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野菜ジュースを日本ではじめて生み出したメーカーが知恵をしぼる! ゴールドパック
今日は長野県安曇野市の清涼飲料水メーカー、ゴールドパックさんを見学。
安曇野市は、ほぼ長野県中央部にあり北アルプスの麓で、水田地帯の広がる水のきれいなところ。自然の中にある工場で、空が広い!
実はこのゴールドパックさん、野菜ジュース、人参ジュースを日本ではじめて生み出した工場!
農業が盛んな長野県で、品質や味は全く問題ないのに形が悪かったりサイズが規格外という理由で廃棄されていた野菜や果物たちがもったいない、なんとか利用できないかな?という思いが、野菜ジュース・人参ジュースの開発につながりました。
生協のプライベートブランドCO・OP商品の「彩果菜園(さいかさいえん)」を作っている現場を見せてもらいます。
彩果菜園は1997年に人気のCO・OP商品「ミックスキャロット」の「もっと甘さ控えめなものは作れない?」という組合員の声がきっかけで登場。その後も数年ごとに食物繊維をプラスしたり、ラインナップを増強するなど試行錯誤を繰り返して改善。今回2015年6月にリニューアルされた彩果菜園をみんなで観に行こうということで、製造工程を組合員さんと一緒に見学します。
見学に先立って商品勉強会が開かれました。目的は今回の改善点のおさらい、そして利用者の声をゴールドパックに届ける、といったことです。
この彩果菜園、改善前は25種類の野菜と3種類の果物で、配合割合は野菜50%と果物50%ずつ。野菜&果物のミックスジュースの中でも野菜の風味が強めでした。今回は「美味しく野菜を」という商品の原点を保ったまま、野菜の量はそのままに、おいしさを重視した商品へ生まれ変わりました。
目標は「スッキリだけど、しっかり」
試作や組合員のモニターなどを繰り返しながら「スッキリだけど、しっかり」とした味わいを目標に設定。
野菜と果物の比率はそのままで、スッキリの目安である酸度、しっかりとした味わいを示す糖度を更に上げてよりフルーティーにしよう、ということになりました。
野菜では人参を減らした代わりにトマトを増加、そしてさつまいもを新たに追加。果物ではりんごを減らして、オレンジを増量、隠し味にパイナップルを加えました。その結果、原料は21種の野菜プラス4種類の果物となり、野菜感を抑えつつも今まで以上にフルーティーで飲みやすくなりました。
また、すりつぶしたにんじんと水溶性の食物繊維を配合し、1本125mlで3.2gの食物繊維が摂取できるようになりました(従来品2.6g)。
狙う味に近づけるために、7つのステップで試作しました。
2014年の7月からリニューアルのプロジェクトがスタート。(1)「果実感があっておいしい」、「実は野菜が入っています」といった味わいを最初に設定。(2)市場での高い評価をうけているフルーティーなへ味わいに近づけた試作品16種の検討、(3)市販品の味わいの傾向をみるため40種類以上の飲み比べ。(4)果汁感を維持したまま、飲みごたえのある野菜風味をさらに抑えた改良品の試作、(5)モニターアンケートを実施し、評価。糖度&酸度の微調整を行い2候補へ絞り込み。(6)実際の生産ラインでサンプルの製造を実施、(7)全国でのモニターアンケートの実施といった段階を経て今回の改善へと至りました。
ということで、実際に試飲してみよう!
4種類のサンプルで、味の変化を実感。
写真の左から順に、1997年発売当時の配合率のもの、野菜と果汁が6対4の2011年版、2013年の25種類の野菜+3種類の果物、今回の最新バージョンとゴールドパックさんが用意してくれました。
いただきます!
飲んだ感じはどれもおいしい!!でも、その日の体調とか気温とかによってどれが一番おいしいかは感じ方がかわってくるので難しいな、と思いました。でも、飲みやすくなって知らないうちに野菜を摂れているのは、みんな嬉しいはず。
続いて、質疑応答へ。
参加者の皆さんは各地の生協を代表して見学に来ているので、「おいしい」「ありがとう」といった声に加えて、今回の改善へのさらなるリクエストや意見がバンバン出ます。
最後に、全国の組合員の声がたっぷり詰まったプレゼントをゴールドパックさんに渡して終了。
利用者と作り手の真剣なやり取りが印象的な交流会。こういった声を届ける側と受け止める側、両方の真摯な姿勢に支えられている彩果菜園、野菜と果物と愛情がたっぷり詰まった飲み物ということがわかりました。
こちらのあずみの工場は、1992年(平成3年)にスタート。
生産設備のほか、HACCP(ハサップ、総合安全管理課程)や食品の流通で重視されているFSSC22000などの認証を受けています。FSSC22000は、ISO22000 + ISO/TS 22002-1 + 追加要求事項から構成されています。食品安全マネジメントの1つです。たとえば、要求事項には腰から上にポケットが着いていない事。などがあります。これはポケットから物が落ちることを防止するためなんです。また、床面はドライにしておく、といった細やかなことも定められている食品に特化した認証です。
「あづみの」工場じゃなくて「あずみの」工場なんです
安曇野市の読み方は「あづみのし」ですが、ゴールドパックは「あずみのこうじょう」。「す」に点々になっています。みずの「ず」。間違った!ということではなく、飲料メーカーとして、自然の恵みである水を大切にしていきたい、という思いから。工場内に井戸も六つあるんですよ。
製造ラインを見る前に、長野の方言を勉強。これがわからないと見学できない!
原料となる果物や野菜を絞る工程、搾汁(さくじゅう)
原料を搾り取る工程は「搾汁(さくじゅう)」と言って、人参は11月から3月、トマトは7月後半から9月中旬といったように、野菜や果物が収穫される季節ごとに時期が異なります。人参の場合は、皮むき、洗浄、ブランチング(茹でや蒸し)砕かれた後、搾られ、ここで液体とパルプに分かれます。
パルプ?
「パルプ」は搾り取られた後の果汁以外の残り物のこと。残り物というと不要物のように聞こえるかもしれませんが、ミックスジュースでは繊維質として配合される大切な原料。
液体とパルプはジュースの原料になるために、分けられた後、再び混ざります。
工場は見学通路から見ます。
この見学者用通路は生協さんの視察や見学を受け入れるために設けられたのだとか。
このモニターは今日の見学用に昨日できたばかりのもの。
ゴールドパックさん、ありがとうございます!
安曇野市が舞台の2011年の朝の連続テレビ小説「おひさま」のポスターも見ることができます。
ラインがオレンジ色のアクリル板で囲われているのは虫が寄ってくるのを防止するためなんです。
歴代の野菜ジュースがズラリ。前の方にはCO・OP印のものも展示されています。
初代のミックスキャロットの試供品も展示してあります。歳月を感じる!
原料・資材の受け入れから出荷まで一気通貫で管理する、GPS
ゴールドパックでは“GPS”というシステムで、安全性の確保につとめています。GPSは“Goldpak Integrated Process Control System”の略。日本語だと「ゴールドパック・総合プロセス管理システム」。
このシステムはあらかじめ決められた生産計画に基づいて、いつ、どのような原料が、どれくらい使用されたか?作業の担当者、作業順序、製造ラインなどの情報が記録に残り、もし何かあった際にも使用した原料、製造状況、出荷先など追跡できるようになっています。
ガロン缶のフタを切り取った時の金属片や、その他の異物が混入するといけないので、マグネットトラップやストレーナーという機械を通して除去します。
調合されたジュースは、糖度、酸度、pH値などの検査をして、規格どおりの調合がなされているかどうかがチェックされます。
できあがったジュースのサンプルを採取し「水酸化ナトリウム水溶液」という化学反応の結果が見て取れる試薬と混ぜて、酸度(すっきりした味わい)の数値を見ます。
毎日、人の舌でチェックしています
数値をチェックする検査だけではなく、実際に飲んで人の舌で味を確かめる検査(官能検査)も、その日の製造される製品ごとにチェックされます。この官能検査は、味に関する大切なことなので、会社からの認定が必要。定期的にテストが行われ、その試験に合格した人だけが担当することができます。検査を担当する検査員はもちろん、調合、充てんに関わる従業員すべてが持たなくてはいけない資格です。
3種類あるうちの一番左は前回の製品サンプル。このサンプルが基準となり、当日のパッケージされる前に調合されたもの(真ん中)、パッケージされ製品になったもの(右)飲み比べてみていつも通りの味になっているか?が毎日チェックされています。またカビ臭がしないか?着香(規格外の香り)がついていないか?フレーバー臭(香料)が適切か?なども確認。機械と人の幾重ものチェックが行われています。
検査を終えた後は、ろ過、異物除去、殺菌、2回目のろ過、2回目の金属除去の工程を経て、充てんへ。
こちらが殺菌機。シェルチューブという管を通って一定温度以上で殺菌されます。
殺菌されたジュースは冷却されます。ゴールドパックさんでは紙パックの場合は、コールドパックといって冷却してから20℃くらいで充てん、ペットボトルと缶は、殺菌し熱い状態で充てんされます(ホットパック)。
今日見学するのは紙パック。サイズや飲み口などいろんなものがあります。
この充てんマシンは「テトラパック充填機」という名前。このマシンはジュースの充てんに加えて、多くの機能を持っています。包装用紙の滅菌、包装用紙の成形、充てんといったことを全て1台で完結しています。
これをセットして、機械の中で過酸化水素水の入った槽に包装用紙をくぐらせ滅菌していきます。
送り出される包装用紙には薄く折り目がついていて、裏面の接着部分には漏れ防止のためシールが貼られていきます。ロールに巻かれている細い糸のようなものがシール。
いよいよ充てんのパート。この中では包装用紙を筒状にする、筒状になった包装用紙にジュースを入れる、ジュースの入った包装用紙の上下をシールし、ミミの部分を折り込む、といった複雑な作業が行われています。
見えないのですが、筒状になったパッケージにジュースが入っていきます。
密封され製品となった「彩果菜園」が出来上がり、となるのですが!
パックチェック
このパックチェックは、きちんとパッケージされているかの確認。
生産開始、終了時は当然、ラインが動いている時には30分に一度、人の手でチェック!チェック!再チェック!
塩水につけ、パッケージを挟んで両側から電気を流します。
この時、電気が通ればパッケージが破れていて問題あり、アウト!になります。
このパックチェックは包装の上下両側を確かめるため、連続した二つの製品を取り出して行わなければなりません。
ストローがついているか?をチェックしストロー無しははじかれ、
見学の後には、今回リニューアルした配合の、黄色い彩果菜園(果物のみ)と赤い彩果菜園(野菜のみ)を特別にいただくことができました。
繊維が入っていることがしっかりわかる野菜だけもなかなかイケる。
味は違うものの、それぞれの味わいをより濃く実感することができた試飲会です。楽しく見学できるように、趣向が凝らしてあります。
ゴールドパックのみなさん、今日は楽しい見学を有難うございました!
なんども実験やモニターを繰り返した配合率の工夫ことや、原料や水に対する思い、工程ごとに重ねて行われるチェックなど、みなさんが知恵を絞って彩果菜園ができあがっていることを知ることができました。
【詳細情報】
日本生活協同組合連合会
生協の組合員さんとゴールドパックさんとの交流会の様子はこちら(コープ商品サイト)
ゴールドパック株式会社 あずみ野工場
電話番号:0263-73-5500(代)
住所:長野県安曇野市堀金烏川1984-1
URL: http://www.gold-pak.com/
(text:西村、photo:市岡 ※一部の写真は日本生協連さんの提供)
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