世界初の工法で作られる橋とトンネル工事を見学! 新名神高速道路武庫川橋工事・道場トンネル工事 NEXCO西日本
今日は高速道路の橋とトンネル工事の見学です。NEXCO西日本では、これまでも管轄する事業所ごとに学校単位やご近所にお住いの方から個別に見学会を実施していたのですが、とても多くのリクエストがあって2015年1月から本格的に「なるほど!高速道路発見」という見学会の企画をスタート!
工事が最盛期を迎えている新名神高速道路の武庫川橋と道場(どうじょう)トンネルの工事の現場にやってきました。今日は夏休みとあってたくさんのお子さん連れのみなさんが見学会に来ています。
ヘルメットがとても役に立ちそうな現場!
ご案内してくれるNEXCO西日本の陸門さんと松下さん。今日はよろしくお願いします!
今日の見学は武庫川橋と道場トンネル!
新名神高速道路の高槻〜神戸間は2016年度にできあがる予定で、開通に向けて今まさに工事の真っ最中。
一つ目の見学は武庫川橋。現在建設中の新名神高速道路の中で2番目の橋脚高さの橋になります。
この橋は見てすぐわかるようにとても背が高く、構造上の特徴は「世界で初めてのバタフライウェブを採用したエクストラドーズド橋」!
なんじゃそりゃー?
バラフライウェブとは、橋の断面の形が箱の形をした橋に使われる箱の上面を支える赤く囲った柱の部分(ウェブ)がちょうちょ型になっているのでバタフライウェブ。橋の中(桁内)はたくさんの部屋がある構造になっていて、点検作業などのさいに動きやすくなっています。材料が少なくて済むのに丈夫な経済的な構造なんですよ。
それと!
エクストラドーズド橋構造は、主塔と鋼材のケーブルで橋桁を支える橋の形式で、横浜ベイブリッジやここ武庫川のご近所だと天保山大橋など斜張橋(ケーブルで吊って支える)の一種。二つの違いはエクストラドーズ橋の方が主塔が低く支えるワイヤーの角度が水平に近いという外観、性能的には橋桁の剛性が大きく交通量が多い時の振動が押さえられるといった点です。
主塔(斜めのケーブルを吊っている柱の部分)が低くなっています。※見学時には橋の上に登ることはできません。
これら「バタフライウェブ構造」と「エクストラドーズド橋の形式」をあわせて世界で初めて採用したので、「世界で初めてのバタフライウェブを採用したエクストラドーズド橋」なのです!
おえかきするぞっ!
見学会ではパネルに好きな絵や文字を落書きできるおえかき会も実施。ちょうちょ型のパネルにお絵描きすることができます。
では、みんなでスタート!
このパネルは実際に高速道路に使われるので、10年くらいは消えずに残ります。
もし、参加者のみんなが将来、NEXCO西日本に就職して、この現場を担当することになったらまた見ることができるかもしれません。
おえかき会の後には、凍らせた冷えひえのおしぼりが配られました。
太陽が照りつける現場では、これほど有難いものはありません。
そして次の現場へ
この道路はまだ完成していないので地図にもカーナビにもまだ載っていません。
現場へ到着!
大っきくて頼りになりそうなマシンがたくさんあります。
この道場の現場では、トンネルが掘られています。
熱中症対策に、飲み物とアイスが配られました。
ありがとうございます、いただきますっ!
工事現場を見せてもらう前に、トンネル工事について勉強します。
「この道場トンネルはNATM工法で作られます」
NATM工法?
NATM工法は正式には「New Austrian Tunnelling Method」。ナトム工法とも呼ばれている、オーストリアのトンネル技術者が考案したトンネル工事の工法です。
まずは爆薬で岩石を粉砕する「発破(はっぱ)」を行い、砕いた岩石を外に運び出します。その後、トンネルの側面を支える鉄骨の枠(支保工)を建てつけ、コンクリートを吹き付けます。さらに強度を増すために岩に鉄筋の棒を打ち込み、最後に壁面をコンクリートで固め仕上げていきます。高額なシールドマシンを使うシールド工法よりも,経済性に優れているのだそうですよ。
発破!
漫画やドラマでは導火線のついたものをよく目にしますが、現在は電流を爆薬に流し点火します。
山は、岩ばかりではありません
山に穴を開けるといっても、その種類はいろいろ。岩の山もあるし、粘土質の山、ときには砂の山だってあります。
岩は爆薬で砕き、粘土質の土は掘れば良いのですが、問題は砂地の場合。砂地は掘ると掘ったところに砂が落ちてきてしまうので、穴を開けることはなかなか大変。
見る間にブクブクブクと膨らんで硬くなっていきます。この液体を混ぜることで、サラサラな砂も。砂同士の間にある隙間を埋めて固めることができます。
さらに、秘密のお薬が登場。
この液体は工事で出た泥水を水分と土にキレイに分けるもの。この液体を使用することで、工事中に出てきた泥水をそのまま廃棄することなく、土を取り除いた混じり気の少ない水にした上で、近くの河川に流すことができるようになりました。
トンネル工事の主役「ジャンボ」!
いろんな手を持つ大きなマシンは、ジャンボと呼ばれていてトンネル工事には欠かせません。
高い作業箇所に人を運んだり、穴を開けたり、一つでいくつもの役割を担っています。
先っちょにはドリル。複数ある手にさまざまな太さのドリルをつけることができるので、現場のみなさんも大たすかりです。
工事のおじさんと一緒に乗って、ジャンボを動かしてみました、グリグリ。
ジャンボにのって、高いところでの記念撮影も。
サービス満点です。
★挑戦★TEAM道場!
危険を伴う現場では、チームワークがとても大事。
歩いてみると広いなぁ!
道場トンネル(下り線)工事は現在、壁面を仕上げのコンクリートで固めようとしているステップ。
コンクリートの型枠となるセントルを、クレーンで吊り上げてトンネルの側面に設置しコンクリートを打設します。
トンネルの中でも記念撮影。こういう機会がないと撮ることができない貴重なショットです。
こうして、トンネル工事の見学も無事終了。
トンネルにつながる道路も今は橋脚を作っている最中、このトンネルをくぐることができるのは、もうしばらく先。
NEXCO西日本のみなさん、本当に暑い中、お仕事中にお邪魔させていただいて有難うございました!これからは心してトンネルをくぐりたいと思います。
【詳細情報】
NEXCO 西日本「なるほど!高速道路発見」
西日本高速道路株式会社 関西支社
電話番号:06-6344-8888
住所:大阪府茨木市岩倉町1-13
URL:http://corp.w-nexco.co.jp/activity/tour/
(text:西村、photo:市岡 ※一部の写真はNEXCO西日本さんの提供)
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