カツオの町の仲間で作る!元気な市場の商店街 ど久礼もん
高知県中土佐町の大正町市場!
この中土佐町久礼はカツオの一本釣りで有名な町。
干物屋さんの看板娘など、
素敵で元気な笑顔があふれていています。
その中でもひときわ元気な鮮魚店の
田中鮮魚店のお店に突撃し、初カツオのタタキを食べさ…見学させていただきます。
しゃかいか!もやらせてもらいます。ちょっと引けているので、グイッと思い切って、熱いけど!穰作さんに教えてもらいながら、焼きます。
そんなに時間はかからなくてサッと火を通す程度です。
さっそく試食、というか本気でカツオのタタキに挑む
お店のことをくわしくうかがうためにはまず食べないと、ということで
「ハランボ」というカツオ1匹につき、1箇所しかとれない部位を焼いたのも!
いただきました。
田中鮮魚店では、釣り上げた鮮魚・魚介類を新鮮なうちに毎日提供。この大正市場の中に創業して、百年以上、地元のみなさんの台所として昔からずっと親しまれています。
3日に1回でもOK!
こちら久礼地区のカツオの消費量は全国から飛び抜けてというか異常!
高知県の消費量が全国平均の約3倍で、その高知県の約5倍、つまり15倍!のカツオ消費量なんですって。
「漁師さんはお店まで、魚屋はテーブルまで」
隆博さんいわく、この場所はカツオについてはガラパゴス。
漁師さんが釣り上げた一本釣りのカツオとそれを加工する技術が組み合わさり、生産側・加工側とも競争や相乗効果でカツオのタタキが磨きあげられました。そうしてこの地区ではカツオについては舌が異常に鋭くなったのだそうです。
カツオのタタキになるのは8割程度。さばいて中を見てみないと良いか悪いかがわからないのだそうです。なのでさばく。
慶応ボーイで商社勤務、のち魚屋
社長の田中隆博さん。実は東京からのUターンなんだそうです。
慶応大学を卒業後、商社に10年ほど勤務。都会の方が楽しいと思ったこともあったけど、地位やお金を追いかける毎日は学生時代の成績を上げるのと同じ。サラリーマンも楽じゃない。「ど田舎の方が面白い、別の世界でやってみよう」と高知に戻って家業を継ぎました。
田舎に帰ってきてわかったことはシビアだけど共存している、ということ。
競争しながらも置いてきぼりにしない、「競争したあとは『早く行こうよ』と蹴落とさないところがところが都会との違い」。元気な市場の理由はこの競争と共存の仕組みでした。
そして!田中隆博さんは「ど久礼もん企業組合」という組合のメンバー。
「企画・ど久礼企業協同組合」は、ウェブショップや商品開発など企画・運営を行っていて、組合事務所はすぐ近く。お話を聞くことができました。
「企画・ど久礼企業協同組合」の設立は10年前。もともと川島さん(前代表)や田中さんなど、地元の元気なおんちゃんたちが大正町市場の活性化や地元雇用の創出を目的に設立されました。
「さあ始めよう、しかし、どうしよう!」と頭をひねった結果、まずは地場産品を使った加工品を開発しよう、ということになりました。加工品の開発ではじめに目をつけたのが、地元のおばあちゃんが作っていた自家製のごはんのおとも「おかず味噌 カラヤン」。
地元農家のおばちゃん味噌に、元漁師と魚屋がコラボして出来上がったピリリと辛い大人の味みそ。写真の山椒(ラベルが緑)の他にもスタンダード(青)、激辛(赤)の三種類があります。
地元の旅館や観光施設においてもらって評判はナカナカでしたが、ここで困ったことが。
「月に1万個いけますか?」
やってみて初めてわかったことは、流通にのせるにはある程度のロットがないといけないということ。おばあちゃんの手作りでは、作ることのできる量は限られています。
楽しくやっていくことが地域活性化につながる
悩んだ末に販路の拡大から路線をシフト。加工品を作るノウハウはわかったから、楽しくやっていくことにしよう、となりました。
デスクワーク志望でした
もともとお家は漁師で船に乗っていましたが、実はスーツを着てデスクワーク的なお仕事が希望でした。
田中鮮魚店の隆博さんと知り合ったきっかけは、漁協でのお仕事を通して。
セリの後の膨大な売り上げデータを手作業で計算、といった作業をしていました。手作業で計算、数字が合わないと、なんどもやり直していたんだとか。そこに隆博さんが現れます。
「パソコンでやればすぐだよ」
隆博さんにパソコンとEXCELの使い方を教わり、毎日、5時間ほどかかっていた作業が1時間に短縮。漁協の仕組みを全部システム化しよう、ということになりました。
その感動がきっかけで25歳でコンピュータの専門学校へ入学、10年そこで教員をやってからこの久礼に戻ってくることに。
「ど久礼もんがあったから。そのおかげで、私は地元の久礼に帰ってくることができました」
と清岡さん。
戻ってきて改めてわかったことは、賑やかな雰囲気からはうかがい知ることのできない、苦戦している大正町市場の姿。そして共同経営者として、ど久礼もんに参加します。
それからは、みんなで知恵を出しあってアイデアがたくさん湧いてきます。大漁です。
次に作ったのは当時の食べるラー油ブームにのっかり、一本釣りのかつおを焼き上げた、ピリリとパンチのある食べるラー油。
マツコ・デ○ックスさんのテレビ番組で紹介されたご飯のおとも。その名も「しょうがの恋」
と、立て続けにご飯のおともを横展開。
現在はあまり無理をせずに、地に足をつけた規模で手づくり加工品を作り続けています。
ど久礼もんでは、ウェブショップやカツオのたたき実演出張販売なども実施。
地域の核として役割を担ってきた市場や商店街が、高齢化や後継者不足などで崩れつつある中、昔から伝わる伝統やつながり、その潜在能力を引き出しながらしぶとく残っていくお手本が、土佐の海にありました。
【詳細情報】
企画・ど久礼もん企業組合(略称:ど久礼もん) DO KUREMON
電話番号:0889-52-3822
住所:高知県高岡郡中土佐町久礼6530
URL: http://dokuremon.com/
有限会社 田中鮮魚
電話番号:0889-52-2729
住所: 高知県高岡郡中土佐町久礼6382(大正町市場内)
営業時間:午前9:00~午後5:00
(text:西村、photo:市岡)
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