【京都】本づくりの本質を知る「本の縁側 矢萩多聞と本づくり」が開催されています!
矢萩多聞は京都を拠点にユニークな本づくりを行う装丁家です。彼は美術デザインの専門教育を受けていませんが、中学で不登校となったことを機に南インドへ渡り、10代のほとんどをインドで暮らしながら、独自のペン画を描きはじめ、その才能を認められるようになりました。そして、2002年、はじめての著書『インド・まるごと多聞典』(春風社)をきっかけに本の仕事にたずさわるようになり、以後、フリーランスの装丁家として大小さまざまな出版社の500冊を超える本を手がけています。2012年には制作拠点を京都に移し、本にまつわるさまざまな活動をくり広げています。
彼はみずからの創作活動について、著書『偶然の装丁家』(晶文社)のなかで「人と人の出会い、ささやかな言葉や体験が、つねに自分を変化させつづけ、いまの仕事につなぎとめてくれている」と書いています。矢萩多聞にとって「本づくり」は、単にデザインの工程だけを指す言葉ではありません。製紙から、デザイン、印刷、製本、販売に至るまで、一冊の本が世に出るまでに関わる人びとがバトンのように想いを託し、読者へ届けることこそが本づくりの本質であると考えています。「本の縁側」という展覧会タイトルに込めた思いを、彼はこう述べています。
「本は縁側みたいだ、と思う。一冊の本がきっかけで見知らぬ人と出会う。なにげなくめくった一ページから会話がはじまる。本のまわりにはいつもにぎわいがあり、ちょこんと腰をおろせる場所がある。(……)装丁とは、読者の目をひくためだけのものでも、ありがたい芸術作品でもない。どんなに難しい学術書であっても、紙やインキが、いくばくかの居心地よさをもたらしてくれる。どんなにささいな本であっても、暗い時代の灯火になって、血の通う人間のあたたかさを照らしてくれる。どうかそういうものであってほしい、と祈るようにして、ぼくは本をつくってきた。」 (本展イントロダクションより)
本展では、矢萩がこれまでデザインした500冊を超える本をすべて手にとって見ることができるほか、装丁のラフ案などを展示し、デザインの工程を詳らかに解説します。また、手づくり絵本で有名なインドの出版社タラブックスとの仕事、「ちいさくつくり、ちいさく届ける」をコンセプトにみずから立ち上げたリトルプレスAmbooks、「人間はなぜ本をつくるのか」というテーマのもと、小学生の子どもたちと取り組んだ本づくりワークショップ、国内外の紙づくりの現場を訪ねる旅など、彼がこれまで行ってきた大小のプロジェクトについても紹介します。本づくりの愉しみはもちろん、本の周辺にひそむ新たな可能性を感じられる「本の縁側」にぜひお立ち寄り下さい。
※本文は公式サイト紹介文より抜粋
イベント名称 | 本の縁側 矢萩多聞と本づくり |
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開催期間 | 2019年3月30日(土)~2019年6月19日(水) 11:00~19:00(土曜日および6/9(日)は18:00まで) |
会場 | 京都dddギャラリー 京都府京都市右京区太秦上刑部町10 |
入場料 | 無料 |
WEBサイト | http://www.dnp.co.jp/gallery/ddd/ http://tamon.in/en/ |
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