパレル系のブランドは一般的に、流行に応じてプロダクトが消費されて、新しい商品を買い続けられることで、存続していくイメージがあると思います。
しかし、MITTANさんは、修繕や買い取りをしながらプロダクトを「使い続けること」を追求されているんです。
MITTANさんについては、こちらの取材記事でもご紹介しています。
アパレル業界は、一般的には工芸の分野として見られることは少ないと思います。ですが、MITTANさんがアパレルブランドの中で立ち上げた、使い続けるためのものづくりのシステムは、工芸的なものだといえます。
そのような一見「工芸」にあてはまらなさそうなアパレルの世界に見られる工芸的なものづくり、意外な形でのアパレル業界と工芸の親和性は、私たちにものづくりの未来を考えさせてくれます。
MITTANさんは、DIALOGUEのトークイベントにも「作り続けること、使い続けること」というテーマで登壇されていました。
ものにあふれ、ひとつひとつのものの価値が見えにくくなる現代社会において、単に消費されていくことなく、「使い続けられる」ということに、工芸品としてのひとつのアイデンティティがあるように思います。
DIALOGUEを運営されるお三方のお話をきいて、工芸のあり方とは何か、工芸の未来はどうあるべきか、とても考えさせられました。
工芸を続けていくためには、作り手さんの熱い思いや技術が必要不可欠です。でもそれだけではなくて、作り手ではないからこそできる、工芸を続けていくための仕掛けづくりがあるように思いました。
そして、作り手さんと運営のみなさんの思いが集まってできたのが、DIALOGUEという素敵なイベントだと思います。
お三方のお話は、工芸の世界の「おもしろさ」を、作り手さんの「すごさ」を伝えたいという思いにあふれていました。
多くの作り手さんと交流し、その技術を間近で見てきた方々だからこそ、伝えられるおもしろさがある。工芸の未来を真剣に考えてきた方々だからこそ、見せられる工芸のポジティブな未来がある。そんな風に思います。
そんな思いに満ち満ちたDIALOGUEに、すばらしい思いや技術を持った作り手のみなさんが参加されることで、こんなにわくわくするイベントになっているんだなと感じました。
DIALOGUEは、工芸について「語る場」であり、作り手さん同士を、あるいは作り手さんと私たちを「つなぐ場」であり、そして社会と工芸の「交差点」であるように思います。
DIALOGUEでは、作り手さんの新しい試みに驚かされ、熱い思いに感動しっぱなしでした。DIALOGUEを通して生まれたつながりが、どのように工芸の未来を広げていくのか、今からとっても楽しみです。
DIALOGUEの取材にご協力いただいた皆さん、本当にありがとうございました!
読んでくださったみなさん、ぜひDIALOGUEに足を運んでみてください!!
▼出展者インタビューはこちら
Kyoto Crafts Exhibition DIALOGUE
Web:https://dialoguekyoto.com/wp/
Instagram:https://www.instagram.com/dialogue_kyoto/
Facebook:https://www.facebook.com/DIALOGUEKyoto
【開催期間】2023年3月8日〜3月11日(開催期間終了)
※次回は2024年3月6日〜3月9日を予定しています。
【開催場所】ホテル カンラ 京都
〒600-8176 京都府京都市下京区烏丸通六条下る北町190
Web:https://www.uds-hotels.com/kanra/kyoto/
Instagram:https://www.instagram.com/hotelkanrakyoto/
Facebook:https://www.facebook.com/hotelkanra/
協力:Kyoto Crafts Exhibition DIALOGUE
text 河野萌音 photo 市岡祐次郎、本田コウイチ、町田益宏
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