海苔生産日本一!を支える二つのチームワーク サン海苔
今日のテーマは、ごはんのおとも、というかごはんの親友、海苔!
佐賀市のサン海苔さんに来ています。佐賀県は海苔の生産量日本一なんですよ。
その理由は…有明海!
有明海で生まれる海苔はなんと国内最多の生産量(佐賀、福岡、熊本など合わせてシェア約50%)を誇っています。
栄養たっぷりの水、塩分濃度、干満差と光合成
有明海が海苔づくりに適している理由は3つ。
その1、多くの河川(その数100以上!)が流れ込んで栄養がたっぷりなこと!
その2、淡水と海水がほどよく混ぜ合わさり、海苔の養殖に適した塩分濃度
最後!干満差(潮の満ち引きによる水位の差)と光合成です。有明海の干満差はなんと最大6メートルもあり、支柱に固定した海苔網が1日1回干し出されるので、太陽の光を浴びた海苔が光合成し、独特のうま味が生まれるんですよ。
佐賀海苔は艶のある黒褐色で火であぶると、サッと緑色に変わります。
口にした感じが柔らかく、とろけるような甘さや喉ごしがいい!
干満差はなんと6メートル!
この支柱式製法は、佐賀海苔の作り方の大きな特長です。
種付(たねづけ)という工程。
牡蠣の殻の中で育ったのりの胞子をのり網に吊るして漁場で養殖。水温が23度くらいになると、核胞子は牡蠣の殻から一斉に飛び出し、網一面に付着して、海苔の芽となります。
秋のはじめの有明海には、一面海苔畑のような風景が広がるんですって!
次につみとり。網に核胞子を付着させてから30日ほどたった11月下旬から最初の海苔づみが始まります。
摘み取られた海苔は水洗いされた後、横19cm×縦21cmの長方形に型取りされ、乾し海苔になります。
専門の検査員によって厳しくチェックされます。規格や品質によって170等級以上!に細かく分類。
海苔のランクが決まっていきます。
緊張の入札!
海苔の出来によって値段が大きく変わるため、生産者、海苔業者ともに緊張の瞬間なんです。香り、色、光沢、すき方、乾燥具合、破れや縮みの有無などを見ながら、最も高い値を付けたところに落札されます。
落札された海苔は火入れ工場へと運ばれ、同じ味わいを保つために火入れを行います。通常9~10%の水分を5%未満にまで乾燥させます。火入れした海苔はサン海苔工場へと運ばれ、さらに商品へと加工されます。
海苔が到着!
こちらのサン海苔は昭和39年(1964年)に佐賀のりの普及と価格の安定を基本構想として、佐賀県有明海漁業協同組合連合会とその傘下の漁業協同組合を主な株主として誕生しました。
※平成19年4月1日、傘下の漁業協同組合合併に伴い、佐賀県有明海漁業協同組合が誕生し、8月1日に連合会を包括承継し、名実ともに1漁協となりました。
社名のサン海苔のサン(SAN)は“SAGA ARIAKE NORI”の頭文字をとったもの。そして太陽の恵みのサンともかかってる、なるほど!
サン海苔の工場のすぐ隣には、佐賀県有明海漁協のアンテナショップも!原材料の生産から、商品の製造、販売まで生産者と工場とお店が協力。
だから佐賀県の家庭の海苔はだいたいサン海苔さんの商品なんだとか。
他県の親戚や知人に贈るととっても喜ばれるんですって。
最高級品海苔だっ!
超ウルトラ最高級品海苔。その名も「佐賀海苔®有明海一番」
「色、つや、形」というこれまでの海苔の等級を、さらに細かくし、世界ではじめてわかりやすく定義した評価基準の中での最高級ランクの商品。
うま味レベル、香りレベルが「優」以上、かつ
口どけの良いおいしいものであり、色、つや、形の美しいものであること、かつ
一番摘みの初物であり、ひと網300枚以内の厳選摘みであること、そして
育成記録により、素性が明らかなものであること
なのだそうです。
全形(横19×縦21cm)サイズ10枚×3袋で10,000円(税別)。
ぼくにとっては高嶺ののりです。この文章を書いていると唾液がジュワッとしてきました。
今日は味付け海苔の見学!
サン海苔の野中さん(左)と森田さん(右)、今日はよろしくお願いします!
見学用ウェアに身を包み、エアシャワー&手洗い、コロコロ(髪の毛などの除去粘着ローラー)、最近上手になってきたぞ!
今日は味付けのりの見学です。
サン海苔に届いた板海苔。
この時はやはり横19cm×縦21cmの大きいサイズの海苔です。まだ味はついていません。今からラインへ。
味付けへいってらっしゃい!!
このマシンでは異物が入っていないかや破れがないかなどをチェック。NGな海苔ははじかれていきます。
焼いた後に、ローラーで味付け。
これが味付け海苔のまさに「味」!が付けられるところ。
味付けマシン。
海苔がローラーに巻き取られ、
味付けの「タレ」が落ちていきます。
味タンク!
「味」のエキスがつまったその名も「味タンク」!このタンクから工場の天井の管を通って先ほどのラインに味エキスが運ばれ、味が付けられます。
ラインの司令塔「検品」
この工程は検品。破れはもちろん、焼きすぎていないかやベタベタじゃないか、を目で見てまた実際に食味してチェックしています。
司令塔は本村さん、サッカーでいうとMF的なポジション。
このポジションにはベテランが配置されます。お師匠さんにつきっきりで半年〜1年でやっと独り立ちできるんだとか。海苔マイスターみたいな感じですね。
焼・味・乾燥操作盤
海苔は乾き具合がとても大切なので、その日の天候や湿度(工場の中でも一定を保つ仕組みはあるけれど)によって、数字には現れない仕上がりの微妙な違いが出てきます。海苔を目視したり、実際に味見したりして、チェックチェック。釜の温度など加減を調節します。この検品作業は長年の経験がものを言います。
半裁されたのりはさらに、食卓でいつも見る5枚入りのサイズに切られ、袋詰めされていきます。
これは「裁断」という工程。
一つの工程が終わると検査やチェックがその都度差し挟まれ、その繰り返しの後やっと製品ができました。こんなに検査されている海苔に敬意を表します。
この見学を通してわかったことは、二つチームワークの強さ!
ひとつは原料であるのりの供給から製造、販売まで佐賀海苔を守っていくのだ!という一貫した流通、さらもう一つは、おばちゃんから若者まで割り当てられた役割をテキパキテキパキこなす工場のライン。これら二つのチームワークが海苔生産量日本一を守っている秘密でした。
工場のみなさん、これからも海の恵いっぱいの佐賀海苔を守り、作り続けてくださいね!
(text、photo:西村)
関連するキーワード