空飛ぶクルマ!SkyDriveが未来へ挑む CARTIVATOR

Cartivator 空飛ぶ車CARTIVATOR提供(空飛ぶクルマ「SkyDrive」イメージ図)

この空飛ぶ未来のクルマ実現に向けて、飽く無き挑戦をしている人たちがいると聞きつけ、今回は、その未来のクルマ「SkyDrive」の試作実験に参加してきちゃいました。

皆さん、映画やアニメだけの話かと思っていたら実現に向けて、動き出している人たちが日本にいたんですよ!

空飛ぶクルマ

ここ徳島大学の常三島キャンパスで空飛ぶクルマの実験が行われます。

空飛ぶクルマCARTIVATOR提供

クルマでワクワク体験
未来の空飛ぶクルマの開発プロジェクトを進めているメンバー、その名もCARTIVATOR(カーティベーター)です!
CARTIVATORの名前の由来は、乗り物や車(CAR)で、ワクワクする体験を生み出す(CULTIVATOR)体験を生み出したいという想いから名付けられています。メンバーは某大手自動車メーカーの社員を中心に20代後半から30代前半の若手社会人によって結成されました。現在は、10名のメンバーが主となって活動しています。

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クルマ文化の衰退に危機感
CARTIVATORのリーダー、中村翼さんです。大手自動車メーカーのエンジニアで、プロジェクトの発案者です。

中村さんは小さい頃からクルマが大好きで、サーキットまでカーレースを見に行ってしまうほどだったそうです。でも、周りの友だちはそれほどクルマが好きではなく、クルマ文化が衰退していくことに常に危機感をもっていたといいます。その危機感は、自動車メーカーに就職した後に変わらず持ち続けていました。

空飛ぶクルマCARTIVATOR提供(ビジネスコンテストでの優勝)

ビジネスコンテストで優勝
中村さんは、たくさんの人にクルマの魅力を知ってもらいたいと思い、2012年に友人2人を誘ってビジネスコンテストに出場しました。このときは、320通りの組み合わせから自分だけの1台をつくれるオーダーメイドの自動車製造・販売ビジネスを提案しました。結果は、20チームが出場した中で堂々の優勝!

空飛ぶクルマCARTIVATOR提供
ビジネスコンテストでの優勝を機にベンチャーを立ち上げることも検討したそうですが、
「オーダーメイドの自動車は市場規模が小さくて、『クルマを日本の文化にする』という理念を現実できない」と中村さんは、方向転換をします。

レーシングカー製作者や鳥人間コンテスト参加者が仲間に!
そして、2013年に社内、社外を問わずたくさんの人たちに声をかけたところ、中村さんの思いに共感した人たちが仲間になってくれました。仲間の中には、学生時代にレーシングカーの製作に関わったり、鳥人間コンテストに出場したりと、自分たちで何かを製作していくことに喜びを見いだしている人たちがたくさんいます。グループの中でアイデアハッカソンやディスカッションを重ねていくうちに、「空飛ぶクルマ」というアイデアが生まれてきました。

空飛ぶクルマCARTIVATOR提供

4つのプロペラ、マルチコプタータイプのクルマ
彼らが目指しているのは、欧米のメーカーのように羽根のついた飛行機のようなものではなく、車体に4つの大きなプロペラをもつマルチコプタータイプの空飛ぶクルマです。

SkyDriveのイメージ動画をご覧ください!

東京オリンピックの会場で飛ぶ未来のクルマ!かっこよすぎます!「これまでのクルマができなかった空を飛ぶことを実現して、たくさんの人たちに夢をもってもらえて、もっとクルマに興味をもってほしい」と中村さん。

それにしてもなぜ、マルチコプターなのでしょうか。

空飛ぶクルマ

その理由について、中村さんは「私たちが目指しているのは、どこでも空に飛び出すことができるクルマです。羽根がついていると、飛ぶために滑走路が必要になり、どこでも自由に空へ飛び出すことができなくなります。その点、マルチコプタータイプは、垂直離着陸が可能なので、ふつうの道路からでも空に飛び出すことができると考えています」と説明してくれました。

CARTIVATORはこのアイデアをひっさげて、2014年11月に東京都主催のビジネスコンテストに出場。448チームの中で、優秀賞を受賞し、注目を集めました。

最初の目標は東京オリンピック開会式デビュー
CARTIVATORの目標は2020年までにSkyDriveの1号機を製作し、東京オリンピックの開会式でデビューさせることです。日本で開催されるオリンピックで、日本生まれの空飛ぶクルマが、日本の空を飛びまわる姿を夢見ています。

東京オリンピックでのデビューの後は、SkyDriveの量産を開始していきます。販売開始の時点では、まだ価格が高いはずです。まずは、人命救助のための緊急車両、観光地などでのアクティビティ向けの車両、さらには砂漠などで道路が整備されていない中東やアフリカ地域などでの交通インフラとしての活用してもらうことを想定しています。そして、これらの用途で普及していくことで、個人でも購入できる価格になっていくことでしょう。

クラウドファンディング見事達成
活動が活発になるにつれて重要になってくるのが資金集めです。CARTIVATORのメンバーは、現在は本業を持ちながら、業務外活動として空飛ぶクルマづくりに取り組んでいます。SkyDriveの実機を製作するまでには、多額の資金が必要となります。その一環として、2014年12月から2015年1月にかけて活動資金を集めるクラウドファンディングをおこない、みごと、目標金額を上回る額の資金を得ることができました。

今回は、その資金も活用して徳島大学で実験がおこなわれるわけです。CARTIVATORの活動拠点は愛知県や東京都なのですが、なぜ、今回は徳島大学で実験をするのでしょうか。

空飛ぶクルマ

近しい研究をしていた2人の強力な仲間が加わる
その理由が、徳島大学工学部の三輪昌史准教授です。三輪准教授は空飛ぶ機械の活用法を10年前から研究してきました。特に、マルチコプターの研究には力を入れています。

CARTIVATORには、自動車設計のエンジニアなどが集まっていて、自動車をつくることに関しては知識やノウハウをもっていますが、空飛ぶクルマとなると話は別です。マルチコプターに関する知識は独学に近い形で勉強してきました。そのような状況で三輪准教授と出会ったのです。

そして、もう1人、とても大切な人がいます。

空飛ぶクルマ
平野功さんです。平野さんは電動車いすに乗っている重度の障害者でも自由に空を飛ぶことができるようにと、日本初の有人用大型マルチコプター「Flying Chair」の試作機を開発しました。

平野さんのつくったFlying Chairの試作機は、CARTIVATORの目指している空飛ぶクルマと共通している技術が多いので、CARTIVATOR、三輪准教授、平野さんの三者が共同研究することになりました。今回は、三輪准教授の研究室がある徳島大学工学部のキャンパスに、Flying Chairの試作機を持ちこんでの飛行実験です。

空飛ぶクルマ

これがその試作機。長さ約3.3メートル、幅2.3メートル、高さ1.08メートル、重さ約200キロと、とても大きい!

「私たちは、もともとマルチコプターの知識がまったくない部分から活動をスタートしましたが、三輪先生や平野さんと出会うことで、短期間でたくさんの知識を得ることができました。実物大の試験機をつくるとなると、時間もお金もかかります。Flying Chairの試作機の構造は、私たちが最初につくろうとしていたものととても近かったので、協力していくことでお互いにパワーアップしていこうということになりました」と中村さん。

空飛ぶクルマ

「業務外活動」が垣根を越えたつながりをつくる
また、CARTIVATORのプロデューサーである福澤知浩さんは、「組織の枠を越えて、いろいろな人たちとつながることができたのは、CARTIVATORが業務外で活動していたから」と説明します。業務外活動では、自由な発想で、さまざまなことに臨機応変に取り組むことができます。ビジネスというよりも、クラブ活動のような形になるので、いろいろな立場の人が垣根を越えて協力しやすくなるといいます。もし、CARTIVATORがどこかの企業の1部門だったら、三輪先生や平野さんと協力するにも、所定の手続きを踏む必要が出てきたりして、機動力が失われたことでしょう。

未来への飛行実験が開始!
飛行試験の日、午前中は雨が心配されたのですが、天気は何とかもちそうだと判断し、試作機を屋外に移動させることに。

空飛ぶクルマ

狭いドアを通り抜けるために、試作機を分割して運びます。

空飛ぶクルマ

組み立てて、プロペラ部分のネジをきちんと締め直して、安全確保。

未来のクルマ

バッテリーを接続して準備を着々と進めていきます。

空飛ぶクルマ

まずはプロペラを1つだけ動かして、消費電力や回転数などを確かめます。プロペラ1つが回っただけで、轟音が鳴り響き、周りに風が吹きあれてきました。すごい迫力!

空飛ぶクルマ

この日はテレビの取材クルーもやってきて、試験の様子を取材していました。

空飛ぶクルマ

プロペラの回転数などのデータをもとに、これからの運転試験の方針を決めていきます。

空飛ぶクルマ

運転試験を本格的におこなうために移動です。

空飛ぶクルマ

試験の場所はキャンパスの中庭。

空飛ぶクルマ

試作機におもりをつなげて、不測の事態に備えます。

空飛ぶクルマ

バッテリーは200Aの電流を流すことができる大型のもの。これを12個つなげていきます。

空飛ぶクルマ

事故が起こらないように、みんなで最終チェック。

空飛ぶクルマ

準備終了。みんなが見守るなか、いよいよスイッチを入れていきます。ゴクリ・・・

空飛ぶクルマ空飛ぶクルマ

うっ、浮いた〜!!!

ちょっと不安定な感じでしたが、200キロ近くもある試作機が浮きました。

空飛ぶクルマ

期待を浮上させる度に測定データを確認して、試作機の設定を話し合っていき、何度も微調整をして飛行試験を重ねていきました。

安定飛行のため、さらなる開発は続く

今回は、2日間で飛行試験を10回以上おこなうことができました。
車体が浮いている時間は10秒ほどと短めですが、試験を重ねる度に浮き上がっているときの安定感が増してきました。手応えはどんな感じなのでしょうか。

三輪准教授「この機体で安定飛行ができそうなところまで見えてきました。今後は細かい設定を調整して、まずは安定飛行できるところまでもっていて、重心移動のテストなどもしていきたいです」

中村さん「実際に試験すると、うまくいかない部分も見えてくるので、難しさも感じています。三輪先生にはこの機体を使って、さらに実験をして頂き、私たちは試験データをもとにシミュレーションを重ねていく予定です」

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映画やアニメの世界のものだと思っていた空飛ぶクルマが、21世紀に入り現実のものとなろうとしています。しかも、この日本で、世界初のマルチコプター型の空飛ぶクルマの開発に取り組んでいる人たちがいることに、驚きと共に誇らしさを感じます。1号機の完成までに乗り越えるべき壁はたくさんあるでしょう。でも、それらの壁を乗り越えて、誰でも自由に空を飛べる世界を実現して欲しいです!
がんばれCARTIVATOR!応援しています!

【詳細情報】

CARTIVATOR

URL:http://cartivator.com/
Facebookページ:<https://www.facebook.com/cartivator

(text:荒船、photo:市岡 ※一部の写真はCARTIVATOR提供)

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