スパイス王国で身も心もカレー漬け! 井上スパイス工業
カレーはお好きですか?
そう聞かれるとすぐさま「大好き!」と答えてしまう、国民的人気フードとして君臨しているカレー。そんな愛されフードであるカレーの素、ルーの製造工程を公開している「スパイス王国」が、埼玉県の上尾市にあると聞きつけ、しゃかいか!編集部のカレー女がやってきました。
ええっと、どこかな、ここかな。
自然に優しい工場とあって、心洗われる緑の奥に立地!
長い緑を抜けると、スパイス王国があった!いざ、中へ潜入してみましょう。
目に入ってきた経営理念の中に感動、挑戦、進化、成長の文字。
カレーに当てはめると、カレーで感動、カレーで挑戦、カレーで進化、カレーで成長、とても気持ちが良い響きですね。
赤いターバンで迎えてくださった優しい雰囲気の方が、スパイス探検隊の井上隊長です。スパイス王国を取り締まっていらっしゃる方ですよ。
食品工場の見学では、お決まりの白い帽子と白い服を着用して、見学スタート!
カレーを煮込むためだけにある部屋です!
井上隊長、赤いターバンがそれにしても似合いすぎます。
「さあ、こちらからどうぞ」
身も心もキレイに!シュワワ〜の洗礼
「カレーのエアシャワーを浴びてくださいね」
ええっ!?
「ほこりや髪をエアシャワーで飛ばして、身も心もキレイにしてね」と隊長と一緒にエアシャワーの洗礼を受けます。
この穴からシュワワ〜!
シュワワ〜の洗礼はちょっと楽しいです。
カレー煮込室の空気がこんなにも美味しいとは!この香りを食べたいくらいです。
「この機械は、カレー粉の材料を混ぜ合わせるニーダーという蒸気釜です。カレー粉には、大きな3つのグループがあって、油30%、小麦粉30%、あとの40%がカレー粉や塩、砂糖などの調味料なんですよ」と井上隊長が赤いターバンを上下させています。
まずは、煮込み
なにやらを投入されていますね。
「オーガニックスパイスを投入しています」と井上隊長。
オーガニックスパイスが混ざる、混ざる。
蒸気釜ニーダー中には、油、塩、砂糖を入れて、さらにトマトやニンニク、ショウガ、生ウコンを追加。その後、スパイスとガラムマサラを加えて全体を混ぜます。
ニーダー凄い!25種類ものスパイスをグルン、グルンと混ぜ合わせています。
胃もたれしらずの植物性油
植物性の油を使用すると、すっきりとした味わいになり、食べ過ぎて胃もたれしたりという体への負荷を減らせるんですよ。
これは焙煎小麦粉!焙煎した小麦粉でないと、糊のようなカレー粉になります。小麦粉の性質を変えて、サラサラの粉状になるようにしています。
最後に、焙煎小麦粉を投入します。
液状だったニーダーの中身が、だんだんと重みを増しています。頑張れニーダー!
300キログラムのニーダーで、一度に約9.000食分ものカレーができます。
「他の企業では一切公開していないところですよ。カレー関連の企業の方も見学されることもあるんです。自分も一消費者として、色々な企業の製造工程を見てみたいなと思っているので、公開しているんです」と満面な笑顔で井上隊長。
ドロドロになった120℃のカレー粉をバットに移し、乾燥室へ運びます。バットに流されたカレー粉をこの部屋で2日間寝かします。1つのバットに500皿分。ここにあるバット全部あわせると3.500人前にもなります。
今回作っているカレー粉は、オーガニックカレー!オーガニックスパイスを集めるのが大変だったそうです。スリランカやインドネシアいろいろな国のスパイスを使用されています。
認定を受けたオーガニックカレーの生産はここだけ
ナツメグは、インドネシア産のものを使用しています。井上スパイスさんは「HOSK」という北海道オーガニック推進協会さんの認定も受けているんです。
カレー粉の決めては、色・辛味・香りのスパイス
「カレー粉の中身は、色、辛味、香りのスパイス3つで成り立っています」と井上隊長。
・色のスパイスは、ターメリック、パプリカ
・辛味のスパイスは、トウガラシ、コショウ、ショウガ
・香りのスパイスは、コリアンダー、クミン、ナツメグ、グローブ、シナモン、カルダモンその他
乾燥を終えたカレー粉は、まずはフローズンカッターであらびき状に粉砕します。
次のサイレントカッターは、カレー粉をさらさらの粉状にしてくれます。
なんとスパイシーな香りでしょうか!カレー粉の上で泳ぎたいくらいです。
さらさらのカレー粉を充填のため大切に計量箱へ移し替えます。
計量充填機の上に、カレー粉をつめています。
カレー粉が、一袋ずつ包装されていきます。パックの中にガシャン、ガシャン。
カレー粉の香りに包まれて幸せな気持ちです。
パックを真空状態にして、
金属が入っていないかも、このレーンと通過する間に探知されています。
ウィー、ガシャンと音が響く中、パッキングされたカレー粉が次々と誕生していきます。
こちらの部屋では、箱詰めの印字ミスがないか確認しています。珍しいカレーがたくさん並んでいます。
地元上尾市の特産、小松菜と酒粕を使用したアッピーカレー。
『アッピー』の名前の由来は、上尾市とハッピーをかけた上尾市のキャラクターなんだそうです。
特殊なカレーもどんとこい!
井上スパイスさんは、スパイス・調味料を製造する3つの工場を自社で所有されており、他企業から製造が難しいと断られた特殊なカレー商品も「うちでやったろう!」と引き受けてしまうそうです。
小麦粉アレルギーのお子さんのために、アレルギーの原因となる小麦粉やスパイスを抜いたカレーから、
イスラムの戒律に反しないカレーまで製造されています。豚肉やアルコール、化学調味料を入れずに製造しており、ハラルというイスラムの認定も受けているんだそうです。
きちんと工場も隔離して、別工場で製造しなければいけないそうです。
小さな瓶のスパイス『ちび丸スパイス』の充填から包装する製造ラインです。
500℃の熱のトンネルをくぐってやってきたのは、瓶に詰まったコチュジャンです。
キャップシールがぴったりかぶっているか、ラベルがはがれていないか一つ一つを丁寧に確認していきます。
薬研(やげん)体験でスパイスを身近に
見学スペースへ移動すると、「これね。こうやって使うんだよ」と井上隊長がスパイスをゴリゴリしています。
挽いたばかりだとスパイスの香りが全然違う!
いろいろなスパイスが並んでいます。クミンをつまんでみますが、うーん、カレーの中に入ってるあの味だ!
こんな薬研もあります。ちょっと厳しい体勢ですが楽しいよ!
「スパイスに触れることができて楽しいでしょ」と優しい口調で語る井上隊長!
見学から体験まで、本当に楽しいスパイス王国です。
今日は、チキンカレーにしようかな!
従業員の方お手製のイラスト。愛を感じますね。
カレー研究室で調合
新しい商品の開発もスパイス王国の重要な業務です。ただいま、カレーせんべいに合うタレを調合しています。
「せんべいに合う風味を出すようにしたり、カレーの液体のとろみをチェックしています」と湯村さん。
研究成果がたくさん!唐辛子といっても、青・赤だけでなく産地でも辛味が異なるんですね。
カレー商品開発のプロ
カレーだけでなく、せんべいやかき氷シロップと変り種も試作したりと、商品開発はたくさんしていらっしゃるそうです。「カレーの試作を仕事でしていますが、家に帰っても毎日カレーを食べたいですね。家族がいるのでそんなわけにはいかないのですが…」と13年勤務されている松田さん(写真左)。
やはり皆さん、カレー好きですね!
◼︎見学、体験もできてと楽しいスパイス王国。どうやって建国なさったのでしょう?
苦しいことはありがたい。次の幸せのはじまり
「いまの会社の前は、スパイス会社に勤めていました。35歳の時に独立したんですが、ある年のお正月に、おみくじで凶ばかりを出してしまった年があって、今年は何かが起きるなと思っていたら、夏に大きな不渡りにあってしまいました。でもね、倒産が決まったら逆に腹をくくれましてね。逃げずにお客様に頭を下げて正面突破でいくと道が拓けていったんですよ。苦しいことはありがたいですよ。だって次の幸せのはじまりだからね」と井上隊長、大笑いです。
◼︎赤いターバンをかぶり始めたきっかけはなんだったんですか?
魅力づくりはアホになること
「会社が倒産した後、いろいろな食品関連の企業が集まるセミナーに行きましてね。そこで偶然、吉本興業の方にお会いしまして、その方に『君は魅力がないね』と。『魅力づくりとはアホになること。格好をつけてたんじゃ、自分の殻も破れていないからね、だから魅力が伝わらないんだよ。アホになってごらんよ。会社も商品も魅力的になるから』と言われたんですよ」と井上隊長。
井上隊長は、次の日からインドのマハラジャになろうと心に決め、赤いターバンを被るようなりました。それから、メディアに掲載されることも増えて、環境が変化していったそうです。
「苦しいことは背負っているから苦しくなる。捨てちゃえばいい。一回アホになると新しいものが見えてくるから」と井上隊長のお言葉、説得力がありますね。
井上スパイスさんの冷凍マトンカレー、絶品です。
実は、らっきょう嫌いなカレー女も美味しく食べられました。スパイスのプロが作るピクルスは絶品です!
カレーライスならぬ、カレーアイス!?
アイスに中辛と甘口があるなんてと、ドキドキしながら口に運ぶも、スパイスが効いて美味しい!
井上スパイスさんの商品は他にもこんなにもあります。スパイスならお任せです!
スパイス探検隊として、ご案内いただきました井上隊長と中野さん、ありがとうございました!楽しいスパイス王国でスパイスの魅力にどっぷりとはまる一日に、ナマステです。
【詳細情報】
井上スパイス工業株式会社
所在地:埼玉県上尾市上野491−1
電話番号:048-725-9641
URL:http://www.spice-town.com/
Facebookページ:https://www.facebook.com/inouespice.ageo?pnref=story
(text:坂田 photo:市岡)
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